Google AI Test Kitchenとは?対話型AIの発展から期待できる実用性
AI開発の最先端を走るGoogleは、この度開発者や一般消費者の利用が可能な対話型AI「Google AI Test Kitchen」をスマホ向けにリリースしました。Googleの最新AIはどんな機能を備え、今後どのような展開が予想されるのでしょうか。
この記事ではGoogle AI Test Kitchenの概要や、対話型AIが持つビジネスでの可能性について、ご紹介します。
目次:
- Google AI Test Kitchenとは
- Googleの会話AI技術「LaMDA」について
- Google AI Test Kitchenで試せる3つのデモ
- 対話型AIの発展で何が可能になるのか
Google AI Test Kitchenとは
Google AI Test Kitchenは、2022年8月に一般向けとしてGoogleが公開した、同社の対話型AI「LaMDA」の性能を開発者や一般消費者が試すためのアプリケーションです。
公開当初、同アプリはアメリカの少数のユーザー向けに公開されていましたが、順次対象者の拡大が進んでいます。また、Android向けとして展開されていたものの、iOSヘの対応も進んでおり、最終的には世界中のスマホユーザーが同アプリを体験できるものと考えられます。
Google AI Test Kitchenでは、ユーザーが同アプリに搭載されているAIに対して質問を投げかけることで、さまざまな返答やアクションを楽しめるというものです。AIの応対については完全にAIが制御しており、チャットボットなどのように人間がその返答に介入することはありません。
ただ最低限のセーフティーネットとして、同アプリでは過激な発言や個人情報の流出につながるような、センシティブなキーワードについてはあらかじめ保護レイヤーが施されており、うかつな発言が行われないよう設計されています。
これによって全てのリスクが排除されたわけではありませんが、従来の対話型AIサービスと比べてはるかに安全で、安心して利用ができる仕様となっていることがわかります。
Googleの会話AI技術「LaMDA」について
Google AI Test Kitchenに実装されている、Googleの対話型AIであるLaMDAは、2021年5月に同社が発表した最新のAIモデルです。当時の時点では英語に限定されてはいるものの、まるで人間が話しているかのように流暢なコミュニケーションがユーザーとAIの間で行われているデモが公開され、対話型AIの可能性に多くの人が注目することとなりました。
LaMDAが優れているのは、人間の流暢な会話の特性を正しく把握し、そのペースにキャッチアップできる点です。
普段生活をしていて意識することはありませんが、人間の自然の会話の流れは非常に移り変わりが激しく、コンピュータがそれを理解することは極めて困難とされてきました。
例えば天気の話から洗濯物の話になり、洗濯物から最近買った服の話になり、服の話から旅行の話になったりと、人間の会話は連想ゲームのように無限の選択肢があるため、従来のチャットボットなどではこれを予測し、正しい返答をすることが難しいと考えられています。
この点を克服すべく、LaMDAは無限ともいえる数のトピックを追いかけ、自由に会話できるよう設計されています*1。オープンソースのニューラルネットワークアーキテクチャ「Transformer」をベースに構築されたこのAIは、多くの単語をインプットし、それぞれの関連性を極めて敏感に理解できる仕組みを備え、自然言語を高度に理解できるポテンシャルを示しているわけです。
LaMDAは今後Googleが有する主要なAIとして活躍が期待されるだけでなく、世界のAI開発を牽引する存在になるとも考えられ、今回のGoogle AI Test Kitchenはその可能性の片鱗に触れる機会となっています。
Google AI Test Kitchenで試せる3つのデモ
Google AI Test Kitchenでは、主に以下の3つのデモをユーザーは体験することができます*2。
Imagine It
Imagine Itは、ユーザーが特定の地域に関する質問を投げかけることで、それに対しての返答が得られるというものです。
場所についての一問一答にとどまらず、返答してきた場所についてのさらなる詳細も質問ができるなど、人間の自然な会話を再現するクオリティの高さをうかがえる機能です。
List It
List Itは、特定のタスクを質問として投げかけることで、そのタスクを達成するためのToDoを作成してくれるものです。
例えば「家庭菜園を始めたい」と質問を投げかけると、「作りたい野菜をリストにしましょう。」や「あなたの土地で栽培に適した野菜を調べましょう。」という回答が得られ、ユーザーは自分が何をすべきかを迅速に判断できます。
Talk About It(Dogs Edition)
Talk About It(Dogs Edition)は、犬に関するトピックなら自由に話すことのできる、上記2つに比べて自由度の高いデモです。
まるで人間と話しているように、犬についての流暢なやりとりができるとされており、今後は犬に限らず、さまざまなトピックでこのような会話ができることを予感させます。
対話型AIの発展で何が可能になるのか
対話型AIの可能性は非常にポテンシャルが高いとされており、ビジネスにおける活躍も大いに期待できます。
例えば接客関係のコミュニケーションをAIに任せる、ということも対話型AIが進化すれば実現するでしょう。現状ではよくある質問に対してのテンプレート回答や、手続きの案内を送付するだけにとどまっているチャットボットですが、対話型AIが発展することで、より複雑な業務にも参画できます。
問い合わせユーザーのキャラクターやニーズに合わせて、柔軟に会話の内容やそのトーンを調整し、アパレルを販売したり、適切なトラブルシューティングを提供したりなど、現在人間が担っている業務を任せられるようになるかもしれません。
人口減少で営業担当者の不在にも悩まされる企業は少なくありませんが、近いうちにこれらのAIがその役目を果たすこともあるでしょう。
まとめ
Google AI Test Kitchenは、Googleの新型AIであるLaMDAの可能性を体験できる、最新のデモアプリです。LaMDAは従来の対話型AIとは異なり、流暢なコミュニケーションができるポテンシャルを備え、今後のアップデートに期待が集まります。
Google AI Test Kitchenの利用はまだ少数のユーザーに限定されているものの、機会があれば積極的に試しておきたいところです。
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参考:
*1ケータイWatch「グーグル、AIが自然な会話を繰り広げる新技術「LaMDA」」
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1325424.html
*2 ケータイWatch「グーグル、対話型AIを試せるアプリを米国で公開」
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1435230.html