Facebookストーリーとは?刹那を楽しむSNSと記録についての考察
Facebookにはさまざまな機能が追加され、投稿画面がにぎやかになりました。ユーザーは既にご存知かもしれませんが、パソコンのブラウザで投稿するときに「ニュースフィード」と「ストーリーズ」という選択項目があります。どちらかを選ぶこともできれば、両方に投稿することも可能です。
パソコンのブラウザ上ではニュースフィードがデフォルトのため、長年Facebookを使ってきたユーザーであっても、意外にFacebookストーリーを使いこなしている人は少数派ではないでしょうか。スマートフォンのメッセンジャーアプリでは「My Day」と呼ばれています。
そこでFacebookストーリーとは何か?という基本知識から、Facebookストーリーを含めて、SNSが抱える問題や賢い使い方を考察します。
この記事を読むと次の3つのことが分かります。
①Facebookストーリーの特長
②消える系SNSと記録されるインターネット
③Facebookストーリーを利用する上で大切なこと
Facebookストーリーとは
簡単に解説すると、Facebookストーリーは「消えてしまう投稿」です。
投稿時に「ニュースフィード」を選択すると投稿は公開範囲を指定した友達のフィードに表示され、タイムラインに表示されます。しかし、投稿時に「ストーリーズ」を選択すると24時間で消えてしまいます。
静止画は、投稿のお知らせをクリックすると6秒間だけ表示し、後は画面が切り替わります。スマートフォンのアプリの場合は、クリックやタップをすると次の投稿になります。動画は20秒まで投稿可能で、映像をループさせる「BOOMERANG(ブーメラン)」という機能もあります。ライブ配信も可能です。
「えっ?なぜ消えてしまう投稿をするワケ?」と不思議に思うひとは、もしかすると時代遅れかもしれません。
「わざわざタイムラインに投稿するほどじゃないが、これ面白いんですけど!」
「おしゃれな店じゃないんだが、ここの生姜焼き定食うますぎ!」
「きゃー、この子カワイイから見て!」
そんなとき、さくっと画像や動画を撮って公開し、その後は消えてしまう気軽さが、若い世代を中心にウケています。画像にスタンプや画像枠などのエフェクトをかけられるので楽しさが拡がります。
ところで、Facebookストーリーは見た人の閲覧数(足跡)が残ります。しかし、確認できるのは投稿した本人だけです。また、ストーリーを見た友達は「いいね!」やコメントをつけられますが、通常の投稿のように公開されません。いいね!やコメントはメッセンジャーに送信されます。したがって、表向きには書けないようなことも書けます(あまり悪口を書くことはおすすめしませんが)。
投稿が24時間で消滅するところがFacebookストーリーの特長とはいえ、保存と公開もできます。一発芸やダンスを披露して、ウケたら採用、ウケなかったらボツのような使い方も可能です。
消える系SNSと記録されるインターネット
このFacebookストーリーは「エフェメラル(短期間の、はかない)」と呼ばれるSNSのひとつで、いわゆる「消える系SNS」として流行しました。どちらかといえば、FacebookよりInstagramで人気があります。
しかしながら現在、InstagramはFacebook傘下です。つまりFacebookストーリーはInstagramで人気がある機能を移植したといえるでしょう。
2012年にInstagramはFacebookにおよそ10億ドル(日本円に換算して約810億円)で買収されました。Facebook史上最大のM&Aで、当時社員13人しかいない企業を晴天の霹靂のごとく買収したことは一部で話題になりました。
ところが個人情報漏えいの問題からFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏がアメリカの公聴会に証言を求められて出頭したとき、InstagramはFacebook傘下であることを、アメリカ国民の6割が知らなかったといわれます。
さらに時代を遡れば、消える系SNSの元祖は2011年に登場した「Snapchat」です。「SNOW」も人気を集めました。Instagramのエフェメラル機能はSnapchatに対抗したもので独自とはいえません。しかし、インスタグラマーと呼ばれる影響力の強いユーザーを生み出したInstagramに採用されたことで、先行したSnapchatよりも人気を獲得しました。
いまのところ、Twitterにエフェメラルの機能はありません。
飲食店やコンビニエンス・ストアのアルバイト店員が悪ふざけした動画がアップロードされ、2013年頃から「バカッター」という言葉が生まれました。馴染みの客だけでなく野次馬からもクレームが殺到し、店舗側が損害賠償など法的措置を展開することが社会問題化しています。
ところが、くら寿司の店員がゴミ箱に魚を投げ捨てた後で拾ってまな板にのせた動画、すき家で店員が調理用具を股間にあてがった動画は、もともとはInstagramのストーリーに掲載されていました。それがTwitterで拡散したといわれています。このことから「バカスタグラム」という言葉も浮上しています。
参考:バカッターの次は「バカスタグラム」? 変わる“バイトテロ”の発火点
いくら「消えてしまう系」といっても、一度アップロードされた静止画や動画はコピーすることができ、いくらでも記録として残るのがインターネットといえるでしょう。
そもそもSNSが始まる以前はブログが中心でしたが、ブログの語源は「Weblog」つまり「Web上の記録(ログ)」の意味でした。ほんらい日記をはじめとして、開発上で技術のTipsなどを記録するツールがブログで、記録される内容は純粋にプログラミングの効率化や進捗、問題提議が中心だったのです。疑問をブログに書き込めば「こうすればいいんじゃないかな?」と誰かから無償でアドバイスをもらえました。
その後、インターネット広告が盛り上がり、ブログを使って儲けるアフィリエイターという人々が生まれ、炎上文化が当たり前になりました。不適切な動画を投稿した人間は特定されて吊るし上げられ、まったく関係のない野次馬からも誹謗中傷を受けることになります。
Facebookのストーリーも「バカッター」や「バカスタグラム」を生み出す可能性がないとはいえません。
まとめ:Facebookストーリーの賢い使い方
大規模な個人情報の漏えいにより、Facebookはブランドの価値を下げ、退会するユーザーも少なくありませんでした。
ただ、ユーザーとしてはFacebookによって学生時代の友人と再び交流したり、趣味などを通じて新たな人脈ができたり、恩恵をうけた人々がいるはずです。
そこでFacebookストーリーの賢い使い方を列記してみましょう。
■飾らない、さりげない日常を伝えよう
写真を投稿しようとすると美白にしたり目を大きくしたり、とかく過剰なエフェクトをかけてしまいます。宴会や高級料理や、決定的瞬間がなければ投稿に値しないと考える人もいます。けれども、さりげない日常生活にも、輝いた瞬間や素敵な風景があるはずです。そんな風景を切り取って、友達と共有してはいかがでしょう。
■インターネットに匿名はない、消えずに残ることを留意しよう
はあちゅう氏が、粘着的な誹謗中傷を繰り返すアンチユーザーを特定したということをTwitterで発言していました。インターネットに完全な匿名はあり得ません。また、一度投稿した発言、写真、動画は残ります。基本的なリテラシーとしてSNSの危険性を再確認すべきです。ちなみに一般人は「芸人」になって笑いを取る必要はありません。
■いちばん大切な瞬間は、脳という自分の記憶媒体に刻み込もう
子どもの運動会やイベント会場では、いっせいにスマートフォンを掲げる姿に圧倒されます。10年前であれば「なにこれ?みんな変!」と思ったのではないでしょうか。スマートフォンで撮影することに夢中になり、現場の雰囲気はまったく記憶にないこともよくあります。いちばん大切な瞬間、二度と体験できない出来事は、脳という自分の記憶媒体に刻み込むこと。ちなみに脳はエフェメラルです。
SNSはツール(道具)に過ぎません。しかし、使い方を誤ると人生を終わらせてしまうツールでもあります。操作や機能自体を覚えるよりも、Facebookストーリーでどんな楽しいさりげない日常の物語を紡ぐか。そのことを大切にしたいものですね。
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