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AIは建設業製造業にも影響するか?AIでCADはどう変わる?

スマートフォン、スマートスピーカー、ウェブサイトのアルゴリズムといった最新のテクノロジーが生み出したサービスやプロダクトなどは、今やAIとは切り離して考えられないものとなっています。
さらに現在では建設・製造といった昔から存在する産業にもAIによる革新的な進歩がもたらされています。

この記事では
1.AIとはそもそも何なのか
2.AIは建設・製造の分野でどのように活用されているか
3.建設に関わる人間の仕事がAIに奪われてしまう可能性はあるか
についてまとめました。

 

AIとはそもそも何なのか

 

AI(Artificial Intelligence/人工知能)とは「人間にしかできないとされていた知的な行為をコンピュータに行わせる技術」と定義され、その「知的な行為」には言語の理解やデータの整理、事実に基づく推論、問題の解決方法の提案などが含まれます。
現代におけるAIは様々な方法で収集された膨大な量のデータを分類・解析しつつ特定のパターンを見つけ出し、そのようにして発見したパターンを生産・改善・創造などに活用する技術とも説明できるでしょう。
また、さまざまなデータの中から人間が気づいていなかったパターンを発掘(マイニング)する「データマイニング」もAIにしか行えない作業として注目されています。

AIは自動運転のような新しい技術から、コンピューターゲーム上での囲碁や将棋の対戦相手、AmazonやYouTubeのユーザーに合わせたレコメンド機能、スマホで撮影した写真の自動分類など、わたしたちの身近なところで活用されています。

 

現代は“第3次AIブーム”

 

AIという言葉自体は1950年代から存在しており、現在のAIに関連するさまざまな動きは「第3次AIブーム」と呼ばれています。

AI自体は新しくはないものの、近年になってようやくAIが高精度の結果を生み出すために必要な膨大なデータ量が比較的簡単に収集でき、その膨大な量のデータをコンピューターにより高度な演算処理できるようになったためAIは飛躍的に進化し、各分野で広く実用化されるレベルになりました。

 

AIがもたらす変革

 

IT・製造・建築・医療などのさまざまな分野でAIが活用されることにより、どんな分野の作業にも付き物であったヒューマンエラーや手戻りなど作業効率を落とす要素を最小限に留めることが可能になっています。
そのようなAIのサポートによって人間の行う仕事はより効果や目的に集中したものとなり、結果として顧客サービスのクオリティーの向上や、製品の設計・製造工程などの高速化が実現しています。

AIは単体で消費者にメリットをもたらすものというより、既存のサービスや製品に付加することにより新しい価値を生み出す、またはサービスのレベルやプロダクトのクオリティーを向上させるという役割を果たしています。
また、AIはほとんどの業種において人間の仕事を奪うライバルではなく、仕事の生産性やクオリティーを向上させるパートナーと考えることができるでしょう。

 

AIが設計・製造に及ぼす影響

 

AIが目覚ましい進化を遂げているというニュースはよく耳にするかもしれませんが、実際に製造や建設の分野ではどのように活用されているのでしょうか。

 

AIによって最適解を導く

 

膨大な量のデータや無限のパターンから最適なものを選択するという作業が得意なAIを活用すれば、特定の複雑な条件をクリアすることが求められる設計においても「最適解」を導き出すのが容易になります。

たとえば、飛行機内のビジネスクラスとエコノミークラスのパーテーションを客室の形状に合わせて可能な限り頑強かつ軽量にデザインしたい場合どのような構造にするのが最適か、というような人間の知能では膨大な時間がかかってしまう設計も、パターン解析の得意なAIを活用すれば短時間で最適解を導き出すことができます。

 

AIに複数のデザインを考案させる

 

特定の条件を満たす複数のデザイン案を人間の観点で比較考量したいという場合もAIは役に立ちます。

たとえば「耐荷重200kgかつ3Dプリンタで出力可能な椅子」をデザインしたい場合、条件を十分に満たす無数の選択肢をAIに提案させるといったことが可能です。
このようなデザイン手法は「ジェネレーティブデザイン」とも呼ばれ、AIによって人間の頭では考えつかないような形状、かつ条件を満たした複数のデザインプランから人間が最適なデザインを選択する、という設計方法を採れるようになります。
また、AIが作るデザインは人間には思いつかないようなものであることも多く、既存の概念にとらわれない新しいデザインのプロダクトも多く生み出されています。

 

建設業におけるAI活用

 

建設分野でもAI活用の試みは広がっており

・ArchiCADを使ったBIMとAIを連携させて最も効率的な仮設工事や工程を検討する(鹿島建設)
・施工現場で撮影した工事写真をAIで解析し、使用されている建材の種類や数量から工事の進捗状況を確認する(大林組)
・自社のもつ数百件分の構造設計のノウハウをAIに学習させることにより、従来型の構造設計からルーティン作業の7割削減を見込める構造設計の自動化を図る(竹中工務店)
・中古住宅をAIによるリノベーションプランやイメージパースと合わせて販売する(iLandscape)[HI1]
参照:【株式会社i Landscape】AI×リノベプラン無料作成!不動産会社向けプランニングシステム「ORE」2016年11月1日より 提供開始

といったそれぞれ独自性の高いAI活用法が試用・検討・実行されています。

このように建設分野におけるAIの活用例を調べてみると、確認やルーティン作業といった人間の苦手とする、いわば高い正確性が求められるうえに時間がかかって面倒な作業をAIが担うという活用のされ方が多く、ゼロから新しいアイデアを生み出したり建造物をデザインしたりするといった創造性の求められる分野ではAIはほとんど活用されていないようです。
つまり、建設業においては創造性が求められ作業者がやりがいを感じやすい分野を人間が、それ以外の付加的な作業をAIが担当するという理想的な作業環境が実現するかもしれません。

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建設業の仕事がAIに奪われてしまう可能性はあるのか?

 

AIというキーワードからは、将来人間の仕事がAIに奪われてしまうという可能性が連想されることもしばしばありますが、将来には建築分野でもそのようなことが起こりうるのでしょうか。

 

建築プロジェクト特有の「1回性」はAIの苦手とする分野

 

一つのプロダクトのデザインが決定されるとそのデザインに従って大量生産が行える一般的な製造業と建設業とではAIの活躍の仕方も大きく異なります。

土地の形状・予算・目的などがプロジェクトごとに毎回異なり過去のパターンを機械的に当てはめるのが難しいという建設業独特の「1回性」の高さはAIの苦手とする分野でもあります。
加えて建築プロジェクトは土地ごとに気候や当てはまる建築基準法が異なるという点も含めて考えれば、設計業務をほとんどAIが担い人間の設計者が不要になってしまうという可能性は今のところかなり低いといえるでしょう。

建築におけるAIは、今後もあくまで建築の設計・施工に関連する最も適切なプランを比較検討する上での有用なツールという位置づけとなりそうです。

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CADオペレーターの仕事も減らない可能性が高い

 

建設業におけるAIはBIMと連携して活用されている例が多く、非BIMの3DCADや2DCADにはほとんど影響を与えていません。

さらに建築分野でのAIは、ほとんどの場合ゼネコンによる大規模プロジェクトで活用されており、建設業全体の中小企業・個人企業が占める割合が9割を超えている日本の現状を併せて考慮すれば、CADオペレーターを含めた建築にまつわるさまざまな仕事がAIに奪われてしまうという可能性は、今後しばらくの間考えなくても良さそうです。

 

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