「VR・AR・MR」それぞれの違いと技術的課題
VR・AR・MRはいずれもR(Reality)という文字が入っています。つまり、現実世界の人に対して何かを及ぼすことを指す技術としてこの3つが取り上げられることが多いです。
そこで、今回はそれらの技術の概要と違いについて紹介いたします。
VR
VRは、予めプログラミングされた仮想空間に五感をはじめとした感覚を刺激することでまるでその空間の内部にいるかのような体験を与えてくれるものです。
近年の代表的な製品には「PlayStation ®VR」などがあり、MRやARと比べて一番仮想空間に人を送り込むということに近い技術がVRであるといえます。
VRは専門の道具(VRゴーグル)で、視覚・聴覚を仮想空間のものに合わせるため、現実世界が見えなくなることによって安全上の問題や長時間利用による健康の影響など課題点もあります。そのため屋外の使用にはやや不向きな技術であるといえます。
主に自宅や、研修などのそれ専用のやや広い空間で使用することを想定するならば多様なものが作れるでしょう。
また、VRをテーマにした代表的な作品として「ソードアート・オンライン」等が挙げられます。
AR
ARは、現実世界にあるものに付加的な情報、例えばスマホのカメラを起動させた時にその場所の位置情報などのデータを加えて現実世界を拡張していくという技術です。
近年の代表的な製品では「ポケモンGO」の一つの機能として登場したことから話題になりました。
技術的課題としては、GPSにおける実際の位置とデータの表示する位置に数mの誤差があることが挙げられます。
ARのメリットは現実世界の情報をデータ化して遠方に送ることができることです。また、デジタルデータを軸としているので目の前のデータをその都度変更することができる点もメリットの一つとして挙げられます。
MR
MRは、現実世界に仮想世界を重ね合わせる技術です。一見ARと似た技術ではありますが、ARとの最大の違いは、現実世界を拡張するという発想ではなくデジタル空間を中心に現実世界に重ね合わせて体験することができるということです。
MRの問題としては、現実世界を仮想空間にデータ化する際に偶然写ってしまった他人のプライバシーの問題やMR端末では盗撮がされるのではないかといった倫理的な懸念があります。(MR端末としては一時期話題になったGoogle Glassがプライバシーの観点から一般販売が中止されている、など)
一方で、改良を重ねることで今後の成長が期待できる技術でもあります。
また、MRをテーマにした作品として「電脳コイル」等が挙げられます。
まとめ
比較してみて、それぞれに売りであると感じました。
【AR】
手軽さと利便性
【VR】
知名度の高さやゲームアプリなどの用途がはっきりしている点
【MR】
実現すればデジタルとアナログが本格的に融合するという点
(未来への期待感)
このようにそれぞれ3つにはかなり方向性の違う特徴があり、特徴に合わせた技術選択が技術選びのうえで重要になってきます。また、注目を集めやすい技術なのでビジネスとしても期待が持てるといえるでしょう。
しかし、それぞれがまだ多くの伸びしろがある技術です。特にMRの分野は知名度がVRやARに比べ低い点からも、今後の動向を慎重に見守っていく必要があるといえるでしょう。