発売から約10年。iPhone、スマートフォンで世の中はどれくらい変わったのか。
2017年は、ちょうどiPhone発売から10年が経過する年である。
そして、アップル好きな人でなくとも、iPhoneの登場によって世の中が大きく変わったことを認めない人は少ないだろう。
実際、iPhoneは様々なものを変革した。
ライフスタイル、インターネット、デザイン、携帯電話の販売チャネル、企業の勢力図、そして、人々の意識までを変えた。
これは決して誇張ではない。
そこで、具体的に何がどう変わったのか。少し取りあげてみる。
1.「人」がネットワーク化された
現在、インターネットを介して人があらゆる形でネットワーク化されたのは、iPhoneの功績である。
iPhoneの登場までは、「電話」と「パソコン」が人をつなげるデバイスであったが、それは音声とメールという、極めて限定的なつながりであった。
ところがiPhoneはそれを一新した。
人はSNSやメッセンジャー、フリマアプリ、写真アプリ、仮想通貨、ニュースサイトなど、あらゆる媒体を通じて、常にインターネットに接続された状態となった。
2.物理的なものに変わり「ソフトウェアサービス」にお金を払うようになった
ソフトウェアにお金を払うのは、パソコンのソフトか、ゲームソフト。それが定番だった。
しかし、手元で次々に便利なツールを提供するスマートフォンというデバイスにより、「ソフトウェアサービス」という分野が爆発的に広がった。
その代表がシェアリングエコノミーと呼ばれる分野だ。
ソフトウェアサービスにより、ものを所持せずとも、気軽に様々なものをソフトウェアを介して利用できる現代の姿は、iPhoneの存在なしにはありえない。
また、新聞や雑誌など、物理的な媒体もソフトウェアに取って代わられつつある。
3.文章を書く量が増えた
スマートフォンの登場により、皆が文章を日常的に書くようになった。
殆どソフトウェアは文字ベースでコミュニケーションが行われる上に、Googleの検索が基本は文字ベースであるからだ。
人類が蓄積しているテキストデータは、この10年で爆発的に増え、積極的に文章を綴る人が飛躍的に増加した。
4.マスメディアが力を失った
皆が毎日目にするメディアが、マスから個別へ、強烈に移動した。
テレビはもはや、メディアの主役たり得ず、主役は手元にある小さなデバイスである。
また、「同じものを皆で見る」という習慣も失われた。せいぜい10万、100万人といった規模の人が同じコンテンツを楽しむ程度である。
テレビのように、1億人が注目する、という現象はもはや起きない。また、それに伴いインフルエンサーが、「芸能人」ではなく「一般人」になった。
細かく見ていけば、いくらでも見つかると考えられるが、
デバイス一つで、ここまで世の中が変化することを思うと、諸行無常と思わずにはいられない。
(写真:Toshiyuki IMAI)