CATIAを使って点の座標を出力する方法は?活用のコツを紹介
CADソフトを使っていると、ときおり必要になるのが点座標の出力です。ポピュラーな製造CADであるCATIAシリーズには点座標をリスト形式で直接出力できるコマンドや機能はないので、実行に当たってはそのやり方を知っておく必要があるでしょう。
この記事では、そんなCATIAを使った点座標の出力方法や、より効率的に業務を遂行するためのコツについて、解説します。
目次:
- CATIAの主な機能
- CATIAを使った点座標の出力方法
- マクロ機能をより有効活用するコツ
CATIAの主な機能
CADにはいくつかの種類がありますが、国内外で広く採用されている製品の一つがCATIAシリーズです。フランスのダッソーシステムズ社が提供するこの製品は、主に製造業界での運用を想定しています。
CATIAが広く普及している理由としては、以下のような機能を揃えていることが挙げられるでしょう。
複雑な設計が可能
CATIAの強みと言えるのが、高度な設計を単一のCADソフトで実現できる点です。従来の手法では難しかった曲面仕上げなども、CATIAであれば簡単に実現できます。航空・宇宙業界での活躍実績が充実しているのは、このような最先端のニーズに最適化された製品であるからです。
シンプルな操作で扱える
高度な設計ができるとはいえ、ソフトそのもののユーザビリティは決して高度ではありません。多様な機能を覚える必要はあるものの、基本操作については特段難しいものではなく、ある程度CADを扱える技術のある人はもちろん、これから初めてCADを触るという人も、すぐに運用を開始できるでしょう。
CATIAを使った点座標の出力方法
CATIAを使った設計業務を遂行する上で、必要になってくるのが点座標の出力方法です。点座標をリスト形式で出力したい場合、鍵を握るのが表計算ソフトのExcelとマクロです。ここでは、マクロ機能を使った点座標をExcelに出力する方法について、紹介します。
点座標を出力する際のプロセス
そもそもCATIAを使って点座標を出力する場合、現場で行う作業は
- 点要素の指示
- マクロの実行
- 点座標の出力・転記
という3つのプロセスになります。座標を抽出したい図形を選択して、マクロを起動・実行すれば、あとはExcelシートに貼り付けられる、というわけです。仕組みだけを見れば非常にシンプルですが、難しいのは点座標を出力するためのマクロの構築でしょう。以下ではマクロの組み方に注目して、解説を掘り下げます。
Excelに書き出す方法
CATIAから点座標をExcelに書き出すに当たっては、まず設定を完了しないといけません。はじめにCATIAからVBAを開き、ツールタブから参照設定を開きます。するとExcelのオブジェクトを使用するための「Microsoft Excel Object Library」が指定できるかと思うので、これを選択の上、OKをクリックします。
また、VBAでは以下のコードをコピペで記述しておきます。以下のコードはワークブックとシートをExcel上で指定するためのものです*1。
'------------------------------------------------------------------------
Sub CATMain()
On Error Resume Next 'エラーを無視して続行するようにする
Dim appExcel As Excel.Application 'Excelを取得
Set appExcel = GetObject(, "EXCEL.Application") 'オブジェクト生成
If Err.Number <> 0 Then 'Excelが起動していない(エラーが出た場合)
Err.Clear
Set appExcel = CreateObject("Excel.Application") 'Excelを起動
End If
On Error GoTo 0
'------------------------------------------------------------------------------
appExcel.Visible = True
Dim WB As Workbook
Set WB = appExcel.Workbooks.Add 'ExcelワークブックをWBと定義する
Dim WS As Worksheet
Set WS = WB.Sheets(1) 'Excelの1つ目にあるシートをWSと定義する
ActiveSheet.Name = "CATIA_Point" 'シートの名前を変更
'------------------------------------------------------------------------------
マクロに処理を記録する
続いて、実行する処理をマクロで記録します。さまざまな操作を記録できるマクロですが、ここでは点座標の検索をマクロに記録します。
まずはマクロライブラリーを設定し、検索操作そのものを覚えさせます。検索コマンドを使い、図形の点を全て選択しましょう。選択ができたら記録を終了しますが、その際にライブラリに正しく記述が行われているか、確認を行います。
正しく記述が行われていれば、モジュールとしてそれを扱うことができるため、今度は記述されたコードを先ほどのVBAのコードの下にコピペします。すると選択した点の座標を全てExcelの表の中に記述するよう指定が可能です。
マクロを実行する
最後に、実際にマクロが正しく動作するかどうか、一度点を選択して試してみましょう。作成したユーザーフォームを実行し、点が選択されExcelに書き出しが行われれば、座標点の出力は成功です。
マクロ機能をより有効活用するコツ
マクロ機能は非常に便利で、座標点の出力以外にもさまざまなタスクに適用することができます。加工工程を自動で作成したり、ファイル名とパーツ番号を自動で生成したりなど、面倒な作業労働を大幅に削減可能です。名付けの負担を減らせるのはもちろん、作業のたびに手作業で複数のソフトを立ち上げたりする面倒も解消できるので、長期的に見れば飛躍的な生産性向上が期待できます。
CATIAシリーズの便利なところは、マクロ機能を存分に扱える点にもあります。VBAやマクロに対する理解を、基本的なところから深めていきましょう。
まとめ
この記事では、CATIAを使った点座標の出力方法について紹介しました。基本的にはコードを記述し、マクロを記録するだけで自動出力が可能になるので、実施そのもののハードルはそこまで高くはありません。また、マクロはこれ以外にも多くのタスクを効率化するのに使えるため、是非とも積極活用したいところです。
一度既存の業務を見直し、マクロの適用可能な余地がないか、洗い出しを行ってみると良いでしょう。
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参考:
*1 3D楽「CATIA V5 マクロ入門 点の座標をExcelに書き出す」