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先進企業はハイパーオートメーションで進化 国内の導入事例をわかりやすく解説

2020年にガートナー社が発表するトップトレンドに選出されて以降、ビジネスを変える新たな概念として注目されているのが、「ハイパーオートメーション」です*1。日本の先進企業でも導入が進められ、いくつかの事例を見ることができるようになりました。

この記事では、ハイパーオートメーションを導入することにより解決できる企業の課題と、実際に取り組んでいる事例を紹介します。ハイパーオートメーションは、ひとつの作業の自動化ではなく、各企業のワークフローに合わせた幅広いビジネスプロセスの自動化です。そのため、必ずしも事例が自社に当てはまるとは限りませんが、各企業の狙いやアプローチを参考にしながら取り組んでみてはいかがでしょうか。

ハイパーオートメーションとは*1

ハイパーオートメーションとは、RPAやAI、アプリケーション開発などを取り入れながら、広範なビジネスプロセスを自動化することです。特定作業の自動化から始まり、それに関するワークフローの自動化、さらにはビジネスパートナーを巻き込んだプロセスの自動化を図ります。2020年から3年連続でガートナー社のトップトレンドに選出され、世界的に注目を集めました。

ハイパーオートメーションの効果は、作業の自動化による生産性の向上だけではありません。次節では、ハイパーオートメーションで解決できるさまざまな課題を紹介します。

ハイパーオートメーションで解決できる企業の課題

ここで紹介するのは、ハイパーオートメーションで解決できる企業の課題です。ビジネスプロセスだけでなく、従業員の意識にまで影響を与えるハイパーオートメーションの効果をみていきましょう。

作業の効率化*2

ハイパーオートメーションの最も基本的な効果が、「作業の効率化」です。ビジネスプロセスの自動化により24時間体制でコンピューターが作業を行ってくれるため、作業の効率化を高い次元で実現できます。

ここで大切なのは、専門的な作業も自動化により効率を上げられることです。プロフェッショナルの高度な知識や技術が必要な作業をコンピューターで自動化できれば属人化したスキルに頼ることなく作業を進められるようになります。数少ないプロフェッショナルが行っていた作業をコンピューターの自動化システムで行えるようになれば、作業の担い手を大幅に増やすことができます。

作業精度の向上*2

ハイパーオートメーションは、コンピューターによる作業をベースとしているため、作業精度の向上を期待できます。コンピューターは、故障さえなければ、同じ作業を正確に続けることが可能です。24時間体制で作業を続けても疲れることはありません。人為的なミスをなくせれば、材料や時間のロスを確実に減らすことができるでしょう。

サービスの質の平準化という意味でもハイパーオートメーションは活躍します。担当者によってサービスの質が異なると顧客トラブルに繋がることがあります。しかし、ロボットを活用して質を平準化できれば常に安定して良質なサービスを提供可能です。

ワークフローの最適化*3

ハイパーオートメーションを実現する過程には、ワークフローの分析・整理が欠かせません。従来のプロセスの課題を洗い出し、解決の方向性を見出し、自動化・最適化を進めるのが、ハイパーオートメーションだからです。ハイパーオートメーションによるプロセスの自動化がゴールではありますが、ワークフローを整理して最適化を考える機会を得ること自体が、ハイパーオートメーションのメリットのひとつといえます。

ハイパーオートメーションでは、最適化されたワークフローに必要なツールやアプリケーションを開発するのが一般的です。課題を整理して導き出した最適なワークフローをスムーズに実施できるツールを開発することで、さらに優れた環境を構築できます。

多様なシステムとの連携*4

ビジネスプロセスの自動化で課題になりやすいのが、デジタルデータの扱いです。部門や企業によって使っているソフトウェアやシステムが異なると、データファイルのフォーマットの違いによりデータ連携に障害が発生します。これではビジネスプロセスの自動化は困難を極めます。

ハイパーオートメーションを導入する際は、iPaaSなどを活用してソフトウェアやプラットフォームなどに関わらずデータを一元連携するのが一般的です。これにより、部署や企業間のデータの垣根をなくし、スムーズに受け渡しできるようになります。

人的コスト削減*4

ハイパーオートメーションによる自動化で人間が行う作業は減り、人的コストの削減を図ることができます。ランニングコストの削減に充てることもできますし、新たな役割を任せることも可能です。

新たな役割としては、新たなビジネスアイディアの創出、対面サービスの強化、ハイパーオートメーションの開発などが挙げられるのではないでしょうか。いずれにしても、コンピューターでできる作業はコンピューターに任せ、人にしかできない作業の質の向上を図るのが大切です。

従業員のエンゲージメントの向上*5

企業によっては、ハイパーオートメーションによる従業員のエンゲージメントの向上が報告されています。ハイパーオートメーションに関するデジタルトレーニングをとおして従業員のモチベーションが上がり、デジタルツールの活用方法や働き方の新たなアイディアの創出に繋がっているようです*5。ハイパーオートメーションによる自動化だけでなく、自発的に日常業務の改善に取り組んで効果を実感することが、エンゲージメントの向上に寄与しているのかもしれません。

企業におけるハイパーオートメーションの事例

ここでは、企業におけるハイパーオートメーションの事例を紹介します。前章の「ハイパーオートメーションで解決できる企業の課題」に関連する事例を取り上げています。

アステラス製薬株式会社*2

アステラス製薬株式会社は、人・AI・ロボットを統合した製薬プラットフォームを構築しています。これにより、製薬に関する従来作業を最大で約70%短縮したとのことです*2。この事例では、創薬の一般的な工程はAIとロボット、要所でのアイディア発案や総合的判断は研究者、というように分業をしています。

ハイパーオートメーションを取り入れた製薬プラットフォームの効果として、稼働時間の延長や高精度の作業も挙げられています。ハイパーオートメーションの代表的なメリットを実現している事例です。

大成建設株式会社*3

大成建設株式会社は、ローコード開発ツールを活用して設計者自身がツール開発をできる環境を実現しています。従来なら数ヶ月かかっていた開発が、1週間から2週間で行えるとのことです*3。ワークフローのフロー図を描ければ、直感的なアクションで開発を進められるのがメリットとしています。

同社は、設計者自身が開発を行うことで、開発要員を増やすことなく内製化することに成功しています。開発のリソースを抑えながらスピーディーに最適なワークフローの実現を進めている事例です。

京セラ株式会社*4

京セラ株式会社は、基幹システムとデータ管理サービスを繋ぐためにiPaaSサービスを活用し、約150本のプログラムを一元連携しています。プログラムのデータは、さらに統合データベースに連携され、高度なデータ活用の実現に活用されています。

システム概要

*4

引用)アステリア株式会社「ASTERIA Warp Core導入事例:京セラ株式会社」

https://www.asteria.com/jp/warp/case/c_kyocera/

従来はExcelやAccessを使った属人的な管理で情報の不整合が発生していましたが、iPaaSサービスを活用した一元連携により、データ連携の工数削減、ミスの防止、データベースの強化に繋がったとのことです*4。

同社は今後の展望として、強化された統合データベースを核に、グローバルな製造拠点を横断した展開を進めていくとしています。iPaaSの導入は、ハイパーオートメーションの実現に向けた第一歩かもしれません。

ソフトバンク株式会社*5

ソフトバンク株式会社は、デジタル人材の育成や、RPAとAIに関する従業員のトレーニングなどに力を入れています。生成AIを活用したビジネスアイディアコンテストなどを開催し、従業員のエンゲージメントの向上を図っているとのことです*5。

同社は、テクノロジーを顧客に提供する前に、社内で活用し、ツールに対する理解を深めているようです*5。ビジネスアイディアコンテストで提案するだけでなく、実際に活用して効果を実感することが、モチベーションやエンゲージメントの向上に繋がっているのかもしれません。

ハイパーオートメーションを実現する過程では、実際に作業する人に負担がかかるため、十分に理解を得ながら進めるのが大切です。同社は、ビジネスアイディアコンテストなどをとおして従業員をうまく巻き込みながらハイパーオートメーションを進めている事例です。

おわりに

日本は、先進国においてDXで遅れを取っています。ハイパーオートメーションについても例外ではなく、まだまだ事例は限られています。しかし、先進企業は着実にハイパーオートメーションを進め、確かな効果を得ているようです。DXや働き方改革の最中である今こそ、ハイパーオートメーションに取り組むチャンスかもしれません。

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*1

出所)日本IBM株式会社「3分で読める|ここまで来た、Hyper Automation!」

https://www.ibm.com/blogs/smarter-business/business/ic-hyper-automation/

*2

出所)アステラス製薬株式会社「アステラスのDX戦略シリーズ Vol.2:人×AI×ロボットの協働で創薬を加速」

https://www.astellas.com/jp/stories/dx_strategy_series_vol.2

*3

出所)株式会社日立ソリューションズ「低コスト・短期間で建設DXの推進を加速。レガシーシステムデータのリアルタイム活用をAPI連携で実現」

https://www.hitachi-solutions.co.jp/rpa/case03/

*4

出所)アステリア株式会社「ASTERIA Warp Core導入事例:京セラ株式会社」

https://www.asteria.com/jp/warp/case/c_kyocera/

*5

出所)オートメーション・エニウェア「顧客事例: ソフトバンク社」

https://www.automationanywhere.com/jp/resources/customer-stories/softbank

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