1. TOP
  2. ブログ
  3. Amazon Echoが開拓したスマートスピーカーのゆくえ

Amazon Echoが開拓したスマートスピーカーのゆくえ

Amazon Echoが開拓したスマートスピーカーの市場は、AppleやLINEが追随することにより、海外では急速に拡大しつつあります。まだ日本では本格的に販売されていませんが、これから注目を集めることになるでしょう。

そこで、スマートスピーカー全体の市場規模、Amazonの位置づけを確認するとともに、Amazonのサービスと製品戦略を俯瞰した上で、今後Echoはどのように変化してくのか考察します。

スマートスピーカー市場をリードするAmazon

2016年10月に米国の調査コンサルティング会社Gartnerの発表した報告によると、スマートスピーカー市場は2020年までに21億ドル(約2,275億円)規模になると予測しています。そして、サードパーティ(他社製品の開発企業)が音声対話型AIを実装した製品が増えると考察しています。

参考(英文): Gartner Says Worldwide Spending on VPA-Enabled Wireless Speakers Will Top $2 Billion by 2020

先行者利益(First Mover Advantage)と言われるように、最初に市場を開拓した企業は後発の企業より優位に立つことができます。革新的な製品に注目が集まり、他の企業が後発製品を提供するまでの間、市場を独占できるからです。

実際にeMarketerの調査(2017年5月8日)では、米国ではAmazonが市場の70.6%のシェアを占めていると報告しています。後発のGoogleは23.8%です。しかし、この調査では、後発のGoogle Homeがシェアを伸ばすことで、AmazonのEchoのシェアは低下するという見解です

参考(英文): Alexa, Say What?! Voice-Enabled Speaker Usage to Grow Nearly 130% This Year

とはいえ、Amazonにとってスマートスピーカーは、多様なサービスにおけるひとつに過ぎません。

Amazonの事業全体とスマートスピーカー

Amazonの巨大なサービスの中でスマートスピーカーがどのように位置づけられるか、主要な事業ならびにサービスや製品の全体を俯瞰します。

2016年におけるAmazonの年間売上高は約15兆円(1,359億8,700万ドル)で、前年比27%増加の成長を遂げています。クラウド関連のAWS(Amazon Web Services)は、全体の売上高では10%以下に過ぎません。しかし、確実に成長し、黒字転換の大きな柱として貢献しました。

Amazon.comによるeコマース事業では、特にAmazon Primeの会員が増加していることをJeff Bezos氏は述べています。2日以内に無料で商品が届く便利さとともに、Prime Videoも好調です。

参考:アマゾン、2016年の年間売上15兆円:北米のPrimeとAWSが貢献で安定してきた黒字経営

Amazonは映画などを配信するコンテンツ・ディストリビューターでありながら、独自番組を制作するなど、コンテンツ・プロバイダーとしての側面も持っています。そして、映像を楽しむガジェット(端末)として、Fire TVシリーズやFireタブレットなどを用意しています。電子書籍を流通させるにあたって、Kindleを発売したことと同じビジネスモデルです。

このように考えると、スマートスピーカーは、電子書籍や映像を含めて「あらゆる商品を音声で注文するための端末」と考えることができないでしょうか。

Amazonの主力はeコマースであり、Kindleが電子書籍を流通させるための端末であったように、スマートスピーカーはeコマースへの導線を作る端末として、Amazonにとって戦略的な意義があります。

ECサイトのインターフェースとしての端末

eコマースの注文を迅速化するIoTとしては、Prime会員に向けた「Amazon Dash Button」も発売しています。生活必需品などがなくなりそうになったとき、わざわざPCやスマートフォンから注文しなくても、ボタンを押しさえすれば必要な品物が届く端末です。

2017年6月28日には、Amazon Dash Buttonの日本国内のラインアップが拡充され、114ブランド1400種類の商品を注文できるようになりました。最も人気のあるボタンは『サントリー天然水』だそうです。

参考:Amazonが国内向けに『Amazon Dash Button』ラインアップ拡充を発表 114ブランド1400種類の商品を注文可能に。

Dash Buttonはリピーター促進のためのツールといえますが、たとえばLookはカメラを搭載しているため、自撮りでファッションチェックができます。

いずれAmazonというショップの店員として「こちらの服がお似合いですよ」や「あなたのご趣味でしたら、こちらをおすすめします」のように、Alexaがアドバイスするようになるかもしれません。

EchoはAmazon.comの耳・口・目

ところで、画期的なイノベーションが生まれると、過去の何かの代替物と考えがちです。たとえば、自動車は馬車の代わりであるというように。

スマートスピーカーを「スピーカー」というカテゴリーで認識していると、それ以上の可能性は考えにくいかもしれません。しかし、Amazonという巨大eコマースが「Echoで顧客と対話できる<耳>と<口>を持った」「Lookで顧客を認識する<目>を持った」と考えた場合、Alexaが五感を獲得しつつあると考えられます。

今後さらにEchoが人間に対するセンサーを拡張していくならば、スピーカーと呼べない何かに変化する可能性を秘めています。スマートスピーカーは、人工知能を搭載したIoTの進化過程の入り口にある製品といえそうです。

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP