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Appleが新たに提供するクラシック音楽専用サービス「Apple Music Classical」とは

Appleは2023年3月に、新たなクラシック音楽専用の「Apple Music Classical」をリリースしました。当面は米国内のみであり、しかもiPhone用の専用アプリでの利用に限定されています。
このニュースが流れた時、「すでにApple Musicがあるのに、なぜわざわざクラシック専用を?」というのが第一印象でした。私はクラシック音楽にそれほど造詣がないのですが、調べていくと納得の理由がありました。
今回の記事ではその辺りを少し詳しくご紹介していきましょう。

この記事でわかること

 ・「Apple Music Classical」の検索機能について
 ・「Apple Music Classical」のその他の特徴
 ・「過去」だけでなく「これから」のクラシック音楽のための活動について

ここが凄い!「Apple Music Classical」の検索機能

「Apple Music Classical」にはいくつかの重要な特徴があります。しかし、なんといっても一番の特徴であり、おそらくクラシック音楽ファンが待ち望んでいたのは「柔軟で豊富な検索機能」でしょう。

クラシック音楽には、バリエーションが多いという性質があります。
例えばベートーヴェンの交響曲第5番『運命』は、1800年初頭に発表された誰もが知っているクラシックの名曲です。
発表から200年を越す歴史の中で、世界中のさまざまな音楽家に演奏されてきました。そのため、録音され音源として残されているものも、膨大な数に及びます。

ポップスとは異なり、「オリジナル」や「本家」の演奏や歌唱が存在するのではなく、膨大な演奏の中から聴き比べるのがクラシック音楽というものです。
例えば「運命」ならば、1974年のカルロス・クライバーが指揮した、ウィーンフィル演奏が有名であり、名盤とされています。他にも1976年のカラヤン指揮、ベルリンフィル演奏のものや、2000年の小澤征爾指揮、サイトウキネン・オーケストラのものなど、星の数ほど音源が残されています。

クラシック愛好家の場合、単に「運命」を聴くと言うわけではなく、誰の指揮でどこのオーケストラの演奏なのか、が非常に重要です。さらに年代や場所なども、重要な要素になるでしょう。もちろん、個別楽器の演奏者にもこだわりがあるはずです。

従来の「Apple Music」でも「キーワード検索」があり、ある程度は細かな検索にも対応していますが、初めから検索要素として選択できるのとは大きな違いがあります。
「Apple Music Classical」では、年代・指揮者・オーケストラなどがデフォルトで検索要素として登録されています。
そのため、豊富な知識を持つコアなクラシック愛好家のニーズにも、十分応えることができる仕様となっています。
「Apple Music Classical」は、このような徹底的にこだわった設計にしたからこそ、「Apple Music」とは切り分け、独自のアプリをリリースしたのだということが理解できました。

「Apple Music Classical」は、世界中の本格的なクラシック音楽愛好者に向けた、こだわりのアプリです。
数多の音楽の中から、クラシック音楽だけを選別し、「わかる人」に響くような棚を店の一角に構える。そんなレコード屋のような作りが「Apple Music Classical」です。
発表と同時に多くのクラシック演奏家などから諸手を挙げて賞賛されていたのは、この「検索機能」ではないでしょうか。

「Apple Music Classical」その他の特徴

「Apple Music Classical」の一番の特徴であり、他と一線を画すのは「検索性能」であることは間違いありません。しかしそれ以外にも、多くの「クラシック音楽ファン」に訴える魅力的な機能や要素が実装されています。
では、順番に見ていきましょう。

世界最大のクラシック音楽のカタログ

「500万以上の楽曲をそろえた、世界最大のクラシック音楽のカタログで、著名な作品から忘れ去られた作品まで、幅広く網羅しています。」とAppleは誇らしげに説明しています。
先ほど「店の一角」という例えをしましたが、とてもそんなレベルではなかったですね。500万以上ものタイトルを揃えた超巨大レコード屋であり、しかも瞬時に求めるタイトルを検索できる。そんな内容になっています。

初心者にも優しいレコメンドとUI

ここまでは主に「コアなクラシック愛好家」に響く機能について注目してきました。私のようなクラシックをよく知らない初心者には、ハードルが高そうに見えます。
しかし「Apple Music Classical」には、優秀なエディターが初心者向けに厳選したタイトルなどもあり、クラシック音楽をよく知らない人やこれから聴きたいと思っている人にも優しい作りになっています。

アプリのUIも使い慣れた「Apple Music」とほぼ同じですので、操作自体に困ることはほとんどないでしょう。
その上で作品名・オーケストラ・指揮者・客演アーティスト・録音年まで、すべてが一目でわかるようになっており、今自分が何を聴いているか明確に把握できます。
自分のプレイリストに、さまざまな情報を追加することも可能ですので、使えば使うほど「手に馴染む」優れたUIとなっています。

デジタルという気楽さもあり、レコードやCDを求めたりする手間も省けます。あまり知識がないと、ショップで店員さんにあれこれ聞くのも恥ずかしいものですが、初心者にとってのハードルはほとんどありません。
「Apple Music Classical」をきっかけに、クラシックファンが増えるかもしれませんね。

過去の録音だけでなく、「Apple Music Classical」独占配信のタイトルなど、「ここでしか聴けない」ものもあります。初心者からコアな愛好家まで幅広く訴求できる、クラシック音楽に特化したサービスになっています。*注1

最高の音質

もちろん音質に関しても、最高の水準で提供されています。
最大24ビット/192kHzのロスレスオーディオを採用し、1音1音に至るまでクリアな音質と演奏者による細かなニュアンスの違いまで聴きとることができます。
ドルビーアトモスによる空間オーディオにも対応しており、まるでコンサートホールにリアルタイムでいるような素晴らしい演奏を体験することが可能です。

その他の特徴

「Apple Music Classical」は、クラシック専門の深い知識を持つエディターが700以上ものプレイリストを作成し、リスナーのあらゆるニーズにきめ細かく対応しています。
エキスパートによるテキストベースの解説に加え、音声解説「The Story of Classical」なども提供されており、クラシックをこれから勉強する初心者にとってありがたい作りになっています。

「Hidden Gems」という、あまりメジャーではない作品の紹介や、「Composer Undiscovered」という、有名な作品に対する新たな解釈を加えるものなど、色々な楽しみ方が提供されているのも素晴らしい点です。

また、作曲家のポートレートを新たに制作するという、少しユニークな試みもなされています。例えば、よく音楽室にあるベートーヴェンやモーツァルトなどの似顔絵が、現代の画家によってリニューアルされ、デジタル肖像画として提供されています。
これは正直、どのような利点があるのか判断に困りますが、Appleらしい「こだわり」の一つなのでしょう。

「Apple Music Classical」は独自のアプリで提供されますが、「Apple Music」のサブスク登録者であれば無料で利用できます。新たな追加料金は必要ありません。
ユーザーにとっては、単純に利用できるサービスが拡大したという、得しかない状態です。
一つ残念な点としては、現時点(2023年4月)では、まだ日本にサービスが提供されていないことでしょう。ぜひ早めに提供地域を拡大して欲しいものです。
また、iOSしか対応していないため、Android端末では利用できない状態ですが、いつまでもこのままではないでしょう。MacやtvOSなどへの対応も待たれるところです。

「過去」だけでなく「これから」のクラシック音楽のための活動も

「Apple Music Classical」の素晴らしい点は、優れた検索性能とクラシック初心者からコアなファンまで幅広く満足させられるだけのさまざまな作り込みです。
しかし、単に「過去の音源を提供」するだけのサービスに留まらず、「これからのクラシック音楽の普及」につながる取り組みを同時にしている点にも注目するべきでしょう。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団から、カーネギーホール、シカゴ交響楽団、ロンドン交響楽団まで、世界に名だたる有名なクラシック音楽団体と提携し、独占的なコンテンツを提供するなど、独自の活動をしています。

2023年3月からは「Today at Apple」のプログラムの一環として、これらのパートナーによる生演奏を、世界中のApple Storeで開催する予定です。インターネットの中だけではなく、リアルな場でクラシック音楽と触れることができる機会を提供し、その普及に努めていくとの事です。

「Apple Music Classical」は、新しい切り口からクラシック音楽の視聴方法を「再設計」したものですが、単にアプリやサービスだけに留まりません。
Appleは本気で「クラシック音楽の普及と活性化」に取り組み、その最も効果的な形を生み出している最中なのかもしれません。
何年か後には「クラシックならAppleが一番」と呼ばれるサービスになる可能性を秘めている、非常に魅力的な取り組みではないでしょうか。

【まとめ】
正直、最初にこのニュースを耳にした時には「なぜわざわざクラシック音楽に特化したサービスを?」と疑問に感じました。しかし色々と調べていくうちに、クラシック音楽にとって、現在提供されている配信サービスでは、決して十分ではないことが理解できました。
それだけ深く、面白いクラシック音楽の世界に「Apple Music Classical」を通じて、一度触れてみるのもいいのではないでしょうか。

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■参考文献
注1 
Apple Newsroom 「Apple Music Classicalが登場」
https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/03/apple-music-classical-is-here/

「Apple Music Classical」
https://support.apple.com/ja-jp/HT213415

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