Google Payで日本のモバイル決済は変わるのか


今年2月にGoogleはデジタル決済サービスである「Android Pay」と「Google Wallet」について「Google Pay」として統一しました。今回はその概要を確認し、他の同様のサービスと比較しながら、最後に今後の国内での普及について考えてみたいと思います。

 

 

Google Payの概要

 

大まかに分けるとAndroid Payは実店舗での少額決済、Google Walletはインターネットサービスを利用する際のオンライン決済で使われるサービスです。Google Walletの方は日本国内での提供はありませんでした。2月以降はこの両方のサービスをGoogle Payという名称で統一するということで、競合する他のサービスとバランスが取れるようになります。本来であれば実店舗でもオンラインでも同程度の使い勝手があると良いわけですから、今回のブランド統一によってその実現を目指したということでしょう。

 

 

他のサービスとの比較

 

ここでは、Google Payと競合する他のサービスであるApple Pay, LIne Payとを比較しながら特徴を確認してみましょう。

 

対応している電子マネー

 

Google Pay・・・楽天Edy、nanaco
Apple Pay・・・iD、QUICPay、Suica
LINE Pay・・・LINE Payカード

 

LINE PayとLINE Payカードと似た名称が出てきますので、少々混乱しそうですね。リストの右側はクレジットカードや銀行口座と連携したり、登録した電子マネーを決済に利用するためのアプリの名称です。いわゆる「おサイフケータイ形式」のアプリです。一方、右側は電子マネーの名称です。さらにややこしいのはLINEの場合、LINE cashとLINE moneyという2種類のアカウントが存在します。LINE cashは本人認証なしに10万円まで利用可能であり、LINE moneyは本人認証が必要で1000万円までのチャージが可能です。

国内ではSuica利用者が多く、他の交通機関系電子マネーとの相互利用も可能なので、Suicaに対応していないGoogle Payにはそれほど優位性はありません。ただし、Apple PayについてもSuicaを実際に改札口で利用しようとするとアプリを起動しなくてはいけませんので、携帯各社が提供している「おサイフケータイ」に比べて使い勝手が良いとは言えません。

 

対応しているクレジットカード

 

Google Pay・・・クレジットカードを直接登録できない。クレジットカードから楽天Edyへチャージして楽天Edy経由で利用する。nanacoへのクレジットカードからのチャージも不可。

Apple Pay・・・JCBなど国内ほとんどのクレジットカードに対応。クレジットカード情報はWalletという専用アプリ内に保存。実店舗で使用するにはクレジットカードからSuicaなどにチャージして利用する。

LINE Pay・・・JCBなど国内ほとんどのクレジットカードに対応。ただしオンライン決済のみ。クレジットカードでのチャージは不可。

実店舗での利用については、何らかの電子マネーにチャージして利用する必要があります。Google Payの場合、楽天Edyのみチャージ可能ですので利用できる店舗についても対応する店舗のみとなります。なお、チャージする方法自体は銀行口座経由・コンビニ経由などアプリによって対応状況が多少異なります。

 

セキュリティ

 

Google Payの場合、電子マネーの残高情報などはクラウド上に保管されます。そのため端末を紛失しても端末内に情報が残りませんので比較的安心と言えます。ただし、楽天Edyは紛失時の残高に関して保証をしませんのでその点がやや不満ですね。他の電子マネーは概ね紛失の連絡があった時点での残高については保証しています。

Apple Payの場合、クレジット情報などはWalletアプリに保管されますが、指紋認証システムと連携していますので、端末を紛失した場合でも本人以外の利用が原則できません。Googleとは違う仕組みではありますが、セキュリティ面では比較的安心と言えます。

LINE PayについてはGoogleやAppleのようなセキュリティ面の特徴はありません。不正利用の際の10万円までの保証はついていますが、LINE moneyはそれを大幅に上回る利用が可能ですので、あまり高額の保管は避けた方が良いかもしれません。

 

特徴

 

Google Pay・・・Gmailでの送金が可能。
相手のGmailアドレスがわかればGoogle Payからの送金が可能となります。この機能については今後はGoogle Pay Sendという別のサービスに移行するようです。

Apple Payには残念ながら特筆できるような内容がありません。一方、LINE Payの方はいくつかのユニークな特徴があり、LINEと連携する各種のサービスに利用することが可能です。LINE TAXIでは配車アプリを使ったサービスでLINE Payでの支払いのみ対応しています。LINEアカウントを持つ個人間での送金ができたり、割り勘の清算ができたりと他のアプリに比べて面白い機能が使えます。もちろん、LINE musicやLINEスタンプなどの購入にも利用することが可能です。また、LINE moneyは登録した銀行口座に送金して引き出すこともできます。一般の電子マネーの場合チャージは可能ですが現金化ができないのと比べて大きな違いです。また、韓国国内ではATMから現地通貨であるウォンとして引き出せます。

 

 

国内の資金決済サービスのこれまでと今後

 

国内で利用が進んでいるおサイフケータイはdocomoが開発し、他の携帯キャリアにライセンスしました。スマホ以前から普及し始めたサービスでFelicaというICチップを利用しています。これは近接無線通信規格ではType Fと呼ばれるもので、国際的にはこれとは異なる規格であるType A、Type Bが普及しています。

Type FはSonyが開発した独自の規格でしたがその後国際規格へと認められました。認証スピードが早く、他の規格に比べて高機能です。しかし国際的な利用は進んでいませんので、いわゆる日本独自の「ガラパゴス」規格です。

GoogleにしてもAppleにしても当初は国際的に広く利用されているTypeA、TypeBだけしか対応していませんでした。しかし、日本国内のユーザーを無視できなかったのか、最終的にはtypeFを搭載した日本独自モデルを投入してきました。

さらに日本国内では交通機関系電子マネーであるSuicaが他の交通機関系と連携がとれ、コンビニなどでの決済にも対応するなど利用範囲が拡大しているため、Suicaに対応できるかどうかが普及のポイントの一つと言えます。Googel Payは現在のところSuicaに対応していないというのも今一つ不便な点ですね。

 

まとめ:Google Payで日本のモバイル決済は変わるか?

 

これまで見てきたように、国内のモバイル決済はキャリア系のサービスであるおサイフケータイが普及しており、日本特有のガラパゴスな市場となっています。これまでにもアメリカでは一般に普及している少額資金決済サービスであるPayPalがSoftbankを代理店として上陸したりしましたが、それほど利用が広がっているとは言えない状況です。日本国内では実店舗における少額資金決済の主力はいまだに現金であり、一部おサイフケータイが使われているという状態です。

1980年代から始まったIT革命、90年代からスタートしたインターネット革命により、ここ数十年間世界的な変革が継続しています。その最後の大きな波と言えるのが「資金決済」である可能性は高いと思われます。実際に、わずか数年の間に中国で急速に利用が拡大したQRコードを使った決済や、仮想通貨の登場で期待されている資金の新たな流通などが現在進行中です。これらの新しい形のサービスは「日本のモバイル決済を劇的に変える」可能性を感じさせるものです。

一方、Google Payは残念ながら日本独自の規格に擦り寄る形でのサービス提供となっていますし、現在のところ他の類似のものと比べて優位性がありません。「日本のモバイル決済を変える」ポテンシャルを持っているとは言えないでしょう。底知れないポテンシャルを持つ企業であるGoogleには今後、ユニークな視点でのサービスの提供を期待したいですね。

 

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