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Googleの海底ケーブル「Grace Hopper」とは

 「Google」・「COBOL」・「イギリス」。この3つのワードから皆さんは何を連想しますか?「海底ケーブル!」と答えることができた方は、最近のニュースに敏感な方かもしれません。
 Googleは、自前で引いた海底ケーブルの名称として、プログラミング言語「COBOL」の開発者の名前である「Grace Hopper」を採用しました。
 その海底ケーブルが、無事イギリスまで到達したというニュースが話題となっています。今回はこの「Grace Hopper」についてまとめてみましょう。

この記事でわかること
 ・Googleの海底ケーブルがイギリスに到達したことについて
 ・インフラ整備が巨大IT企業にとって最重要課題であることについて
 ・「Grace Hopper」とはどんな人物なのか

Googleの海底ケーブルがイギリスに到達

 まずは2021年9月14日のニュースの内容をご紹介しましょう。

 Googleが独自に敷設している海底ケーブル「Grace Hopper」が、無事イギリスに到達したと報道されました。もう一方はすでにスペインのビルバオに到達しており、現時点でイギリス⇔スペイン間がケーブルで結ばれたことになります。

 この「Grace Hopper」は、最終的に米国ニューヨークとスペイン・イギリスを大西洋を横断して結ぶ予定であり、総全長は6280kmにもなります。2022年にプロジェクトが完成する予定となっています。
 この件に関しては、2020年時点で海底ケーブル敷設業者 SubCom との契約を完了したことが報じられています。アメリカに拠点を置く業者ですので、Googleの委託によってSubComが敷設業務を担当するということになると思われます。

 「Grace Hopper」には、海底ケーブルとしては一般的な16ペア(32本)の光ファイバーケーブルが搭載されます。これについてはさほど目新しくはないものの、スイッチングに新しい仕組みを採用したことが特に強調されています。
 何らかのトラブルが要因でシステムが停止した際にも、スムーズにトラフィックの移動ができるようになっています。*注1

インフラ整備が巨大IT企業にとって最重要課題

 Google Cloudのネットワークについて確認すると、地図上では14の海底ケーブルプロジェクトに参加していることがわかります。この地図に記載されている以外にも、南米大陸の東海岸の複数の地点を結ぶ海底インターネットケーブル「Firmina」についてアナウンスされています。
 さらに2021年7月には、「Blue」および「Raman」という2種類の海底ケーブルシステムの敷設計画が明らかになりました。*注2

 以前はこのような海底ケーブルは、各国の通信事業者が主に設置していました。日本で言うとKDDIなどが代表的な事業者です。
 IT企業はこのような通信事業者から回線を借りて、自らのサービスを提供するのが普通でした。
 しかし、クラウドやSNSなどの急速な普及に伴い、国際間の通信の主役は「通話」ではなく「データ送信」にシフトしています。
 以前はIT事業者による回線の占有率はさほど高くありませんでしたが、最近ではデータ通信のほとんどがIT事業者によるものへと急速に変化しています。
 そのためGoogleをはじめとする巨大IT企業は、もはやオンプレミスでインフラを利用するよりは自ら直接投資した方が効率も良く、高い効果が見込めると考えるようになりました。
 このことが、Googleが海底ケーブルに積極的に投資をしている大きな理由となっています。*注3

 ネット上の記事を遡ると、2016年5月にMicrosoftとFacebookが協力して、アメリカとヨーロッパを結ぶ海底ケーブルを敷設する計画を発表しており、これが『大手IT企業が独自に構築する初めての試み』として紹介されていました。
 それからわずか5年ほどしか経過していないのにも関わらず、Googleの海底ケーブル敷設計画と実行のスピードには驚かされます。

 ではなぜ、巨大IT企業がこぞって海底ケーブルを自前で準備するようになったのでしょう。
 一つには前述したように、自社のサービスに対するデータ通信の急増に対応し、専用線を準備したほうが何かと効率が良いと言うのがあります。このことにより安定性が確保され、セキュリティを強化することができ、何よりコストメリットに繋がります。

 2018年、海底ケーブルACE(African Coast to Europe)に起こった障害により、アフリカ諸国でまる3日間、ネット接続できない事例が発生しています。
 Googleにとっても、このような障害の発生で自社のサービスが停止する事態は避けたいはずです。重要な通信インフラを他社任せにするよりは、自社でコントロールできるようにしたいと言うのが実情でしょう。

 前述した、通信障害発生時にトラフィックを逃がす技術も、トラブル発生時の対応を前提としています。また、自社の回線を含めた通信ルートの冗長化によって、万が一の障害が発生した時でも、重要なサービスが中断しないことにも繋がります。*注4

 自社の専用線として敷設している場合、他社の通信データと混在することは無く、自社以外の通信によってトラフィックの急な増大が起こることもなく、トラブルも発生しません。
 通信の傍受などに対しても、通信会社の設備を利用するよりは堅牢であると言えます。セキュリティ面では専用線の方が安心であることは間違いありません。

 費用に関してはGoogleが11社共同で進めている、日本とシンガポール間9000kmの海底ケーブル敷設計画「SJC(Southe-East Asia Japan Cable)」が、総額300億円から400億円ほどであるという報告が出ています。
 Googleの負担がどのくらいかは不明ですが、11社参加ということから単純に数十億円ぐらいだと考えられます。意外に安いと思うのは私だけでしょうか。

 例えば、Appleの本社建設の総工費が5,600億円。GoogleがYouTubeを買収した時の費用が2,000億円。GAFAに関してニュースで見かけるこれらの金額と比較すると、二桁も違います。
 有り余る予算を持っている巨大IT企業にとって、数十億円からせいぜい100億円ぐらいの費用であれば、余裕で払える金額なのかも知れません。
 海底ケーブルの敷設計画と実行が、あっという間に進んでいるのもうなづけます。*注5

Grace Hopperとは誰でどんな功績があるのか

 私が、最初に関連する記事を見た際、「Grace Hopper」を「グラスホッパー(grasshopper)」と勘違いして読んでいました。バッタのようにピョンっと海洋を飛び越えてデータを送受信するイメージが先行していたせいでしょう。
 すぐに人名、しかも女性であることに気づきましたが、浅薄なためどんな人物なのか知識はありませんでした。

 「Grace Hopper」で調べてみると、コンピュータサイエンス分野で初期に活躍した人物であることがわかりました。
 彼女は、世界初のコンピューターコンパイラやプログラミング言語である「COBOL」の開発に関わっています。また、米国初の電気機械式計算機「Harvard Mark I」の開発に貢献したことでも知られています。*注6

 コンピューター用語として利用され、現在では他の分野でも使われるようになった「バグ」と言う言葉は、彼女のある逸話によって広く認知されるようになったものです。
 彼女が活躍していた時代も「バグ」という用語自体は、電気関係の不具合を表す言葉としてすでに流通していたようです。
 コンピューターの動作に関して、この当時はリレー回路に実際の「虫(Bug)」が挟まることで、物理的なエラーを起こす事例が発生していました。
 彼女は、Harvard Mark IIを操作していた際に、エラーの原因となった「蛾」を発見し、作業日誌に「蛾」を貼り付けた上で「実際にバグが見つかった最初の例」と書き記したそうです。この逸話が有名になり、プログラミング上のエラーを「バグ」と言う言葉で表現することが広がったようです。

 GoogleやFacebookは、どちらかというとネットワーク上のサービスを提供している「ソフト」至上主義である企業と捉えがちです。
 もちろん、世界最高水準の技術力を持つIT企業であることに間違いはありませんが、そのクオリティを担保するため、積極的にインフラに投資をしている企業でもあります。世界各地に展開するデータセンターや海底ケーブルなどが、それを証明しています。
 Amazonが、自社用に開発・運用していたAWSを開放してビジネス化したように、この先GoogleやFacebookが、国際通信分野で何らかのサービスを提供する日が来るのかも知れません。

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注1
Google Cloud 「米国、英国、スペインを結ぶ海底ケーブル、Grace Hopper の発表」
https://cloud.google.com/blog/ja/products/infrastructure/announcing-googles-grace-hopper-subsea-cable-system
注2
cnet Japan 「グーグルの新海底ケーブル「Grace Hopper」が英国に到達」
https://japan.cnet.com/article/35176766/?utm_source=newspicks&utm_medium=news_distribution&utm_campaign=newsfeed_distribution
Google Cloud 「Google Cloud のネットワーク」
https://cloud.google.com/about/locations/#network

注3
Giazine 「MicrosoftとFacebookがタッグを組んで大西洋を横断する光ファイバー海底ケーブルを敷設する」
https://gigazine.net/news/20160527-microsoft-facebook-marea/
Wired ”Facebook and Microsoft Are Laying a Giant Cable Across the Atlantic”
https://www.wired.com/2016/05/facebook-microsoft-laying-giant-cable-across-atlantic/
注4
Gigazine 「Googleが絶海の孤島に最新テクノロジーの海底ケーブルを設置する理由とは?」
https://gigazine.net/news/20190723-saint-helena-googles-equiano-cable/
注5
Gigazine 「総工費360億円、23Tbpsで通信が可能な全長9000kmの光海底ケーブル「SJC」の製造工場&敷設船見学レポート」
https://gigazine.net/news/20121112-south-east-asia-japan-cable/
iPhone Mania 「総工費50億ドル!Apple新社屋「Apple Park」の施設ごとの建設コストとは?」
https://iphone-mania.jp/news-188049/
ビジネス+IT 「グーグル、YouTubeを買収」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/12275
注6
Google Cloud 「米国、英国、スペインを結ぶ海底ケーブル、Grace Hopper の発表」
https://cloud.google.com/blog/ja/products/infrastructure/announcing-googles-grace-hopper-subsea-cable-system
cnet Japan 「グーグルの新海底ケーブル「Grace Hopper」が英国に到達」
https://japan.cnet.com/article/35176766/

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