IFC形式とは?運用時の注意点やRevitで変換する際のポイントを解説
3D CADモデルやBIMモデルを扱う際、注意しておきたいのが各モデルデータの形式です。使用しているソフトによって、保存されるデータ形式が大きく異なる場合があるため、その都度環境に応じた形式を用意しなければなりません。
この記事では、そんなデータ形式の中でもポピュラーな存在である、IFC形式の概要や、Revitで変換・運用する際のポイントについて解説します。
目次:
- IFCとは
- IFC形式に含まれる情報
- IFC運用の課題
- RevitにおけるIFCの扱い
- RevitからIFCに書き出す方法
- RevitからIFCに書き出せない時の対処法
IFCとは
IFCはIndustry Foundation Classesの略称で、BIMモデルを保存する際のファイル形式の一種です。
BIM運用の課題とされているのが、BIMモデルのファイル形式が運用製品によって異なる故に、トラブルが起きてしまうというものです。ファイル形式がそのままでは、異なる製品同士でBIMデータを運用したい場合、ファイルが展開できずに業務が遂行できないため、BIMの強みであるコラボレーションの強化が発揮できません。
そこで採用されているのがIFCと呼ばれるファイル形式で、BIM運用においては中間フォーマットのような役割を果たします。各製品のネイティブのファイル形式からIFCに変換し、IFCから別の製品のネイティブファイルに変換することが極めて容易なので、円滑なコラボレーションを促すためです。
BIM本来の強みを存分に活かす上では、IFCの役割をよく理解しておく必要があるでしょう。
IFC形式に含まれる情報
IFC形式に変換されたBIMモデルは、具体的にどのような情報を内包することができるのでしょうか。主な例としては、
- 建築の階層
- 建物の各要素
- レイヤーシステム
- プロパティ
などが挙げられます。端的に言えば、BIM運用に必要なすべてのデータは、IFC形式に変換しても損なわれることはありません。
プロジェクト全体の3Dモデルを表示できるのはもちろん、階層だけ、柱だけといったパーツ単位での表示にも容易に切り替えられるので、柔軟なBIMモデル活用を推進できます。
ネイティブのファイル形式を別のファイル形式に変換する場合、懸念されるのがデータの破損や要素の変更です。別製品に特化したファイルに無理やり変換してしまうと、何らかの不具合がデータファイルに現れることもありますが、IFCは共通規格として採用されているファイル形式のため、その心配もありません。
IFC運用の課題
汎用性が高く、柔軟に変換できるIFC形式のファイルを使ったBIM運用は、一見すると優れた技術であるようにも思えます。ただ、IFCの運用に当たっては課題もあり、その際たる例が変換の際のトラブルです。
データをネイティブのBIMモデルからIFCに変換できてしまえば、汎用性の高いデータとしての運用ができます。ただ、正しくIFCファイルに変換ができないと、IFCファイルを正しい形で運用ができず、IFCでのデータ利用はもちろん、他のファイル形式への変換もうまくいきません。
IFCデータへの正しい変換方法や、変換の際のトラブルを解決できるノウハウを理解しておくことが、IFC活用を推進する上では重要です。
RevitにおけるIFCの扱い
Autodesk社が提供するBIMソフトのRevitは、世界で最もポピュラーな製品ということもあり、もちろんIFCファイルにも対応しています。
IFCファイルにはいくつかの種類があり、製品によっては対応していないバージョンも存在します。一方でRevitの場合はIFC2x3、IFC2x2、IFC2x の buildingSMART International (bSI)データ交換標準に基づいた IFC ファイルをサポートしており、あらゆる形式にも対応できるのが強みです*1。
RevitファイルをIFCで書き出した場合には、そのまま構造エンジニアや建築設備エンジニアなど他の建築専門技術者が利用できるよう設計されています。通常、Revitで作成されたBIMモデルはRVT形式と呼ばれるファイルで保存されますが、IFCへの書き出しを行うことで、RVTファイル形式を使用しない IFC認定アプリケーションに書き出すことが可能です。
これにより、IFC形式を用いた実用性の高いモデル運用を促進しています。
RevitからIFCに変換する方法
Revitを使ったIFC認定アプリケーションに書き出すためには、まずIFC への書き出しに使用する IFC マッピング ファイルをロードします*2。[ファイル]タブから[書き出し]を選択し、[IFC]をクリックします。
すると、[IFC を書き出し]ダイアログに[ファイル名]が現れるので、[参照]をクリックし、IFCファイルのターゲットフォルダにナビゲートします。IFCファイルの名前を決めて保存し、ファイルの作成に使用する IFCセットアップを選択、そして[Export]をクリックすれば、書き出しは完了です。
RevitからIFCに変換できない時の対処法
上記の方法からRevitを使ってIFCファイルを書き出せない、あるいはエラーが発生してしまう場合もあります。この際、注意しなければならないのがファイルサイズです。
RevitはIFC形式への書き出しをサポートしているものの、1GBを超えるファイルについては従来の製品では変換ができません*3。ただ、2022年1月よりファイル制限は解除されているので、製品のアップデートを行うことで問題を解決できます。
何らかの事情により製品のアップデートができない場合は、別の対処法が必要です。一つは、ファイルサイズを小さくして書き出しを行うというものです。ビュー内のジオメトリの量をオリジナルより少なくし、ビューに表示されているモデル要素のみをIFCファイルに書き出すことで、容量の問題を解消できます。
あるいはモデルを複数のファイルに分割して、書き出しを行う方法もあります。プロジェクトをパーツごとに分割することで、別個のIFCファイルとして運用可能です。
状況に応じて、最適な変換方法を検討しましょう。
まとめ
この記事では、IFCファイルの特徴や課題、Revitを使った変換方法などについて解説しました。
IFCファイルの汎用性は高いものの、正しい変換ができなければ、かえって運用を困難にしてしまいます。トラブルシューティングのノウハウをあらかじめ取得しておき、円滑なIFCへの変換ができるよう備えておきましょう。
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参考:
*1 Autodesk「Revit および IFC について」
*2 Autodesk「モデルをIFCに書き出す」
*3 Autodesk「RevitからIFCに大きなモデルを書き出せません」