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KDDIが本気で進めるデジタルツインの事例をご紹介

現実世界を丸ごとコピーしてバーチャル空間に再現する「デジタルツイン」。
技術の進歩によって膨大なデータ処理が瞬時にできるようになり、このデジタルツインがいよいよ、現実的なアプリケーションやサービスとなって登場しています。
今回の記事ではKDDIが取り組む「デジタルツイン」の具体例について、紹介していきましょう。

この記事でわかること
 ・KDDIが取り組む「バーチャル渋谷」の拡張について
 ・KDDIがデジタルツインを成長分野として見てる点について
 ・デジタルツインに関するその他の実例について

KDDIが取り組む「バーチャル渋谷」の拡張

デジタルツインの実現には現実世界を瞬時に読み取りデータ化する、センサー類・IoT機器・高速な通信環境・データの圧縮/デコード技術・高性能サーバーなどが必要となります。
KDDIはその中でも通信インフラに関わる事業者であり、重要な役割を担っています。

KDDIはさらに一歩踏み込んで、5G通信回線の普及だけでなくその先を見据え、デジタルツインを活用したアプリケーションやサービスについても積極的に関わっています。
その中でも、行政区である渋谷区と連携して進めているのが「デジタルツイン渋谷」です。

バーチャル空間上に「もう一つの渋谷」を構築し、現実世界とバーチャル世界を繋げた新たな文化を発信するプラットフォームが、「デジタルツイン渋谷」の前身である「バーチャル渋谷」です。
渋谷区公認の配信プラットフォームであり、clusterアプリを使ってスマホやPC、VRゴーグルからアクセスすることができます。*注1

◯「バーチャル渋谷」 参加団体・企業

「バーチャル渋谷」は、KDDI・渋谷未来デザイン・渋谷区観光協会を中心に組成する「渋谷5Gエンターテインメントプロジェクト」が、2020年5月に立ち上げました。

日本で初めての自治体公認の都市連動型メタバースと位置付けられています。

・一般社団法人 渋谷未来デザイン
 
・一般財団法人 渋谷区観光協会

・渋谷5Gエンターテインメントプロジェクト

・KDDI

◯「バーチャル渋谷」 受賞歴・実績

「バーチャル渋谷」は、世界でも先進的な取り組みとして大きな評価を獲得しています。
行政機関と緊密な連携をしていることや、メタバースやデジタルツインの具体的なアプリケーション・サービスを作り、多くの人が参加していることなどの実績が評価されています。
また、定期的にイベントを開催し、世界中から100万人もの参加者が集うこともあります。

・第7回JACEイベントアワード最優秀賞経済産業大臣賞(日本イベント大賞)

・London International Awards 2022 Creativity In The Metaverse Gold

世界的に見ても非常に注目を集めている取り組みであることがわかります。

現在「バーチャル原宿」など、同様の取り組みも広がっています。これらをさらに一歩進めたのが「デジタルツイン渋谷」であり、2023年にはさらなる「拡張」を宣言し、進化を続けています。

ここで「バーチャル渋谷」と「デジタルツイン渋谷」の違いについて、確認しておきましょう。

「バーチャル渋谷」と「デジタルツイン渋谷」の違い

参加者が実際に渋谷を訪れた際、位置情報と連装してデジタル化されたコンテンツを街中に表示し、それをモバイルデバイスと専用アプリを利用して閲覧する。これが「バーチャル渋谷」です。
 
「バーチャル渋谷」では、さまざまなデジタル化されたイベントが開催されてきました。
例えば、渋谷のハロウィーンイベントは多くの人が集まり、日本で最も有名な存在となっていますが、この時期に合わせて「バーチャル渋谷」でも、「デジタルハロウィーンフェス」が開催されるなど、現実世界とも連携しながら多くの参加者を集め、盛り上がりを見せました。

また「デジタルツイン渋谷」では、渋谷の街中にある実店舗や店舗内の商品などもデジタルで再現し、バーチャル空間内で実際にアクセスし購入ができるようになっています。
2023年にはさらなる「拡張」を宣言し、実店舗にいる販売員と遠隔地からコミュニケーションを取りながら買い物ができるようになるなど、さまざまなサービスが実現していきます。

しかし「バーチャル渋谷」は、情報の発信者と受信者が別れており、情報は一方通行で発信され、受信者はアプリを通じてそれを閲覧するだけです。そのため、AR技術を利用して、バーチャルな映像が現実世界に映し出されることだけが目新しい部分でした。
しかし「デジタルツイン渋谷」では、双方向のコミュニケーションを実現しており、大きく可能性が広がっています。*注2

KDDIがデジタルツインを成長分野として見てる点

ではなぜ通信事業者であるKDDIが、ここまでデジタルツインの具体的なアプリケーション・サービスにまで踏み込んでくるのでしょうか。それは、KDDIが最近行ったいくつかのアナウンスを見るとわかります。

KDDIは、これから2030年ごろまでを目処に、本格的なメタバース・デジタルツインと、それに関連するサービス市場が拡大し、大きなビジネスチャンスがあると考えています。
5Gや6G、さらにその先の通信インフラが重要性を増すとともに、新しいサービスが生まれるチャンスも拡大します。
そこで重要な役割をKDDIが担い、標準モデルとなるようなプラットフォームを確立することができれば、大きなビジネスになります。

◯2023年1月 KDDI総合研究所が報道陣向けに発表した内容

KDDIとKDDI総研は、2030年を見据えた次世代社会構想として「KDDI Accelerate 5.0」を策定しました。そこでは2030年を「デジタルツインの時代」と位置付けています。
 
ここでXR技術開発に必要な2つの技術について注力していきます。
一つは現実世界を瞬時に読み取りデータ化する際に重要となる「3D点群データ伝送技術」。もう一つは「立体的な音響を実現し自然なXR体験を実現」する技術です。
この2つの技術については、すでに一定の成果をあげており、報道陣向け発表では実際にデモンストレーションなども行っています。

◯2023年2月 オンラインイベント「KDDI SUMMIT 2023」の開催

KDDIの高橋誠社長が登壇し、「KDDI Digital Twin for All」というキャッチフレーズで、新しいビジネスを考えていきたいと語っています。
KDDIの一つのプロジェクトとしてではなく、会社全体の方針・キャッチフレーズに「デジタルツイン」が明記されました。このことからもKDDIの本気さがわかります。

本格的な5G時代に向けて、途中で電気信号に変換せず全ての経路を光のまま通信を行う「オールフォトニックネットワーク」への取り組みや、ソニーとの技術検証などについても紹介がありました。

◯KDDIのサテライトグロース戦略

5G通信環境の進化に合わせて、KDDIはサテライトグロース戦略を策定しました。
そこではDX (Digital Transformation)・金融・エネルギー・LX (Life Transformation)・地域共創 (CATV等) の5分野を注力領域と位置付けています。バーチャル渋谷はその中のLX分野に入ります。
5G浸透とテクノロジーの進化で、生活体験・行動を革新すると紹介されています。*注3

デジタルツインに関するその他の実例

KDDIの進めるデジタルツインについて、これまでいろいろと見てきました。では他に「デジタルツイン」はどのような活用例があるのか、比較のために少し見ていきましょう。

「バーチャル渋谷」は、エンターテイメントや商業利用としてのプラットフォームです。
商業利用の他には、自動車のリアルタイム情報を取得し、バーチャル空間に構築したモデルを使ったシミュレーションや、工場などの生産現場での活用などがあります。

◯本物のオフィスをデジタルツイン化する「デジタルツインスマートオフィス」

戸田建設が、バーチャルオフィス運営を事業とする「oVice」と共同で進める新たなサービスが「デジタルツインスマートオフィス」です。
オフィスビルの内部をバーチャル空間に再現するだけでなく、在宅勤務者や実際のオフィス勤務者が、アバターを通じてコミュニケーションを取ることができます。

「oVice」はすでに1,000棟以上のバーチャルオフィスを立ち上げており、そこでは毎日約6万人もの人が「出勤」し、実際にさまざまな仕事をしています。
すでに、私たちの身近なところでも、デジタルツインを活用したサービスが実現しているのがわかる事例です。*注4

◯生産工場をデジタルツイン化しロスを低減

エアコンや化学製品などを製造するダイキン工業が、2018年に建て替えた堺工場では、工場内のさまざまな情報をリアルタイムで、デジタルツイン上に再現することができます。
そこで異常予測機能を利用し重大な問題の発生を未然に防ぐことで、3割強ものロスを削減できる見込みとなっています。*注5

◯車両の情報を取得しリアルタイムでソフトのアップデートを実施

電気自動車のテスラでは、全ての車両にデジタルツインを搭載しています。
車から得られるさまざまな情報に加え、周囲の気象情報までをセンサーが取得。それらを中央のAIが自動で分析し、適切な走行ができるよう自動でアップデートをしています。
リアルタイムで自分が今乗っている自動車が進化するという、驚きの機能を実現しています。

◯3D都市モデルを構築しオープンデータ化

国土交通省が進める「PLATEAU」プロジェクトでは、全国56都市の3Dデータをオープン化し、誰もが活用できるようにしています。
これを活用することで、防災や観光などさまざまなサービスへ展開することが可能です。この記事で取り上げた「バーチャル渋谷」でも、このオープンデータが利用されています。

【まとめ】
デジタルツイン・メタバースと聞くと、なんだかアニメや漫画の世界のようなフワフワした感じがします。しかし、今回の記事で取り上げた実例を見てみると、決して遠い未来の話ではなく、もうすぐ誰もが気軽に利用できるところまで来ていることがわかります。
2030年にはどのような世界になっているのか、どんなサービスが登場するのか、今から非常に楽しみです。

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■参考文献
注1
バーチャル渋谷
https://vcity.au5g.jp/shibuya
バーチャル渋谷ハロウィーンフェス
https://vcity.au5g.jp/shibuya/halloween2022

注2
KDDI 「リアルとバーチャル空間が連動、「デジタルツイン渋谷」を拡張」
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2022/10/27/6354.html

注3
KDDI 「サテライトグロース戦略」
https://www.kddi.com/vision/satellite-growth/
BUSINESS NETWORK 「「5G通信を“太陽”に、デジタルツインで新ビジネス」KDDI高橋社長」
https://businessnetwork.jp/article/12880/
ケータイWatch 「現実世界の“そっくりさん”「デジタルツイン」の実現へ、KDDI総研の最新技術とは?」
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1472855.html

注4
MAG BOXIL 「リアルとバーチャルを連携させる「デジタルツイン」、活用事例は増えつつあるが日本は出遅れ?」
https://boxil.jp/mag/a7878/

注5
NEC 「デジタルツインとは?製造業や都市などでの活用事例8選」
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sp/contents/column/20220701_digital-twin.html

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