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大手ゼネコンが協力。 BIMソフトrevitの魅力

コンピュータ上に建物の3Dモデルを立ち上げ、そのモデルに設計から施工までの各段階に必要な情報が紐づけられるBIM (Building Information Modelingの略称)。設計者、施工者、そして施主との情報共有に革新をもたらすシステムとして日本でも普及が進んでいます。
そんなBIM設計に用いるCADソフトとして開発されたAutodesk社の「revit」が、今注目を集めています。ゼネコンや組織設計等からrevitによる成功事例も発表されているからです。さらに2018年12月には、revitを活用している大林組・清水建設・大成建設をはじめとした大手ゼネコンが団結し、revit用BIMパーツの仕様を共通化することが発表されたのです。(※①)
では、revitは具体的にどのようなものであり、大手ゼネコンの協力によるBIMパーツ仕様の共通化は建設業界にどのような変化をもたらしたのでしょうか。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります
①revitでできること
②revit 用BIMパーツの共通化が「すごい」理由
③ゼネコンのrevit活用事例

revitでできること

設計対象の建物について、1枚1枚の図面でなく、3Dモデルをベースに作図するという点がBIMの代表的な特徴です。つまり、必要な情報を付加した3Dモデルを作ると、既にそれを切る方向によって平面図、立面図、断面図といった各種図面が書き出せる状態になっており、さらに建具表や面積表などの集計表の類も同時に作成するという機能をBIMは持っているのです。
立体や数値で「見える化」した情報をもとに打合せができるため、図面の読めない施主や異分野の専門家との情報共有もスムーズにできるというメリットがあります。
revitはこのBIMをさらに便利に使用するためのソフトという位置づけになっています。

設計変更による影響を自動反映

“Revit は、変更によって影響を受ける対象を即座に判別し、影響を受けるすべての要素にこれらの変更を反映させます。(※②)”
revitの「パラメトリックモデリング」機能により、例えば壁を動かしたらドアも壁からの距離を保った状態で移動する等、関連する要素についても整合性が保たれるようプログラムされています。図面チェックなどの無駄な作業から解放され、3Dモデルを用いた具体的な打合せに専念できるというわけです。

ワークシェアリング機能を強化

“中央モデルを作成してワークシェアリングを可能とします。これにより、チームメンバーが中央モデルのローカルコピーに同時に設計変更を行うことができます。” (※②)
一般に、建築プロジェクトには複数のメンバーが関わります。そこでrevitではプロジェクト全体のマスターとなる「中央モデル」をベースに置き、外部設計、設備設計、インテリア設計といった各作業メンバーは、中央モデルのファイルからローカルファイルにデータを保存してから作業するというスタイルをとっています。作業後のデータを中央モデルに同期することで、複数のメンバーの手で同時にモデルを完成させていくのです。

revit 用BIMパーツの共通化が「すごい」理由

BIMでは、モデリングする建物の構造部材に、サイズや仕様などの属性情報を付加することができます。今回revitについて発表がなされたのは、鉄骨の柱や梁といったBIMパーツ(ファミリ)の属性情報を各社共通の仕様にするという内容でした。現在は鉄骨構造における仕様統一ですが、今後はRC構造にも適用範囲が拡大されるようです。
この共通化が画期的なのは、
“鉄骨の構造を生産、施工するために必要な設計データの種類について、異なる組織間でも円滑に利用できるように標準化整備を行い、(※①)”
異なる組織間でも共通の生産工程をもって効率的に設計・施工を進行させることができる点にあります。
従来であれば各社が異なる「言語」でBIMパーツに属性情報を持たせており、組織をまたいだプロジェクトでは属性情報を自社仕様に「翻訳」するという過程が免れなかったところを、大手ゼネコンの団結により「共通言語」が作られたということになります。
Autodesk社によると、この「共通言語」は今後、他の建設会社や設計事務所へも利用の働きかけが進む見通しです。
ちなみにこの構造設計用ファミリは、Autodesk社のサイトより無料ダウンロードが可能です。
ダウンロードURL:
https://gems.autodesk.com/c/express/b9e561b0-4402-4870-98d8-c03aa9ae62e4

ゼネコンのrevit活用事例

事例①:大成建設株式会社

大成建設は、医療施設「横浜カメリアホスピタル」のプロジェクトにおいてrevitによるBIMモデルを設計で活用し、設計変更に対する迅速な対応に成功しました。
“クオリティとスピードというのが2つの課題だったのですが、それを解決するツールとして Revitが非常によく頑張ってくれたと思っています。 今回Revitを使う事によって、非常に立体的に認識して頂けるという事が、お客様にとって 非常にメリットをもたらしたんじゃないかと思っています。(※③)”
大成建設によると、まさに打合せをしている目の前でBIMモデルの壁を動かし、ビジュアルをもって施主とコミュニケーションを取ることで、その場で合意を得ながら設計が進行できたのが設計のスピードアップにつながったそうです。revitのパラメトリックモデリング機能を効果的に活用した代表的な事例として挙げられています。

事例②:大和小田急建設株式会社

2008 年より大手住宅メーカー「大和ハウス」グループとして生まれ変わった老舗ゼネコンの 大和小田急建設。煩雑な図面チェックや修正作業が省略できるrevitの導入を機に、設計部門1年目の若手を選抜したプロジェクトで成功を収めたようです。
“(従来の)同社のワークフローでは、3 次元 CG が制作されるのは意匠設計の完成後となります。そのため、意匠担当の設計者が 3 次元モデルを見て修正を加えたいと思っても、既に設計はフィックス済み。変更すれば、やっかいな手戻りを発生させるケースが少なくありませんでした。※④)”
大和小田急建設はこの「手戻り」を解決すべくrevitを導入し、設計1年目の社員をプロジェクトメンバーに抜擢。図面の不整合が起こらない状態で、現場の作業効率の向上と共に設計本来の楽しさを引き出すことが目的だったそうです。
導入研修を受けた新人社員によると、
“学生時代に他社 CAD で苦労した部分が簡単にできてしまうんです。(※④)”
とのこと。
これにより凝った意匠の設計にも臆することなく挑戦できた上、ルーバーの高さや家具の配置といった細かな取り合いも視覚で直感的に把握し、詳細まで設計が詰められたと言います。また、立体データを用いて進行できるため、ミーティングにおいても報告がスムーズにできたというメリットも挙げられています。
他部門のメンバーも参加する社内ミーティングにおいては二次元の図面では伝わりにくく、なおかつ経験の少ない社員であれば言葉による説明が難しい場面も少なくありません。
図面に不整合が起きず正確な検討が行えるBIMソフトrevitの活用が、社員のスピード成長につながったのではないでしょうか。

まとめ

建物の3Dモデルで設計を進め、図面作成と立体化・数値化が自動で行われるBIM。その支援ツールであるrevitには、BIMの「見える化」によるメリットに加え、設計時の不整合の解消や複数人数や組織を越えたプロジェクトのスムーズな進行を強化した画期的な機能が搭載されています。
設計のスキルアップや意匠のブラッシュアップなど、設計本来の魅力や目的を存分に追求できる画期的なツールとして、今後の展開からも目が離せません。

参考・引用

※① Autodesk社 プレスリリース 2018年12月4日

https://www.autodesk.co.jp/press-releases/2018-12-04

※② Autodesk社 REVIT機能

https://www.autodesk.co.jp/products/revit/features

※③ Autodesk社 BIM事例:大成建設株式会社

http://bim-design.com/case/gc/taisei.html

※④ Autodesk社 BIM事例:大和小田急建設株式会社

http://bim-design.com/case/gc/daiwaodakyu.html


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