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簡易CADの導入検討ガイド|法人活用・コスト・機能の違いとおすすめ6選

1. はじめに

CADを使ってみたいけれど、「高価そう」「操作が難しそう」と感じたことはありませんか?実際、多くの人が最初はこのような不安を抱きがちです。
しかし近年では、無料または低価格で使える“簡易CAD”と呼ばれるツールが数多く登場しており、初心者でも気軽に設計や図面作成を始められるようになっています。

CAD(Computer Aided Design)は、コンピューターを使って設計や製図を行うためのソフトウェアです。手書きに比べて作業の正確さやスピードが格段に向上し、図面の共有や修正も簡単に行えるのが特徴です。たとえば機械設計ではパーツの寸法を正確に確認でき、建築設計では間取り図や3Dモデルを短時間で作成できます。

この記事では、初心者向けに「簡易CAD」と「高機能CAD」の違いをわかりやすく比較し、自分に合ったCADソフトを選ぶためのポイントをご紹介します。Tinkercad、Jw_cad、SketchUp Free、Fusion 360など、代表的なツールの特徴も取り上げながら、2D CAD・3D CADの違いや用途についても丁寧に解説します。

CADは難しそうだからと敬遠していた方も、読み終えるころには自分に合ったツールが見つかり、スムーズにスタートできるようになるはずです。設計の第一歩として、ぜひ参考にしてみてください。

2. CADの基本知識

CADとは、コンピューターを活用して設計や製図を行う技術のことで、正確な寸法や形状を効率よく表現できるのが大きな特徴です。こうした特性から、作業のスピードアップやミスの削減に繋がり、現在では教育機関や企業などさまざまな現場で広く利用されています。

従来の手描きによる製図では、設計変更のたびに描き直す手間がかかりましたが、CADを使えば修正も簡単です。図面をデジタルデータとして扱えるため、チーム内での共有や保存、印刷設定の調整などもスムーズに行えます。建築や機械、電気、土木といった専門分野に加え、近年では趣味でのDIYや3Dプリンターを使った製作にもCADが活用されるようになり、その用途はますます広がっています。

まずは、CADについてより深く理解するために、「2D CAD」と「3D CAD」の違いを把握しておきましょう。2D CADは平面的な図面作成に特化しており、例えば機械部品の配置図や建物のレイアウト図などに利用されます。一方の3D CADは、立体的な形状を設計できるのが特徴で、設計後にシミュレーションや強度解析を行う際にも役立ちます。将来的により高度なモデリングや設計を行うことを視野に入れているなら、3D CADへの慣れは大きなアドバンテージとなるでしょう。

2.1. CADとは何か?

CAD(Computer Aided Design)は、コンピューターの力を借りて設計や製図作業を支援するための技術です。もともとは大規模な産業向けシステムとして利用されてきましたが、パソコンの性能向上とともに、個人や小規模事業者でも扱いやすいツールが多数登場し、今では誰でも利用できる環境が整ってきています。

CADを使うことで、紙とペンを使った従来の手描き図面に比べて、はるかに高精度かつスピーディーに設計作業を行うことが可能になります。設計途中の変更や修正も、クリック操作で簡単に行えるため、作業効率が大きく向上します。また、図面がデジタルデータとして保存されることで、ファイルとしての共有・管理も容易になります。たとえば、複数人で取り組む場合でも、クラウドを通じてデータを共有できるのは大きな利点です。

さらに、CADの基礎を身につけることは、エンジニアやデザイナーにとって、大きな強みになります。CADのスキルは機械設計に限らず、建築やインテリア、プロダクトデザインなど幅広い分野で応用できるため、さまざまなキャリアに繋がる重要な技術といえるでしょう。

2.2. CADの利用分野とその重要性

CADが活躍している分野は多岐にわたりますが、特に代表的なのは建築、機械、電気、土木といった工学分野です。建築設計では、間取り図や構造図、内装パースといったビジュアル資料を正確に作成できるため、施主やクライアントへの説明にも非常に役立ちます。

機械分野では、部品同士の寸法や位置関係を緻密に設計できるため、組み立てや加工工程におけるミスを未然に防ぎやすくなります。量産を前提とした製品設計では、こうした精度の高さが特に重要になります。電気設計では、配線図や基板レイアウトなど、細かなパターン設計にも対応できるため、誤接続や動作不良のリスク軽減に貢献します。

このように、CADを導入・活用することで、設計業務の正確性と生産性は飛躍的に向上します。特に製品開発や建築設計など、精度とスピードが求められる分野においては、CADスキルを持つ人材の有無が業務品質に直結します。また、図面データをデジタルで一元管理・共有できるため、部門間の連携やチーム設計がスムーズに行えるのも大きな利点です。設計の属人化を防ぎ、プロジェクトの進行を効率化するうえでも、CADは企業活動に欠かせないツールのひとつといえるでしょう。

3. 簡易CADとは?

簡易CADとは、その名の通り、操作性がシンプルで、専門的な知識がなくても扱いやすいCADツールの総称です。高機能CADに比べて機能は限定的ですが、日常的な図面作成や簡単なモデリング業務には十分対応可能であり、設計業務の導入ハードルを大きく下げることができます。
「高価で操作が複雑」というCADのイメージを持つ方にとって、簡易CADは非常に実用的な選択肢であり、特に中小企業や個人事業主、現場ベースの業務を行う法人において、業務効率化の第一歩として有効です。

ライセンス費用の負担が少なく、基本的な設計業務にすぐに活用できるため、コストを抑えながら設計環境を整えたい企業にも適しています。たとえば、製品の寸法確認用にシンプルな図面を作成したい場合や、取引先への簡単なレイアウト提案を行いたい場面など、高度な3D解析機能までは必要ない業務であれば、簡易CADで十分対応できます。

簡易CADは、いわゆる“ローエンドCAD”とも呼ばれる領域に該当し、無料もしくは数千円程度で導入できるソフトが多く存在します。また、クラウドベースで動作するツールもあり、インストール不要で手軽に始められるのも特徴です。PCスペックに左右されにくく、遠隔地の従業員との共有や外注先とのデータ連携もスムーズに行える点は、現代の働き方に合った大きなメリットといえます。

3.1. 簡易CADの定義と特徴

簡易CADの最大の特徴は、操作性のシンプルさと導入しやすさにあります。画面構成やコマンド数が最小限に絞られており、CADに不慣れなスタッフでも短期間の習得が可能です。アイコンベースのメニュー構成や直感的な操作画面により、マニュアルを見なくても基本的な作図ができる設計が施されています。

また、価格帯も非常に導入しやすく、無料または低コストで利用できるソフトが多数存在しています。これにより、予算に限りのある中小企業やスタートアップ、現場ベースの小規模プロジェクトでも、無理なくCAD環境を導入することが可能です。たとえば、ブラウザ上で動作するTinkercadのようなツールは、ソフトのインストールを必要とせず、どの端末からでもアクセスできるという利便性があります。

さらに、学習コストの低さも大きな利点です。操作に必要な知識や手順が少なく、数日程度の社内研修でも十分に基本操作を習得できるケースが多いです。設計担当者が不在の部門であっても、簡易CADを活用することで、製品図や配置図をスムーズに作成・共有できるようになります。将来的に高機能CADへの移行を検討している場合でも、簡易CADで基本を押さえておくことは有効なステップとなるでしょう。

3.2. 簡易CADの主な利用例

簡易CADは、日常業務の中でのちょっとした設計や資料作成に適しており、特に複雑な構造設計や解析が不要なシーンでその効果を発揮します。たとえば、オフィスレイアウトの検討や、展示会ブースの配置図、製品の仕様確認図の作成など、プロトタイプ段階のビジュアルを整えるための用途に最適です。

また、社内での教育用途としても有効です。新入社員や異業種からの転職者など、設計未経験のスタッフに対してCADの基本操作を習得させる際の教材として活用することで、設計リテラシーの底上げが期待できます。特にTinkercadのように、ブロック感覚で操作できる3Dツールは、直感的でわかりやすく、設計初心者の入り口として理想的です。

さらに、簡易CADは提案書やプレゼン資料の図面作成にも役立ちます。営業担当者が顧客との打ち合わせに使う簡単な図面や、製品の使用イメージを伝えるレイアウト資料を作る場面など、スピードと簡便性が求められる状況で特に有効です。コストを抑えながらも、一定レベルの設計表現が可能なため、社内の設計資源を効率的に拡張する手段として、幅広い業務で活用されています。

4. 高機能CADとの違い

簡易CADは、日常的な設計業務や提案用図面の作成に適したツールですが、より専門的かつ高度な設計業務に対応するには「高機能CAD」の導入が必要になります。高機能CADは、多彩なモデリング機能やアセンブリ、シミュレーション、干渉チェック、レンダリングなど、専門的な設計プロセスに必要な機能を広くカバーしており、製造業や建築業、プロダクトデザインなどの実務において中核的な役割を果たしています。

一方で、これらの高度な機能を活用するには、それに応じた専門知識やスキルが求められ、操作環境としても高性能なパソコンや業務に合わせたトレーニング体制が必要となる場合が多くあります。加えて、ライセンス費用や運用コストが高額になるケースも少なくありません。そのため、業務の規模やプロジェクトの性質、社内の技術体制に応じて、簡易CADと高機能CADをどう使い分けるかを慎重に検討することが重要です。

この章では、簡易CADと高機能CADの違いを、機能面・操作性・コストの観点から具体的に比較し、自社に最適な選択を行うための判断材料を整理していきます。

4.1. 機能と操作性の比較

高機能CADの最大の特徴は、設計から製造・プレゼンテーションに至るまでの一連のプロセスを一貫してカバーできる多機能性です。たとえば、3Dモデリングによる立体設計に加え、複数パーツのアセンブリ、構造解析や流体シミュレーション、アニメーションによる動作確認など、詳細かつ複雑な作業にも対応可能です。さらに、フォトリアルなレンダリング機能を活用することで、顧客向けの提案や社内レビュー用の資料として高品質なビジュアル表現が可能になります。

一方、簡易CADは基本的な図面作成やモデリングに機能が絞られており、操作画面もシンプルで、ツールバーやアイコンも最低限に構成されています。このため、設計業務に不慣れな従業員でも直感的に使いやすく、習得までの時間が短く済むというメリットがあります。設計精度や表現力よりも、スピードや利便性を重視する場面では、簡易CADが最適な選択肢となることも少なくありません。

操作性の観点では、高機能CADはショートカットやコマンドが多く、初期段階では操作体系の把握に時間を要することがあります。これに対し、簡易CADはマウス中心の直感的な操作設計がなされているため、ITリテラシーに関係なく幅広い社員が扱える点も導入のしやすさにつながっています。プロジェクトの性質や作業者のスキルに応じて、どちらを採用するかを明確にすることが業務効率化の鍵となります。

4.2. 価格と学習コストの違い

高機能CADは、導入コストが比較的高額になる傾向があります。買い切り型でも数十万円以上、サブスクリプションモデルでは年額数万〜数十万円という価格帯が一般的です。たとえば、Autodesk社のFusion 360は機能面で非常に優れていますが、法人利用では有料ライセンスが必要となり、導入時の予算確保や運用管理体制の整備が前提となります。

その一方で、教育機関向けやスタートアップ、小規模法人向けに限定された無償プランが提供されている場合もあり、特定条件を満たすことで初期投資を抑えながら試用を開始することも可能です。自社の利用目的や規模に合わせて、ライセンス体系や制限事項を事前にしっかり確認することが重要です。

学習コストに関しても、両者には明確な差があります。高機能CADは機能が豊富な分、操作体系が複雑で、社内教育や外部研修の実施が必要になることも多く、一定の育成コストが発生します。これに対し、簡易CADは操作手順が少なく、社内マニュアルや短時間のオンボーディング研修でも基本操作が身につくため、スキル習得の負担が軽減されます。

特に、CADを業務の補助的な役割で使いたいケースや、限定的な用途にとどまる場合には、簡易CADの導入が適しているといえるでしょう。コストと機能のバランスを見極め、自社の業務フローに最適なツールを選定することが、継続的な生産性向上と設計品質の確保につながります。

5.  【無料あり】おすすめの簡易CADソフト6選

ここでは、法人利用においても導入しやすく、業務の補助的な設計作業に適した簡易CADソフトウェアをご紹介します。多くのツールは無料あるいは低コストで提供されており、操作性に優れ、基本的な作図やモデリング作業をスムーズに進めることができます。機能がシンプルに絞られているからこそ、初めてCADを導入する企業や、設計専任者がいない部署でも無理なく活用できるのが特徴です。

2D CADまたは3D CADとして利用できるこれらのツールは、製品の仕様図や設備レイアウトの作成、社内プレゼン資料の作図など、実務に即した多様な用途に対応可能です。また、操作トレーニングにかかる時間が短いため、部門間での共有や代替対応がしやすく、設計業務の属人化を防ぐという点でもメリットがあります。

以下では、実務でも利用しやすい代表的な簡易CADソフトを、それぞれの特徴とあわせてご紹介します。

5.1. 無料または低コストの簡易CAD

1. Tinkercad(Autodesk社)

引用: https://www.tinkercad.com/

TinkercadはWebブラウザ上で動作する無料の3D CADツールで、インストール不要で使用できる点が大きな魅力です。ユーザーインターフェースが直感的で、ブロックを組み立てるような感覚で操作できるため、設計経験のない社員でも簡単に扱うことができます。


簡易的な3Dモデリングや形状確認、試作の前段階における構想設計などに向いており、3Dプリンターとの連携も可能なため、製品企画部門や試作チームでの活用に適しています。データはクラウド上に保存されるため、チーム内での共有もスムーズに行えます。

2. Jw_cad

引用:https://www.jwcad.net/


Jw_cadは、日本国内で広く使われている2D CADソフトで、完全無料で利用可能です。建築設計を中心に、設備設計や図面の修正・管理などに強みがあり、多くの企業が業務で利用してきた実績があります。


図面ファイルの取り扱いに慣れている担当者であれば、短期間での実務投入も可能であり、オンライン上にはマニュアルやユーザーコミュニティも充実しています。レイアウト図や簡易的な配置図、部品の寸法図作成など、日常的な業務の中で多様な活用が見込めます。

3. SketchUp Free(Trimble社)

引用:https://help.sketchup.com/ja/admin/sketchup-free

SketchUp Freeは、建築・インテリア分野での視覚的な検討やプレゼンテーションに強みを持つ3D CADツールです。こちらもブラウザベースで動作し、PCへのインストール不要で手軽に始められます。

 図面の厳密な寸法管理というよりは、空間全体の構造を直感的に把握するための用途に適しており、建築設計やイベント設営、什器レイアウトのシミュレーションなど、営業資料や社外提案書作成にも有効です。

5.2. 初心者向けの簡易CAD

1. Fusion 360(Autodesk社:個人・教育利用向け無償プランあり)

引用:https://forums.autodesk.com/t5/fusion-support-forum/fusion-360-logo-for-download/td-p/7435770

Fusion 360は、非常に多機能な3D CADソフトでありながら、個人利用(非商用)や教育目的であれば無償で利用できるプランが提供されています。これにより、自宅でCADスキルを学びたい方でも気軽に導入することが可能です。

モデリングはもちろん、レンダリング、アセンブリ、アニメーション、CAM機能(コンピューター支援製造)など、実務に近い高度な設計工程を一貫して体験できるのが大きな魅力です。これから3D CADの学習を本格的に始めたい方や、将来的に業務で高機能CADを扱うことを目指す場合の入門ツールとしても非常に適しており、自宅学習でのステップアップに最適なソフトといえるでしょう。

2. FreeCAD

引用:https://www.freecad.org/index.php?lang=ja

FreeCADは、オープンソースとして開発が進められている無料の3D CADで、機械設計に適したモデリング機能を多く備えています。カスタマイズ性が高く、Pythonによる自動処理なども可能なため、特定業務に合わせた使い方ができる点も特徴です。
動作が軽く、古めのPC環境でも扱えることから、社内のサブツールとして導入したい場合や、コストをかけずに基本的なモデリングスキルを育成したい場合に適しています。

3. Onshape(PTC社:非商用向け無料プランあり)

引用:https://www.onshape.com/en/

Onshapeは、クラウドベースで動作する高機能な3D CADであり、ブラウザさえあればどの端末からでも利用できます。無料プランは商用利用には制限がありますが、検証用途やCAD教育、スキル習得用としては十分活用可能です。
複数人によるリアルタイムの同時編集や、履歴の管理機能など、チーム設計を前提とした機能が充実しているため、リモートワーク体制下や複数拠点での共同設計にも対応しやすく、将来的な業務展開を見据えた試験導入としても有効です。

6. 簡易CADの選び方ガイド

現在では多くのCADツールが提供されており、業務目的での利用においても「どれを選べばよいのか迷う」という声は少なくありません。導入の手軽さだけでなく、ツールの対応機能や将来的な拡張性なども含めて、業務ニーズに最適なものを選ぶことが重要です。

このセクションでは、「無料か有料か」「2Dか3Dか」「クラウド型かインストール型か」といった観点を中心に、法人や現場で簡易CADを選定する際に押さえるべきポイントを解説します。また、チームのITリテラシーや設計スキルのレベルに応じて、どこまでの機能が必要かを明確にし、導入後の運用やスキル育成も見据えた選定が求められます。

以下に、選び方の基本的な判断軸を3つの視点でご紹介します。

6.1. 使用目的と操作環境で選ぶ

まず最初に検討すべきは、自社や部署における具体的な「使用目的」です。たとえば、レイアウト図や簡単な寸法図の作成が主な用途であれば、Jw_cadのような2D CADで十分な場合があります。一方、3Dモデルによる空間把握や簡易モックアップ作成が必要であれば、TinkercadやSketchUp Freeのような3D対応ツールのほうが適しています。

また、操作環境も選定における大きな要素です。たとえば、社内PCの性能にバラつきがある、あるいはノートPC中心で運用している企業では、インストール不要でWebブラウザ上で動作するクラウド型CADが有効です。逆に、ネットワーク接続が安定しない現場や、セキュリティ要件が厳しい業種では、ローカルインストール型のツールが適している場合もあるでしょう。

あらかじめ業務の流れとPC環境を整理したうえで、最小限の手間で最大限の効果を発揮できるソフトを選定することが、失敗のない導入に繋がります。

使用目的・操作環境別 CADツール比較表

比較項目2D CAD 向けツール3D CAD 向けツール
主な使用目的レイアウト図、平面図、寸法図の作成などモデリング、構想設計、製品イメージの可視化など
対応ツール例Jw_cadTinkercad、Fusion 360、SketchUp Free 
操作の複雑さ低め(基本的な図形描画と寸法設定が中心)中〜やや高(3D空間での操作や視点切り替えが必要)
操作に必要なPC性能低〜中(軽量ソフトで動作)中〜高(ブラウザ型もあるが描画処理はやや重め)
クラウド対応状況一部対応(Jw_cadなどはローカルインストール型)多くがクラウド対応(Tinkercad/Onshape)
導入しやすさ高(ファイルサイズが軽く、OS依存も少ない)比較的高(ブラウザ型なら端末を問わず利用可能)
おすすめの活用場面図面修正や社内資料作成、構成図や配線図の作成など製品の立体イメージ共有、空間検討、試作品設計など

6.2. 無料か有料かで選ぶ

CADツールの中には、無料で利用できるソフトも多く存在します。特に簡易CADは、Jw_cadやTinkercadなど、無料でありながら一定レベルの機能を備えたツールが充実しており、初期費用をかけずに試用できる点が魅力です。導入効果を見極めたうえで、有償版へ移行するというステップも現実的な選択肢となります。

一方、有料ソフトは費用が発生する分、サポート体制が充実していたり、定期的なアップデートや拡張機能の提供が受けられるなど、長期的な運用に適した利点も備えています。特に、複数拠点での運用やチーム設計が必要な企業では、ライセンス管理やクラウド連携機能のある製品を選ぶことで、管理効率が向上します。

また、導入直後のコストだけでなく、メンテナンス、研修、サポート対応まで含めた「総保有コスト(TCO)」を考慮し、業務規模と照らし合わせた判断が必要です。無料か有料かは単純な価格比較ではなく、「自社にとって必要な価値があるかどうか」で判断することが重要です。

価格・ライセンスのCADツール比較表

製品名価格帯商用利用サポート体制備考
Tinkercad無料不可制限あり教育・個人向けの3D CAD。法人利用は利用規約に注意が必要。
Jw_cad無料可(制限なし)なし(自己解決)国産2D CAD。軽量で定番、個人も法人も自由に利用可能。
SketchUp Free無料不可制限ありWeb版は非商用利用に限定。商用利用には有料版(SketchUp Go等)が必要。
Fusion 360有料(無料枠あり)条件付きで可有(有料プラン中心)教育・個人用途では無償。法人利用には有償ライセンスが基本。
FreeCAD無料(OSS)可(制限なし)なし(コミュニティ)オープンソース。自由度は高いが、操作習得には一定の技術理解が必要。
Onshape(Free)無料(非商用のみ)不可制限あり商用利用には有料版が必要。データはすべて公開される点に注意。

6.3. 将来的なスキルアップを視野に入れて選ぶ

簡易CADは導入しやすく、業務の効率化を図る第一歩として非常に有効です。ただし、将来的に社内でより複雑な設計や製品開発を担う可能性がある場合は、その後のステップアップも視野に入れてツールを選ぶことが望ましいです。

たとえば、現在は簡単な図面作成が中心でも、将来的に3Dモデルやアセンブリ、解析機能などを用いた開発業務に発展していく可能性があるのであれば、Fusion 360のような発展性のあるソフトを選んでおくと、移行がスムーズになります。また、ツールによって対応ファイル形式が異なり、互換性の有無が後の業務に影響を与えるケースもあるため、業界標準フォーマット(DWG、DXF、STEPなど)への対応状況も事前に確認しておくことが大切です。

加えて、社内の設計スキル育成という観点でも、将来的に使うことになるであろう高機能CADの操作感や概念に近いツールで学習を始めておくと、スムーズなスキル移行が可能になります。長期的な視点で、業務と人材育成の両面からツール選定を進めることで、設計力を組織全体で高めていく土台を築くことができるでしょう。

7. まとめ

本記事では、CADの基本知識から始まり、簡易CADと高機能CADの違い、用途に応じたソフト選定の考え方、そして実際に利用しやすい代表的な簡易CADツールまでを幅広く解説してきました。特に、コストや導入ハードルの低さから注目されている簡易CADは、設計業務をこれから社内に取り入れたい企業や、既存の設計環境を拡張したい中小規模の事業者にとって非常に有効な選択肢です。

簡易CADは、初期費用を抑えながらも必要十分な機能を備えており、短期間で操作に習熟できることから、社内の設計リテラシーを底上げするツールとしても活用できます。また、業務内容に応じて2D/3Dの使い分けができることや、ブラウザベースで利用できるクラウド型のツールも存在するため、現場とオフィス間の連携やリモートワークにも柔軟に対応可能です。

一方で、高機能CADは製品開発や構造設計など、より複雑で専門性の高い業務に適しており、今後の事業成長や設計プロセスの高度化を見据える場合には、段階的な移行も視野に入れておくと良いでしょう。まずは簡易CADを導入して小規模な業務や資料作成から活用を始め、社内のスキル定着と共に必要に応じて高機能CADへとステップアップしていくのが現実的かつ効果的なアプローチです。

自社の業務内容、リソース、将来的な展望に合わせて、無理のない形で設計環境を整備することが、継続的な業務効率の向上と設計品質の安定に繋がります。本記事の内容を参考に、まずは取り組みやすいツールから導入を検討し、CAD活用による新たな業務価値の創出をぜひ実現してください。

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<参考文献>
Tinkercad
https://www.tinkercad.com/

Jw_cad
https://www.jwcad.net/

SketchUp Free
https://www.sketchup.com/en/plans-and-pricing/sketchup-free

Fusion 360
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview

FreeCAD
https://www.freecad.org/index.php?lang=ja

Onshape
https://www.onshape.com/en/

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