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BIMとXRの関係とは?まちづくりのDXに関わるVR・AR事例

建築業界では3DCGの活用が普及し、大手企業でもBIMを用いた建設が活況です。
BIMのモデルから生成されたVRデータを直接見たいというニーズも増えてきているなどXR技術に関わる多くのワークフローが登場しています。
この記事では、BIMと関連するXRの事例についてピックアップしてご紹介します。

BIMとXRにまつわる状況

昨今は、BIMとXRは関連し合い多くのサービスを生み出す基礎技術になっています。
まずそれぞれにまつわる状況を簡単に紹介します。

BIMは原則適用の段階に

BIMは、建築物の設計・施工や維持管理・運用などの工程で活用されています。

BIM/CIMを適用する狙いとしては、主に以下の3つが挙げられます。
公共事業の品質確保・向上
発注関係事務の抜本的な見直し
データ活用の拡大

BIMはリアルタイムに情報を変更できるため、仕様変更時の修正工数が削減可能です。
現地調査で仮設足場を設けてメジャー計測をする代わりにBIM上でも寸法が調べられるなどの作業効率も向上します。
さらに確認検査がリモート化できれば、必ずしも現場に行く必要はありません。
離れた複数の工事現場の確認が行うことも可能です。

また、昨今は少子高齢化や生産人口の減少などから生産性向上が急務とされています。
コロナ禍にリモートでの打ち合わせが増え、建築物の確認についても遠隔で確認するニーズが高まってきました。
BIM/CIMでは「3次元モデル」「属性情報」「参照資料」の情報が管理できるため、各々を組み合わせれば、離れた場所からでも正確な情報が共有可能です。

このような状況から、国は公共事業の高度化と効率化を目指し、小規模工事を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用することになっているのです。(*1)

XRは現実と仮想世界を組み合わせる技術


XR(クロスリアリティ)とは、現実世界と仮想世界を融合させる技術をまとめて表した言葉で、以下の4要素を合わせて呼ぶ表現です。
ユーザーは現実だけでは体験できない新しい経験ができるため、ビジネスでもエンターテイメントでも広く利用が拡大しています。

VR(仮想現実):ヘッドマウントディスプレイやVRゴーグルなどで仮想空間内に入り込む技術
AR(拡張現実):現実に対して仮想空間の情報を重ね合わせる技術
MR(複合現実):現実と仮想空間の情報を混ぜ合わせる技術
SR(代替現実):過去の映像などを現実に重ね合わせて表示する技術

参考:「VR・AR・MR」それぞれの違いと技術的課題

XR時代の新しいサービスとは

BIMはある建築物に対するデータとして全工程で使い倒すだけでなく、まちづくりの情報としても注目されています。

国土交通省では、「人間中心のまちづくり」として、BIMなどで構築される3D都市モデルに注目しています。
BIMを用いて3D空間に都市を整備して誰でも使えるようにオープンデータ化することで、新たな価値の創出や社会的な課題の解決を目指しているのです。

まちづくりのDXに関わる重点施策には以下の4つがあります。(*2)
都市空間(土地利用や交通ネットワーク、自然環境など日常にある空間全体のこと)DX
エリマネ(エリアマネジメント:特定のエリアについて民間主体でまちづくりや地域経営を積極的に行う取り組み)DX
まちづくりデータの高度化・オープンデータ化
3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化

BIMとXRをつなぐのは「PLATEAU」

まちづくりのDXに関わるプロジェクトは、国全体ですでに始まっています。
「PLATEAU(プラトー)」は、日本全国の3D都市モデルを整備してオープンデータ化するプロジェクトです。(*3)

PLATEAUは、建築物の形状や用途などのデータを3D空間で再現しています。
3Dデータの目的は、防災や観光など都市開発のDXに役立てることです。

以下のようにXR技術と組み合わせも想定されています。
・洪水や土砂災害などのハザードマップをわかりやすく3D表示させる
・XRを用いた観光コンテンツ提供

2023年度からは、地方自治体がビッグデータを活用して街づくりに関わる事業を立ち上げた場合、最大1,000万円を補助することが決まっていて、取り組みを後押ししています。(*4)

PLATEAUのベースデータはBIMで構築

都市データを整備する際はBIMモデルのデータが欠かせません。
BIMモデルは一度中間ファイルとしてIFC形式へ変換し、PLATEAUが採用しているCityGML形式へ変換されています。

3Dモデルの作成までの統合手順や技術仕様、データ変換の方法などは「3D都市モデル整備のためのBIM活用マニュアル」で定義し、官民一体となり事業に参加できるように準備されているのです。(*5)

BIMとXRの活用事例2選

ここまでご紹介したとおり、XR技術にはBIMから作られた3D都市データが大きな役割を果たします。
ここではBIMやXR技術を用いた具体例について紹介します。

BIMとXRの活用事例:VR防災訓練

災害の発生時には、迅速に動く能力が重要です。
XR技術のひとつであるVRでは、模型やCG図の代わりに使われています。リアルな外観だけでなく実際に中に入って見渡したり、BIM内に道路や周辺施設を再現して室内の椅子に座った際に見える景色など具体的な視点までデザインできたりできます。

このように3D空間に入り込む技術を用いて防災訓練を行うサービスも登場しています。
分譲マンションや大規模なオフィステナントは、企業や個人で大規模な防災訓練を行うのは難しいことです。

VRを用いると、いつでも災害が起きている空間に入り込めるため、実際に防災訓練を行うよりも参加しやすくなります。
VRで消火器の使い方を知り、消火訓練が簡単に体験できれば、それだけ防災力向上に役立ちます。

すでに森ビルでは、100人以上がVRを用いた防災訓練を受けているのです。(*6)

BIMとXRの活用事例:ARでドローンの自立飛行を支援

BIMから高精細な3D都市モデルが生成できれば、さらにその情報をXR技術に活用可能です。

KDDIは、茨城県つくば市にてスーパーから大型ドローンを用いて食料品を運ぶ実験を行っています。(*7)
目的地近くの公民館に着陸させたあとは、自動運転ロボに積み替えて住民の自宅に届けます。

このような次世代物流網を整備するにあたり、ドローンを安全に飛行させる仕組みの整備も必要です。例えば、頭上でドローンが飛んでいると「落ちてこないか」と心配になる人がいるかもしれません。

そこで、XRで地上の歩行者に注意を促すシステムの開発が進められています。
この飛行支援システムでは、ドローンの飛行ルートと信号を、ARでスマートフォンのアプリやデジタルサイネージに表示しているのです。
例えば、ドローンが近づいてきた場合には、AR上で赤信号が表示され、ドローンが通り過ぎたあとは緑信号に変わります。

ドローンを用いた物流システム自体は、渋滞を回避したり過疎地などへの配達効率を高めたりとさまざまなメリットがあります。そのため、XRで飛行が可視化できればドローンを受け入れやすい環境を整えられるのです。

まとめ

XRとはVR、AR、MR、SRをまとめて表す言葉です。
単純に仮想空間を体験する場合でも現実に仮想空間を取り込む場合でも、BIMからデータ変換された3Dデータが多く活用されています。

昨今は建築に留まらず都市モデルを作成して防災や観光など多くの分野で活用が進んでいます。都市のDXを進めるにあたり、BIMは欠かせないツールです。
またBIMデータをもとに多くのXRシステムが開発されているのです。

XRのサービスは分野によりさまざまな種類がありますが、もとになるBIMのモデルは今後もさらに利用が拡大して有用性が増すと考えられます。

 

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参考URL
*1 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001510002.pdf
*2 https://www.mlit.go.jp/page/content/001583486.pdf
*3 https://www.mlit.go.jp/plateau/
*4 https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000954.html
*5 https://www.mlit.go.jp/plateau/file/libraries/doc/plateau_doc_0003_ver01.pdf
*6 https://www.mori.co.jp/company/press/release/2021/09/20210901153000004223.html
*7 https://kddi.smartdrone.co.jp/case/012/

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