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徹底比較!製造業向け3次元CADソフトウェアの価格機能選び方

3次元CAD/CAMは、2020年時点では67.2%まで普及が進み、特に従業員が1万人以上の製造業では、3次元CAD/CAMの導入率が71.8%にのぼります。(*1)

CADを学びエンジニアとしてキャリアを積みたい場合や新しく顧客獲得のためにツールを選定したい場合には、よく使われているCADを選ぶことが重要です。

この記事では、製造業向け3次元CADソフトウェアについてさまざまな角度から比較して紹介します。

CADの種類の比較

CADは、多くの種類があり、無料のものから高額なものまで多岐にわたります。

汎用的な形状作成に対応するCADも多くみられますが、作業効率を考えると作業する人がよく使う機能をひとまとめにしておくのが効率的です。

そのため、一般的にCADは、目的ごとに種類が分かれています。

  • 建設業向けCAD:ARCHITREND ZERO、VectorWorks、AutoCAD Civil 3Dなど
  • 製造業向けCAD:CATIA、SOLIDWORKS、Creoなど

製造業向け3次元CADソフトウェアの選び方

製造業向け3次元CADソフトウェアを選ぶ場合には、使用できるデータの種類や互換性・機能・価格に注目することが重要です。

CADは種類ごとにデータ形式や取り扱える拡張子が異なります。

各々のCADを使用するのに最適なデータ構造ではあるものの、他のすべてのCADで必ず読み込めて、正確な形状や編集履歴が完全に伝わるという保証はありません。

CADのデータを連携する際は、データの構造を変えずにデータを閲覧することが理想です。

しかしどうしても形状や履歴を連携する必要がある場合は「中間ファイル」という種類のデータに変換したやりとりが可能です。

また、同じCADのなかでも使える機能はさまざまです。

設計されたデータを確認するだけであれば閲覧に特化したCADを選ぶと価格が押さえられるメリットがあります。

また、製造業のうち、電気設計をするのか、機構設計をするのかで必要なCADの機能が異なるのです。

形状作成方法による比較

製造業向け3次元CADソフトウェアを選ぶ場合には、まず以下のようにCADのデータの作成方法と価格帯に着目してみましょう。

  • ダイレクトモデリング
  • フィーチャーベースモデリング:ハイエンド、ミッドレンジ、ローエンド

ダイレクトモデリング機能のあるCAD

ダイレクトモデリングはクレイ(粘土)モデリングとも呼ばれるデータ作成方法です。

粘土をこねるように編集箇所に形状を足したり変形させたりします。

編集履歴は記録されないため、試行錯誤で直観的なモノづくりが可能です。

デザイン検討の時点や治工具設計、派生モデルが少ない製品の開発に向いています。

・価格帯:約80~150万円程度

ダイレクトモデリング機能のあるCADソフトウェアには以下のようなものがあります。

  • 図脳CAD 3D V2

CATIAと同じモデリングカーネルを用いていて、治具設計・金型設計・解析などに向いています。

CATIAのほかPDF 3D、SolidWorks、SolidEdge、Creo(Pro/E)Autodesk Inventor、NXなどのデータが中間ファイルなしで読み込めます。(*2)

  • IRONCAD

ACIS、Parasolid2種類のデータ切り替えが可能なCADで、直線的な形状が多い装置や治具などの設計に向いています。

数万点規模のアセンブリにも対応しているため、FA設備設計にも対応可能です。

ブロック、円錐穴など基本形状をカタログから選択して形状が作成できます。(*3)

  • iCAD SX

富士通が80年代から内製しているCADがもとになっているソフトウェアです。

CATIA

Pro/E、NX、I-DEASのインポートに対応しています。

300万部品0.2秒の超高速レスポンスとデータの読み込み速度がすばやく、機械装置や大型プラント、生産ライン設備設計で使いやすいソフトウェアです。(*4)

フィーチャーベースモデリング機能のあるCAD

フィーチャーベースモデリングでは、一つの形状のさまざまな箇所の寸法履歴を保持しています。流用設計や設計変更が多い製品に向いています。

CADはその価格からハイエンド、ミッドレンジ、ローエンドと3つに分かれます。

ここではフィーチャーベースモデリング機能を持つCADについて、それぞれの価格帯で比較します。

ハイエンドCADソフトウェアの例

ハイエンドCADは高速演算処理、複雑な形状作成、高度なレンダリングや解析・シミュレーション機能など、設計に必要なさまざまな機能が搭載されています。

ひとつのデータで企画から設計、製造などに一気通貫で利用できる拡張性の高さが特徴です。

また、クラウド上で行う設計環境も充実しています。

・価格帯:約100万~数百万円程度

・主なCADの種類例

  • CATIA V5
  • Creo Parametric
  • Simens NX

ミッドレンジCADソフトウェアの例

ミッドレンジCADもハイエンドCADと同様に編集履歴を保持した形状作成、パラメータによる設計変更対応、レンダリングや解析・シミュレーション、データ変換などの機能があります。

使用できる機能が絞り込まれているため、電気設計のみ、機械設計のみなど自社で使いたい機能に特化したCADの選択が可能です。

・価格帯:約80万~150万円程度

・主なCADの種類例

  • SolidWorks
  • Autodesk Inventor
  • TopSolid
  • Solid Edge
  • iCAD

ローエンドCADソフトウェアの例

ローエンドCADは無料で使えるものも多く、まずCAD基本機能の学習をしたい場合や趣味で3D形状作成を行いたい場合などでも手軽に利用可能です。

作成したCADデータを3Dプリンタで出力したい場合には、STL、OBJ、VRML、3DS、AMF、3MFなどのデータ形式で保存できるものを選ぶのがおすすめです。

・価格帯:無料~数十万円程度

・主なCADの種類例

  • Fusion 360
  • BricsCAD
  • DesignSpark Mechanical

製造業向け3次元CADソフトウェア選択時の注意点

製造業向け3次元CADソフトウェアを選択する際は、以下についても事前に比較しておきましょう。

CADの操作技術習得方法

ハイエンドCADやミッドレンジCADを習得する場合は、販売ベンダーやスクール、職業訓練校などで学ぶのが一般的です。

ローエンドCADであれば書籍など技術情報が豊富なため、独学するケースもみられます。

CADの導入費用とランニングコスト

ハイエンドになるほど複雑で高度な処理に対応できますが、それだけワークステーションやクラウドに求める要件が多くなる傾向があります。

例えば、CATIAの推奨ワークステーションは、CPUがIntel Core i9、グラフィックカードはnVidia T600、その他にOSやメモリなどの推奨条件を積み上げていくと、標準価格で50万円を超えるのがあるほどです。(*5)

一方、Fusion360であれば、CPUはIntel Core i、AMD Ryzenシリーズなどx86ベースの64ビットプロセッサで駆動可能で、グラフィックカードも「DirectX11 (Direct3D 10.1以上)、1 GB以上のVRAMを搭載した専用GPU、6GB以上のRAMを搭載した統合グラフィックス」と使える端末の選択肢が大きく広がっています。(*6)

また、CADのライセンス形態は買取の場合と年間使用料が毎年かかる場合があります。CADの機能とあわせて確認しておきましょう。

事業規模別おすすめの製造業向け3次元CADソフトウェア

ここまでご紹介した価格や機能を踏まえると、製造業向けのCADソフトウェア製品は以下のような選択が考えられます。

大規模な製造業向け3次元CADソフトウェア

  • AutoCAD Plus
  • CATIA
  • IRONCAD
  • Fusion 360
  • SOLIDWORKS 3D CAD
  • SIMENS NX
  • Autodesk Inventor Professional
  • Creo Parametric

中堅規模の製造業向け3次元CADソフトウェア

  • AutoCAD Plus
  • IRONCAD
  • Fusion 360
  • SOLIDWORKS 3D CAD
  • SIMENS NX
  • Vectorworks Fundamentals

中小規模の製造業向け3次元CADソフトウェア

  • Fusion 360
  • AutoCAD Plus
  • IRONCAD
  • SOLIDWORKS 3D CAD
  • DesignSpark Mechanical
  • Rhinoceros

まとめ

製造業向け3次元CADソフトウェアをさまざまな角度から比較しました。

ツールの導入時は、顧客や次工程との連携効率に加えて、自社の使いやすさも重視した比較を行いCADソフトウェアを選びましょう。

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参考URL
*1 https://engineer.fabcross.jp/archeive/200417_cad_cae.html
エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」調べ
*2 https://www.photron.co.jp/discontinued/3dcad/zunocad3dv2/
*3 https://www.ironcad.jp/design-collaboration-suite/ironcad/
*4 https://www.icad.jp/
*5 https://www.3ds.com/support/hardware-and-software/hardware-and-software-configurations/
*6 https://knowledge.autodesk.com/ja/support/fusion-360/learn-explore/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/System-requirements-for-Autodesk-Fusion-360.html

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