AutoCADで3種類の回転方法をマスターしよう
AutoCADの回転コマンド「ROTATE」について解説します。
建築図面の作図においては、敷地境界線や壁が、傾斜しており、建具を壁の角度に合わせたり、家具を壁に沿って配置するなど、回転が必要な場面があります。
本記事では、3種類の回転方法について、「AutoCAD 2025」の操作画面を引用して分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと、以下のことが分かります。
1.AutoCADにおける現在の角度を基準に回転する方法
2.AutoCADにおける0°を基準に回転する方法
3.AutoCADにおける他のオブジェクトに合わせて回転する方法
回転コマンドの起動方法
まずは、回転コマンドの起動方法を解説します。
次の2つの方法があります。
<1>[作図]タブ-[修正]パネル-[回転]コマンドを選択します。
<2>コマンドラインに[ROTATE]と入力し、[Enter]キーを押します。[ro]と入力すれば一番上に表示されます。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
【前提】角度の基準について
3種類の回転方法を解説する前に、AutoCADの角度の基準について解説します。
初期設定で角度の基準となる0°は、基準点から東方向の水平となります。
反時計回りに回転するため、基準点から北方向は90°、西方向は180°、南方向は270°です。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
(1)現在の角度を基準に回転
ここからは、3種類の回転方法について解説します。
1つ目は、現在の角度を基準に、回転する数値を指定して回転させる方法です。
たとえば、現在の角度が0°の場合、30°を指定すれば、0°+30°=30°の角度になります。
また、現在の角度が15°の場合、30°を指定すれば、15°+30°=45°の角度になります。
操作は下記の手順で行います。例として、現在の角度が0°の線を30°にします。
- 回転コマンドを起動します。
- 回転したいオブジェクトを選択後、[Enter]キーを押します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 基点を選択します。基点とは、回転の中心となる点です。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 回転したい角度をコマンドラインに入力し、[Enter]キーを押します。ここでは、30°回転させるために[30]と入力しました。これで操作が完了しました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 元の0°から30°回転して、30°の線になりました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
では、同じ手順で現在の角度が15°の線を、30°回転させてみましょう。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
15°を基準として30°回転させたため、15°+30°=45°の線になりました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
(2)0°を基準に回転
2つ目は、0°を基準に回転させる方法です。
既に角度がついている場合でも、0°を基準とするために、現在の角度の情報が必要です。現在の角度が分かる場合と分からない場合で、2つの方法があります。
また、AutoCADでは、現在の角度を「参照する角度」と表現しています。
(2-1)現在の角度が分かる場合
現在の角度が分かる場合は、「参照する角度」として、現在の角度を入力します。
例として、現在の角度が45°と分かっている線を、60°の角度にしてみましょう。
手順3までは、(1)と同じです。
- 回転コマンドを起動します。
- 回転したいオブジェクトを選択後、[Enter]キーを押します。
- 基点を選択します。
- [参照(R)]オプションを選択します。選択方法は次の2つです。
<1>コマンドラインに[r]と入力し、[Enter]キーを押します。
<2>[ダイナミック入力]が有効になっている場合、キーボードで[▼]キーを押すとメニューが表示されるため、[参照(R)]オプションを選択します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - コマンドラインに、「参照する角度」と表示されました。現在の角度を入力し、[Enter]キーを押します。ここでは、現在の角度が45°のため、[45]と入力しました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 0°を基準とした状態になっているため、コマンドラインに最終的な角度を入力し、[Enter]キーを押すと、操作完了です。ここでは、60°の角度にするため、[60]と入力しました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 0°を基準に60°回転させたため、0°+60°=60°の角度の線になりました。
(2-2)現在の角度が分からない場合
現在の角度の数値が分からない場合は、回転させたいオブジェクトの2点を選択することで、角度を測定し、「参照する角度」として使用します。
例として、現在の角度が分からない線を、60°の角度にしてみましょう。手順4までは、(2-1)と同じです。
- 回転コマンドを起動します。
- 回転したいオブジェクトを選択後、[Enter]キーを押します。
- 基点を選択します。
- [参照(R)]オプションを選択します。選択方法は次の2つです。
<1>コマンドラインに[r]と入力し、[Enter]キーを押します。
<2>[ダイナミック入力]が有効になっている場合、キーボードで[▼]キーを押すとメニューが表示されるため、[参照(R)]オプションを選択します。 - 現在の角度の線の1点目を選択します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 現在の角度の線の2点目を選択します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 0°を基準とした状態になったため、コマンドラインに最終的な角度を入力し、[Enter]キーを押すと操作完了です。ここでは、60°の角度の線にするため、[60]と入力しました。
- 0°を基準に60°回転させたため、0°+60°=60°の角度の線になりました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
(3)他のオブジェクトに合わせて回転
特定のオブジェクトを、他のオブジェクトの角度に合わせる方法です。手順6までは、(2-2)と同じです。
例として、下図の右側のソファを、左側のソファと同じ角度にしてみましょう。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
- 回転コマンドを起動します。
- 右側のソファを選択後、[Enter]キーを押します。
- 右側のソファの基点を選択します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - [参照(R)]オプションを選択します。選択方法は次の2つです。
<1>コマンドラインに[r]と入力し、[Enter]キーを押します。
<2>[ダイナミック入力]が有効になっている場合、キーボードで[▼]キーを押すとメニューが表示されるため、[参照(R)]オプションを選択します。 - 右側のソファの現在の角度を参照するため、1点目を選択します。ここでは、長手方向の角度を取得します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 2点目を選択します。これで、右側のソファの角度を取得し、基準を0°にすることができました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 左側のソファの角度に合わせるために、左側のソファの角度を測定します。[点を指定(P)]オプションを選択します。選択方法は次の2つです。
<1>コマンドラインに[p]と入力し、[Enter]キーを押します。
<2>[ダイナミック入力]が有効になっている場合、キーボードで[▼]キーを押すとメニューが表示されるため、[点を指定(P)]オプションを選択します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 左側のソファの角度を参照するため、1点目を選択します。手順5・6で右側のソファの長手方向の角度を取得したため、同様に、左側のソファも長手方向の角度を取得します。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 2点目を選択すると、操作完了です。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214 - 右側のソファが左側のソファと同じ角度になりました。
引用)AutoCAD 2025 V.58.M.214
まとめ
3種類の回転方法を解説しました。
一度に理解することは難しいですが、繰り返しの作業で慣れていきましょう。
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