Pythonを使って点群処理はできる?活躍するライブラリを紹介
現在最もポピュラーなプログラミング言語の一つに、Pythonが挙げられます。元々は統計分野で活躍していたPythonですが、AI技術の発展に伴い、その汎用性の高さが注目され、現在はグラフィック処理の分野でも活躍が見られます。
この記事では、そんなPythonを使って点群処理を実行する方法について解説しながら、点群処理に役立つライブラリも合わせて紹介します。
目次:
- Pythonについて
- 点群処理とは
- 点群処理に役立つ主な技術
- Pythonで点群処理を実施する手順
- 点群処理に活躍するライブラリ
- Pythonを使って点群処理を実行する際の注意点
Pythonについて
そもそもPythonとは、オープンソースで開発・提供されているプログラミング言語の一種です。Pythonが人気の理由の一つでもあるのがその使いやすさで、シンプルな構文を特徴としていることから、プロはもちろん、プログラミング初心者にも馴染みやすく、多くの人に浸透している言語です。
1990年代に開発されたPythonは現在も最前線で活躍しており、SNSなどWebサービスの開発やデータサイエンス、AI開発など領域を問わない活躍も話題を呼んでいます。
点群処理とは
Pythonはグラフィック処理の領域でも活躍しているプログラミング言語ですが、その中の業務の一つとして挙げられるのが点群処理です。
点群とはその名の通り点の集まりのことを指しますが、3Dモデリングのアプローチの一つとして、近年多くのプロジェクトで使用されています。
通常、3Dモデリングを実施する場合は一から3Dモデルを生成するため、既存の構造物のモデルを確認する場合などは設計の際に使用したモデルデータを引っ張ってくることになります。
ただ、3Dモデリングが普及する前に構築された建築物や、3Dモデルの概念が存在しない山や河川といった自然の構造物を扱う場合、3Dモデルがないので現地を測量して、3Dモデル化しなければいけません。
その際に役立つのが点群処理技術で、レーザースキャンなどを使って現実の構造物をそのまま読み込み、3Dモデルに落とし込みます。その過程でスキャンしたデータは点群化され、ノイズデータなどを処理し、見やすく使いやすい3Dモデルへと仕上げる作業が必要になるわけです。
業務のデジタル化やスマートシティ化の推進に伴い、全ての構造物をデジタルデータ化する作業は喫緊の課題です。点群処理は未だデジタル化されていない構造物を3Dに落とし込むための過程として重要な役割を果たすことから、注目度の高い技術とされています。
点群処理に役立つ主な技術
点群処理を実行するにあたっては、多様なアプローチを経てデータの品質を高め、3Dモデルとして運用ができるよう仕上げていくことが重要です。ここでは、点群処理に活躍する主な技術を紹介します。
ノイズ除去・フィルタリング
ノイズ除去、およびフィルタリングは、レーザースキャンを実行したときに含まれる、オブジェクトとは関係のない点群データを除去する工程です。
例えば一軒家そのものをスキャンしたいのに、周囲の森の様子や駐車している自転車などのデータが含まれてしまう場合、これをノイズ除去にかけることで、データを一軒家のものに絞ることができます。
これによって点群処理の精度を高め、質の高い3Dモデルを用意することが可能です。
ダウンサンプリング・アップサンプリング
ダウンサンプリングは、点群データに含まれる点群の数をあえて減らすことで、データの負担が大きくなるのを防いで計算処理を高速化するための手続きです。
一方のアップサンプリングは、点群データとしての質を高めるため不足する点群を補い、完成度を高める処理です。いずれの手法も必要に応じて、適宜実行することが求められます。
特徴点抽出
特徴点抽出は、点群データの中でも重要性の高い点群を特徴点として抽出し、物体検出の際の精度を高めるのに役立ちます。主にAIに点群データを読み込ませる際に活躍する工程です。
位置合わせ(レジストレーション)
位置合わせとは、無数に存在する点群を一つのデータとして扱うための作業を指します。ここからここまでが家、ここから先は森といったように、広範囲のデータを取得した際、コンピュータにデータの境界線を定義する上で必要になる作業です。
Pythonで点群処理を実施する手順
Pythonは、上記のような点群処理を行う上で役に立つプログラミング言語です。Pythonを使って点群処理を行う場合、必要になるプロセスとしては以下の2つです。
ライブラリを用意する
まずは、点群処理を実行するためのライブラリを用意します。ライブラリとは特定のタスクを実行するための素材や機能が詰まったもので、これをPythonにインストールしておくことで、一からコードを全て入力しなくとも簡単に実行することができます。
ライブラリにはさまざまな種類が存在し、点群処理に対応しているものだけでも複数あります。まずはPythonで点群処理を行うのに適したライブラリをあらかじめ用意しておきましょう。主なライブラリについては、後ほど紹介します。
コードを入力して実行する
続いて、ライブラリを使って点群データを読み込み、必要なコードを入力して処理を実行します。ライブラリを使うことで、コードをコピペするだけで簡単に点群データを分析にかけることができるので、非常に便利です。
どんなコードを入力するかについては目的やライブラリに応じて異なりますが、それぞれテンプレートが用意されているので、一から入力しなくとも点群処理を行うことはできます。
点群処理に活躍するライブラリ
Pythonを使った点群処理に役立つ主なライブラリとしては、
- Open3D
- Ploty
- matplotlib
などが挙げられます。Open3Dは、ノイズ除去やデータの可視化など、点群処理に必要なツールを一通り揃えている、便利なライブラリです。githubにて一通りのコードが紹介されているので、確認をおすすめします*1。
Plotyは、基本的にはグラフ描画のためのライブラリですが、点群処理においてもビジュアライズを行うのに活躍するので、重宝されています。3Dの散布図を描く際に使われるのがmatplotlibで、こちらは点群処理以外のタスクにも活躍することから、すでにインストールしているという人も多いです。
Pythonを使って点群処理を実行する際の注意点
点群処理をPythonで行う際に注意したいのが、マシンスペックです。点群処理は小さいデータを扱う場合にはそこまで気にならないものの、大きなデータを扱うとなると、相応のスペックのマシンを用意しないとまともに計算が行えません。
ダウンサンプリングなどを実行し、負荷を軽くすることはできるものの、限界はあるので手元のマシンスペックに注意を払ったり、クラウドサービスを活用するなどして、負荷を小さく抑えましょう。
まとめ
この記事では、Pythonを使った点群処理の際に知っておきたいポイントをまとめて解説しました。Pythonは万能なプログラミング言語であり、点群処理の領域でも活躍しているのが特徴です。
各種ライブラリの特徴を見極め、高度なデータ処理が行えるようスキルアップに取り組みましょう。
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出典:
*1 Github「Open3D」