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Revitを活用した任意形状モデリングの基礎と応用例

はじめに

「Revitを使って複雑な形状をモデリングしたいけど、何から始めればいいかわからない」という方はいませんか?建築デザインの世界では、直線的で規則的な形状が主流でしたが、近年ではより自由で独創的な形状が求められることが増えています。こうした変化に伴い、Revitの任意形状モデリング機能の重要性が高まっています。

一方で、ランドマーク建築や高意匠性が求められるプロジェクトでは、より独創的で複雑な形状が必要とされることも少なくありません。こうした設計には、Revitの任意形状モデリング機能が特に有効であり、制約を超えたデザインの実現を可能にします。

本記事では、Revitを活用した任意形状モデリングの基本から応用までをわかりやすく解説します。

以下に「2. 任意形状モデリングとは?」のリライト案を示します:

任意形状モデリングとは?

任意形状モデリングとは、従来の直線的でシンプルな建築形状を超えて、曲線や複雑な構造を取り入れた自由なデザインを指します。この手法により、建築デザインの創造性が大幅に向上し、従来の枠にとらわれない独自のデザインを実現できます。

例えば、ランドマーク建築では、視覚的なインパクトを与えるために流れるような曲面や斬新なフォルムが求められます。また、特殊な寸法やデザイン要件を満たす柱、意匠性の高い建具、さらには独自の形状を持つ開口部など、機能性と美観の両方を追求する場面で役立ちます。

任意形状モデリングのメリットは、単に美しさや独自性を追求できるだけでなく、機能的な要件も満たすことにあります。例えば、流体力学を考慮した外装デザインや、日射遮蔽効果を持つファサード設計など、環境に配慮したデザインが可能です。

Revitの任意形状モデリング機能を活用すれば、こうした複雑なデザインを効率よく作成できます。これにより、建築プロジェクト全体の品質を高め、デザインの実現性を向上させます。

Revitでの任意形状作成方法

Revitを活用することで、建築デザインの幅を広げるための任意形状モデリングが可能です。この章では、基本機能であるインプレイスファミリ、マス機能、スケッチモードと開口部ツールについて詳しく解説します。

インプレイスファミリ(In-Place Family)

インプレイスファミリは、プロジェクト内で特定の条件に合わせた形状を直接作成する機能です。これにより、既存のライブラリにない独自の形状を作成できます。特殊な柱、カスタムの開口部、または意匠的な装飾を作成する際に便利です。

主な特徴と用途

  • プロジェクト固有の形状作成: 特定の場所で直接形状を作成し、即座に使用可能。
  • カスタマイズ: ファミリをロードする必要なく、柔軟にデザインを変更。
  • 使用例: 三角形の柱や波型の壁の作成。

利点

  • 即応性: デザイン変更に迅速に対応。
  • 一体化: プロジェクト全体に統合され、スムーズに設計が進む。

注意点

  • 再利用性の制限: インプレイスファミリはプロジェクトに依存するため、他のプロジェクトで再利用が難しい。

マス機能(Mass Function)

マス機能は、建築物のボリュームや全体の形状を早い段階で検討するためのツールです。自由な形状や曲面の設計に優れており、特にコンセプト段階で有用です。

主な特徴と用途

  • コンセプトデザイン: 建物全体の形状や配置を視覚化。
  • 面の分割とパターン化: 自由曲面やパネルデザインを効率化。
  • 使用例: 曲線のファサード、特殊形状の屋根。

利点

  • 柔軟性: 初期段階の設計変更に対応。
  • 効率性: 設計の一貫性を保ちながらプロジェクトを進行。

注意点

  • パフォーマンス: 複雑な形状が多いと処理速度が低下。

スケッチモード(Sketch Mode)と開口部ツール(Opening Tool)

スケッチモード(Sketch Mode)

スケッチモードは、壁や床、屋根などの形状をカスタマイズするためのツールです。自由なプロファイルの描画や変更が可能で、カスタム形状の作成に活用されます。

特徴と用途

  • 柔軟な形状作成: 線やアークを使った自由なプロファイル描画。
  • 部分的な編集: 既存要素に対する微調整が可能。

使用例

  • 複雑な屋根の設計。
  • 壁に波型のパターンを追加。

開口部ツール(Opening Tool)

開口部ツールは、壁や床などにカスタムの開口を作成するための機能です。窓やドア以外にも、点検口やサービス用の開口部を設計できます。

特徴と用途

  • 多様な開口形状: 四角形から曲線まで、自由な形状を作成。
  • 効率的な設計: 必要に応じた調整が容易。

使用例

  • 天井の点検口設計。
  • 特殊な換気口の開口部作成。

利点(共通)

  • 設計精度: 複雑なプロファイルや開口を正確に作成。
  • 調整の簡易化: 必要な変更をすぐに適用。

注意点(共通)

  • スキル要件: 自由な形状作成には一定の操作スキルが必要。
  • データ管理: 複雑な形状が多いとプロジェクト全体のパフォーマンスに影響する可能性。

任意形状モデリングの応用例

Revitの任意形状モデリング機能は、建築デザインにおける多様なシーンでその真価を発揮します。この章では、具体的な応用例を挙げながら、任意形状モデリングが設計にどのような価値をもたらすかを詳しく解説します。

ランドマーク建築での活用

任意形状モデリングは、ランドマークとなる建築物の設計において特に重宝されています。例えば、曲面ファサードや独創的な外観デザインを必要とするプロジェクトでは、Revitの自由曲面モデリング機能が不可欠です。この機能により、従来の設計手法では実現が難しかった複雑な形状を効率的に作成することができます。

具体例: 大規模な公共施設や企業本社ビルの設計では、波状のガラスカーテンウォールやひし形のパネル構造が求められることがあります。Revitを使用することで、これらの形状を、デザインの一貫性を保ちながら効率的に作成することができます。

特殊な構造や意匠要件への対応

意匠性や機能性が求められるプロジェクトでは、標準的な形状では対応できないことが多々あります。Revitの任意形状モデリング機能は、これらの要件に柔軟に対応するツールを提供します。例えば、特殊な柱や梁のデザイン、異形の窓枠や開口部の設計では、Revitのモデリング機能が有効です。

応用ポイント:

  • カスタムファサード: 各パネルの形状や配置を調整し、独自性の高い外観デザインを作成。
  • 複雑な接合部設計: 複数の材料や部材が交差する複雑な接合部の正確なモデル化。
  • カスタムテンプレート: 頻繁に使用する形状をファミリとして保存し、他のプロジェクトで再利用。

ファミリ再利用とテンプレート化による効率化

任意形状モデリングで作成したファミリやテンプレートは、プロジェクト間で再利用することで効率化を図ることができます。再利用により設計者が一からモデリングする時間を削減し、品質の一貫性を保つことができます。

具体例: 一度作成した特殊な窓枠や柱のファミリを、他のプロジェクトに適用することで、設計時間を短縮しつつ、プロジェクト全体のコストパフォーマンスを向上に寄与します。

他ツールとのデータ連携による拡張性

Revitのデータを他の設計ツールと連携することで、さらなる設計の拡張性が得られます。例えば、RhinoやGrasshopperといったツールを併用することで、より複雑な形状を作成し、Revitにインポートすることが可能です。この連携により、デザインプロセスがよりスムーズに進み、創造性を最大限に活かすことができます。

具体例:

  • Rhinoで作成した自由曲面モデルをRevitに取り込むことで、BIM環境での詳細設計を実現。
  • Grasshopperを使用して形状のパラメトリック制御を行い、設計変更に迅速に対応。

実践事例: 建築プロジェクトでの成果

実際のプロジェクトで、Revitの任意形状モデリングがどのように活用されたかを紹介します。

事例1: 商業施設のファサード設計
特異な波状デザインのファサードを持つ商業施設では、Revitの分割サーフェス機能が活用されました。これにより、各パネルの寸法と配置が正確に管理され、施工図の作成が効率化されました。

事例2: 教会のドーム設計
教会のドーム構造の設計では、Revitのスイープ機能と回転ツールが使用されました。これにより、複雑な円形の天井デザインを短期間で作成することができ、施工性も向上しました。

任意形状モデリング時の注意点

任意形状モデリングを成功させるには、効率的な設計プロセスを維持しながら、設計の自由度を最大化するための注意点を押さえておくことが重要です。以下に、作業効率や品質向上を目指すためのポイントを詳しく解説します。

必要な形状とモデル精度のバランス

任意形状モデリングでは、設計の目的に応じた適切なモデル精度を選択することが重要です。過度に詳細なモデリングは、計算リソースを圧迫し、ソフトウェアのパフォーマンスを低下させる可能性があります。一方、詳細が不足していると意図したデザインが正確に伝わらないリスクも伴います。たとえば、初期段階では簡易モデルを活用してデザイン案を検討し、後の段階で必要な詳細を追加するアプローチが効果的です。特にファサードデザインにおいては、設計意図を正確に伝えるために主要なディテールをモデリングし、細部の調整は別途行うことで効率化が図れます。プロジェクト規模やクライアントの要望に応じて適切なディテールレベル(LOD: Level of Development)を設定することで、設計と効率性のバランスを取ることが可能です。

パフォーマンス最適化とリソース管理

複雑な形状をモデリングする際には、計算リソースが過剰に消費されるリスクがあるため、データの軽量化や効率的なワークフローが欠かせません。具体的には、モデルのポリゴン数を抑え、使用頻度の低い要素をグループ化または非表示にすることで作業を効率化できます。また、過去のプロジェクトから再利用可能なファミリやテンプレートを活用することで、一から作成する手間を省くことができます。モデルを適切なサイズに保つだけでなく、Revitの監視ツールや警告管理機能を定期的に使用することで、エラーの未然防止が可能になります。

他ツールとの連携とデータ管理

任意形状モデリングをより効果的に行うためには、他ツールとのデータ連携が重要です。特にRhinoやGrasshopperとの統合は、より自由な設計を可能にする手段として注目されています。たとえば、Rhino.Inside.Revitを活用すれば、複雑な形状をRhinoで設計し、それをRevitにスムーズに取り込むことができます。また、IFC(Industry Foundation Classes)形式を利用することで、異なるソフトウェア間でのデータ交換が円滑に行えます。他ツールで作成したデータをRevitに取り込む際には、互換性やデータ構造の確認を徹底し、エラーや破損を防ぐことが必要です。

制約の理解と創意工夫

Revitには、モデリングの自由度を制限する仕様や制約が存在しますが、これらを事前に把握しておくことで、設計フローをスムーズに進めることが可能です。たとえば、インプレイスファミリ(In-Place Family)の代わりにロード可能ファミリを作成してプロジェクト間で再利用可能にするなどの工夫が考えられます。また、制約を逆手に取ったテンプレート化や一貫した設計ルールの策定は、設計の効率化に大きく貢献します。

まとめ

Revitの任意形状モデリング機能は、建築デザインにおける自由度を高め、複雑で独創的な形状を効率的に実現するための強力なツールです。特にランドマーク建築や高意匠性プロジェクトでは、その効果を最大限に発揮します。

この記事では、基本的なモデリング機能や応用例を紹介し、効率的な設計フローの構築や他ツールとの連携による課題解決の方法を提案しました。これにより、設計の効率化とプロジェクトの価値向上が期待できます。

Revitの可能性を活用し、設計の幅を広げながら次のプロジェクトでその効果を試してみてください。

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参考サイト

・Autodesk『インプレイス マスを作成する』
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-A180B32D-E7B8-474F-AB31-B15EDB874F6E

・Autodesk『ファミリ エディタ ツール』
https://help.autodesk.com/view/RVTLT/2025/JPN/?guid=GUID-253B2300-35C2-4024-AB70-43E576CEA49C

・Autodesk『ファミリ – 基本スキル』
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-7AEC5D66-C2E0-40E2-9504-3CC13781B87A

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