1. TOP
  2. ブログ
  3. 無人建機から3Dプリンターまで、現場DXの最新事例

無人建機から3Dプリンターまで、現場DXの最新事例

はじめに:現場DXが切り開く建設業界の未来

建設業界は、技術革新の波に乗り、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めています。特に、無人施工や3Dプリンター施工といった最新技術は、業界の未来を大きく変える可能性を秘めています。これらの技術は、建設現場の効率化や安全性の向上に寄与し、持続可能な建設プロセスを実現するための鍵となっています。この記事では、現場DXの最新研究を紹介し、これらの技術がどのように建設業界の課題を解決し、未来を切り開くのかを探ります。

現場DXの進む背景

人手不足と労働生産性の課題

建設業界は、熟練技能者の大量退職や若手入職者の減少により、深刻な人手不足に直面しています。さらに、従来の作業は熟練者の技能に依存しており、技能継承が課題となっています。このような状況下で、労働生産性の向上が求められています。建設現場DXは、これらの課題を解決するための有力な手段として注目されています。無人施工やロボット施工、3Dプリンタ施工などの技術は、少人数での効率的な作業を可能にし、労働生産性を大幅に向上させることが期待されています。

労働災害のリスクとその影響

建設業界は、悪環境での作業が多く、労働災害のリスクが高い業界です。建設業労働災害防止協会のデータによれば、建設業界の死亡災害割合は全産業の32%を占めています。(※1)このような状況を改善するために、現場DXが進められています。無人施工やロボット施工、遠隔臨場技術は、危険な作業を人間に代わって行うことで、労働災害のリスクを低減し、安全性を向上させることができます。

現場DXの最新事例紹介

鹿島建設の自動建機システム A4CSEL®(クワッドアクセル)

鹿島建設が開発した自動建機システムA4CSEL®(クワッドアクセル)は、建設機械の自動化施工を実現する画期的な技術です。このシステムは、汎用の建設機械を自動化改造し、最適化された施工計画に基づいた作業データを機械に送信することで、機械が自律的に作業を行います。これにより、熟練技能者の退職や若手の減少による人手不足、現場の労働生産性の低さ、労働災害の多さといった建設業界の課題を解決し、製造業のような効率的な生産プロセスを構築します。

A4CSELは、建設機械の自動化改造、熟練者の操作データを活用したAIによる自動運転、複数機械を連携させた施工マネジメント技術の3つの技術から成り立っています。これにより、効率的な機械配置と施工計画を自動作成し、少人数で多くの自動化機械を同時に管制できる環境を実現します。

画像引用: 鹿島建設株式会社 『A4CEL🄬とは』
https://www.kajima.co.jp/tech/c_a4csel/engineering/index.html

2021年には、全国3か所の現場で20台の自動化機械を、東京の本社からわずか4名の管制員で遠隔操作することに成功しました。将来的には、全国の現場をテレワークで管制するだけでなく、世界中や月面の自動化建設機械も一括で操作できる可能性があります。これにより、建設業の持続可能な発展と安全性向上を目指しています。(※2)

清水建設の材料噴射型3Dプリンティング技術

清水建設は、材料噴射型3Dプリンティング技術を活用し、実際の建設現場での初適用を行いました。この技術は、鉄筋コンクリート柱の施工において、従来の材料押出型3Dプリンティングでは難しかった有筋構造の直接造形を可能にします。

材料噴射型技術では、圧縮空気を用いてノズルから材料を噴射し、鉄筋の外周から内部に向けて材料を充填することで有筋部材の造形が可能になります。これにより、施工期間を約4割短縮し、環境負荷の低減や資材の削減にも寄与します。完成した構造部材の耐力や靭性は従来の鉄筋コンクリートと同等以上であることが確認されており、今後は既存構造物の補修や応急復旧にも活用される予定です。(※3)

画像引用: 清水建設株式会社 プレスリリース『材料噴射型3Dプリンティング技術を実工事に初適用』(2024.11.11)
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2024/2024049.html

株式会社鴻池組のMR技術を利用した遠隔臨場

株式会社鴻池組は、MR(Mixed Reality)技術を活用したトンネル施工管理システム「トンネルMR」にDX技術を加え、実証実験を実施しました。このシステムは、トンネルのCIMモデルに計測データや現場の観察記録を統合し、クラウド上でデジタルツインを構築します。MRデバイス「HoloLens 2」を用いることで、遠隔地からリアルタイムに現場を確認し、リモートでの検査・指示が可能となります。

これにより、非接触での検査業務が可能となり、業務効率化と安全性向上に貢献します。今後は、インフラ設備の老朽化対策や少子高齢化による建設従事者の減少に対応するため、デジタル技術を活用した業務効率化が進められる予定です。(※4)

YKK AP株式会社の非木造建築用窓施工ロボット「MABOT」

YKK AP株式会社は、非木造建築の現場で窓の施工を行うロボット「MABOT(マボット)」を業界で初めて開発しました。このロボットは、建設現場の省人化や安全性向上を目指し、特にビル建設の現場での活用を想定しています。

MABOTシリーズには、窓枠設置を担当する「アライメンター01」と自動溶接を行う「ウェルフィクサー01」の2つのロボットが含まれ、これらは自律移動しながら作業員と協働して作業を行います。これにより、高所作業や有毒ガスのリスクを軽減し、現場の安全性を向上させます。今後もAIや自律移動技術を活用したロボットの開発を進め、資材運搬や品質検査まで自動化を拡大する計画です。(※5)

画像引用: YKK AP株式会社 ニュースリリース 『業界初の非木造建築用窓施工ロボット「MABOT」を開発』(2024.9.30)
https://www.ykkapglobal.com/ja/newsroom/releases/20240903

技術革新がもたらす建設業界への影響

効率化と生産性の向上

現場DX技術の導入により、建設現場の効率化と生産性の向上が期待されています。無人施工やロボット施工、3Dプリンタ施工などの技術は、少人数での効率的な作業を可能にし、労働生産性を大幅に向上させることができます。これにより、人手不足の問題を解決し、建設業界の競争力を高めることができます。

安全性の向上と労働災害の減少

現場DX技術は、建設現場の安全性を向上させ、労働災害のリスクを低減することができます。無人施工やロボット施工、遠隔臨場技術は、危険な作業を人間に代わって行うことで、労働災害のリスクを低減し、安全性を向上させることができます。これにより、建設現場での事故を減少させ、労働者の安全を確保することができます。

持続可能な建設プロセスへの貢献

現場DX技術は、持続可能な建設プロセスの実現にも貢献します。3Dプリンタ施工やロボット施工は、資材の無駄を削減し、環境負荷を低減することができます。これにより、建設業界の環境への影響を最小限に抑え、持続可能な社会の実現に寄与することができます。

現場DX技術の社会実装と未来展望

研究成果の社会実装への道

現場DX技術の社会実装は、研究成果を実際の建設現場に適用し、社会的な課題解決に貢献することを目指しています。無人施工や3Dプリンタ施工、ロボット施工などの技術は、建設業界の課題を解決するための有力な手段として注目されています。これらの技術を社会に実装することで、建設業界の未来を切り開くことができます。

業界のイノベーションへの貢献

現場DX技術は、建設業界のイノベーションに大きく貢献しています。無人施工やロボット施工、3Dプリンタ施工などの技術革新は、建設業界の効率化や安全性向上に寄与し、業界全体の競争力を高めることができます。これにより、建設業界の未来を形作ることができます。

次世代技術の創出と研究者の役割

現場DX技術の研究は、次世代技術の創出に向けたインスピレーションを提供します。研究者は、最新の技術動向を把握し、未開拓の研究領域に挑戦することで、新たな知見や技術を開発することが求められています。これにより、建設業界の未来を切り開くことができます。

まとめ:建設業界の未来を切り拓く現場DXの可能性

現場DX技術は、建設業界の未来を切り開くための重要な鍵となっています。無人施工や3Dプリンタ施工、ロボット施工などの技術は、建設現場の効率化や安全性向上に寄与し、持続可能な建設プロセスを実現するための手段として注目されています。これらの技術を活用することで、建設業界の課題を解決し、未来を切り開くことができます。研究者は、これらの技術を活用し、建設業界のイノベーションに貢献することが求められています。

建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!

❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

参考情報:

※1 建設業労働災害防止協会(建災防)  『建設業における労働災害発生状況』
https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/statistics/occupational_accidents.html

※2 鹿島建設株式会社 『技術とサービス – A4CEL』
https://www.kajima.co.jp/tech/c_a4csel/index.html

※3 清水建設株式会社 プレスリリース『材料噴射型3Dプリンティング技術を実工事に初適用』(2024.11.11)
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2024/2024049.html

※4 株式会社鴻池組 プレスリリース『MR技術を活用したトンネル施工管理システム(トンネルMR)にDX技術を付加-名塩道路城山トンネル工事にてMRを使った遠隔臨場検査を実証-』(2021.9.27)
https://www.konoike.co.jp/news/2021/202109272863.html

※5 YKK AP株式会社 ニュースリリース 『業界初の非木造建築用窓施工ロボット「MABOT」を開発』(2024.9.30)
https://www.ykkapglobal.com/ja/newsroom/releases/20240903

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP