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IoT時代に期待されるAutoCADの活用法とは?

モノのインターネット(IoT)時代の到来がささやかれる中、その動向に注目が集まるのがCAD活用の領域です。データと現実のオブジェクトが高度に連携を取れるような技術が開発されたことで、CAD運用のあり方も大きく変容を遂げようとしています。

この記事では、そんなIoT時代の到来に合わせ、CADソフトの代表格とも言えるAutoCADが今後どのような可能性を示してくれるのかについて、事例とともに解説します。

目次:

  1. IoTの概要
  2. AutoCADについて
  3. IoTとCADの併用が実現すること
  4. IoT時代に向けたAutoCAD活用の取り組み
  5. まとめ:進化するAutoCAD

IoTの概要

IoTはInternet of Thingsの略称で、物体をインターネットに接続し、通信を可能にする技術を指します。

IoT技術を既存の製品に導入することで、これまでは実現しなかったことが可能になったり、既存業務を大幅に効率化したりすることが可能です。例えば各地の物流センターに設置しているセンサーをIoT化すれば、集計作業を本社で一気に行うことができます。現場での計算業務が不要になり、人件費削減などが実現するでしょう。

IoTはすでに多くのビジネス領域で活用が進んでおり、一般生活においても活躍の機会は増えています。スマホなど各種スマートデバイスと併用することで、今後ますます普及が進むと考えられます。

AutoCADについて

一方のAutoCADですが、こちらはAutodesk社が提供している、世界で最もポピュラーなCADソフトの一種です。製図をコンピューター上で行うことのできるCADソフトの登場は、土木や建築業界に大きな効率化をもたらしましたが、その最先端をいく技術の一つがAutoCADとも言えます。

近年は3D図面の作成機会も増えていますが、AutoCADがあれば3Dモデルの作図も可能であるため、あらゆるCAD業務に対応できるのが最大の強みです。

また、AutodeskはAutoCAD以外にも複数の製品を手掛けており、RevitなどのBIM運用支援ソフトも存在します。AutoCADはRevitをはじめとするあらゆるAutodesk製品との互換性を有しているため、CADや作図に関する多様な業務を、Autodesk上で完結できるのが最大の特徴です。

IoTとCADの併用が実現すること

IoTとCADは、一見すると別個の技術のようにも思えますが、実際には両技術の発展によって、相乗効果を現場にもたらすことが可能です。

CAD以外の業務との高度な連携

IoTとCADを連携させることで、単なる製図にとどまらない、高度な業務連携を可能にできるのが特徴です。従来のCADは、あくまで物体のデザインに特化した製図システムであったため、具体的なパフォーマンスについては製図の時点では不明、ということは珍しくありませんでした。

しかしIoT技術が登場したことにより、CADデータを電気系統やその他制御機能と連携し、製造前から詳細なシミュレーションを行うことができるようになっています。電気系の設計とCADデータを、IoTによって連携し、それぞれのデータを連動させながら運用が可能というわけです。

データ連携を設計段階から高度に実現することで、プロトタイプ開発の精度を高めて業務を効率化したり、設計コストの削減に貢献できます。

付加製造の活用

IoTとCADの連携は、付加製造の実現においても大きな役割を果たします。付加製造とは近年導入が進む新しい製造手法の一種で、従来では成型ができなかった複雑な形状を既存の製造プロセスに加えることで、高性能な製品開発を実現するアプローチです。

付加製造の技術が実現したのは、主に3Dプリンタ技術の発展によるところが大きいと言えます。3D CADで自由にデザインした3Dモデルを、3Dプリンタでそのまま出力し、工業製品として運用できる耐久性を確保できるようになったからです。

規格化が進んだ従来の現場では、このような付加製造の産物は扱いづらいケースもありますが、IoTの到来により、活躍の場は広がることが期待されます。これまでは機器の設置が難しかった場所にも適用可能なセンサー本体を製造できるようになることで、高度でリアルタイムのセンシングを実現できるでしょう。

デジタルツインの実施

デジタルツインは、実際に存在するオブジェクトを仮想空間に再現し、現実同様の運用を仮想空間でもできるように促す技術です。単に物体を3Dモデルとして取り込むだけでなく、使用されている材質や重力の概念、温度や湿度、風、人の出入りなどまでを正確に再現することで、仮想空間でありながら高度なシミュレーションを実現します。

IoTとCADの組み合わせで最も注目されているのが、このデジタルツインの実現です。IoTの力を借りて、現実空間の環境を仮想空間にも正確に反映することができるため、従来よりも高度なシミュレーション効果を、次世代のCAD技術によって再現ができます。

日本でもデジタルツインの技術を用いて、街を丸ごと仮想空間に再現し、都市開発における高度なシミュレーションや、リアルタイムでの都市管理に役立てようというプロジェクトが存在しています。IoTとCADの併用は、このようなスマートシティ化を実現する上で今後、不可欠の技術活用となっていくでしょう。

IoT時代に向けたAutoCAD活用の取り組み

Autodeskでは、すでにAutoCADとIoTを併用した取り組みも実践段階に進みつつあります。同社はアメリカのサンフランシスコにおいて「Pier 9」という研究所を設置しており、ここでは同社技術を主体としたオープンイノベーションを起こすことを目指しています*1。

そんなPier 9で進んでいるプロジェクトの一つが、IoTとCADを併用したロボットの制御テクノロジーの開発です。ロボット制御の課題と言えるのが、業務を実行する上で必要な動作を覚えさせることです。そこで同プロジェクトでは、仮想空間に実在のロボットと運用想定環境を再現して、仮想シミュレーションで高度な教育を実行するというアプローチを採用しています。

方法としては、カメラやセンサーといったIoTを使い、実際のロボットの動きを捉え、CADを使って仮想空間にロボットを再現するモノです。これによって、実際の挙動とデジタル空間の挙動の誤差を補正したり、VRを使って人間が直接パフォーマンスに介入したりすることで、制御能力の改善に努めます。

IoTとCADが連携できる環境が整ったことで、従来よりも人間がデータやロボット技術に直接的に介入が可能となり、柔軟なパフォーマンス改善が可能になったと言えるでしょう。

まとめ:進化するAutoCAD

この記事では、IoTとCADが併用されることで生まれるメリットや、AutoCADが実際にIoTと連携することで、どのような成果が得られるのかについて紹介しました。AutoCADは世界でも最先端のCADソフトであり、現在も定期的にアップデートが行われ、より高度な運用が可能な製品へと進化を続けています。

IoTとCADの連携事例はまだ少ないものの、先進的な取り組みにも着手するAutoCADであれば、今後起こるであろう劇的な環境の変化にも問題なくキャッチアップすることができそうです。

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参考:
*1 IoT News「百聞は一見にしかず、オートデスクがみせるデジタルツインの現在と未来」
https://iotnews.jp/manufacturing/111567/

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