VR開発はゲーム専用ではない!可能性は無限大
VR(仮想現実)というと真っ先に思い浮かぶのは、VRゲームではないでしょうか。
現実世界では表現や体験ができないような世界観やシチュエーションを、リアルな映像で体感できます。そのため、VRとゲームは非常に相性が良く、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の代表格ともいえるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が提供するPlayStation VR(PSVR)との相乗効果もあり、VR開発はゲームに特化しているという先入観を持っているかもしれません。
ただ、VR開発はゲーム分野だけのモノではありません。では、どのような用途で使われている技術なのか、確認していきましょう。
失敗できない医療現場で
医療分野に特化したVRとして、Holoeyesが提供する「HoloEyes VR」サービスがあります。
CT、MRI、X線写真などの医療画像がありますが、これらは一般的に2次元で表現されています。元々人間の体は3次元なのですが、2次元画像での診断や手術計画を行っていることが多い現場で、このVR技術では、3次元空間の中で自在に閲覧することができるクラウドサービスを提供しています。
また、手術のトレーニングや、医療スタッフ間での情報共有、医療従事者に対する教育、患者への説明などに用いられています。
さらなる展開としては、患者の同意を得たデータを、医科系大学や製薬会社などに提供し、医療の質や安全性の向上にも期待がされています。
建設現場をより安心安全に
大手ゼネコンの大成建設では、ヘッドマウントディスプレイを用いて重機の遠隔操作を実現する「T-iROBO Remote Viewer」システムを開発しています。
従来の通常モニター映像では再現できなかった、奥行きや距離感が把握でき実際に搭乗している場合と同等の感覚で操作ができます。
そのため、危険性を伴うため作業者がその場に行けないような、自然災害時などの復旧対応も可能で、現場では高い効果を上げています。
また、東急建設はバンダイナムコスタジオの技術支援の下、「体験型安全衛生教育システム」の開発を発表しています。
体験者は、VR空間内で様々な災害事故の発生過程から疑似体験ができ、災害事故に繋がる原因や事故防止を学習することにより、安全意識を高めることが目的となっています。
SNSにもVRの波が
FacebookはソーシャルVRネットワーク「Facebook Spaces」を提供しています。
最大3人のFacebook上の友達と一緒に「スペース」と呼ばれる仮想空間にログインし、その空間内で自身は「リアルにそこにいる」といった感覚を作り出すアバターとなり、単なるチャットではなく、音声とアバターのボディ・ランゲージを使いコミュニケーションができるサービスです。
2014年に、ヘッドマウントディスプレイを開発していたOculusを買収したFacebook。
マーク・ザッカーバーグ氏は「VRが潜在的可能性をフルに発揮できるようになるには10年はかかるだろう」と述べており、VRを絡めた壮大な計画はまだまだ序の口ということでしょう。
VRフィットネスで楽しさ倍増
室内でランニングやウォーキングを行うためのランニングマシン。このようなマシンにもVR技術が導入されVRトレッドミル(VR健康器具)も開発されています。
室内でのワークアウトは風景が変わらず、特有の退屈さでなかなか続けられないといった人もいますが、VRをプラスすることで、空を飛ぶ気分を味わいながら全身運動ができる全身フィットネスマシンのICAROS(イカロス)。海の中や南国といった美しいVR風景の中で、ボートを漕ぐような運動ができるHOLODIA(ホロディア)などが実際に利用できます。
ただ問題点としては、ヘッドマウントディスプレイを装着しながら運動を行うため、汗をかいた時の不快感が大きいことです。そのため、長時間の運動にはまだ不向きな部分もあるため、改善の余地はありますが、日本のフィットネス業界にも導入が進んでいます。
このように、現実には難しい体験や経験もVR開発が進むことによって、より身近に感じることができます。
一般消費者的には、ヘッドマウントディスプレイといった入手しやすい機器で提供が多い、ゲーム・エンタメ分野のイメージが強いのですが、実は様々な分野で活用することができるVR。
どんな世界でも作り上げることができる仮想現実は、まさに無限大の可能性を秘めていますね。