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ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い、ご存じですか?

「この会社はベンチャー企業?スタートアップ企業?」
「ベンチャー企業とスタートアップ企業の違いがわからない」

新しい会社を「ベンチャー企業」をいう事は多いのですが、最近では「スタートアップ企業」という言葉もよく使われます。
しかし明確な違いがわからず、区別ができないと悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ベンチャー企業とスタートアップ企業の特徴の違いや具体例、共通点を解説します。

ベンチャー企業とスタートアップ企業に明確な違いはない

ベンチャー企業とスタートアップ企業には、数字で分けられる明確な区別はありません。
「設立年数が○年以下だからスタートアップ企業」
「従業員が○人以下だからベンチャー企業」
という定義はないのです。

また両社には違う特徴がありますが、共通点もあります。次の章でまとめていきますので、ぜひ参考にしてください。

ベンチャー企業とスタートアップ企業の4つの違い

まずはベンチャー企業とスタートアップ企業を分ける4つの特徴をご紹介します。

イノベーション性

ベンチャー企業とスタートアップ企業との大きな違いとして、「今までにない革命的なビジネスか否か」があります。
スタートアップ企業にはこの“イノベーション性”が不可欠で、若く勢いがあってもイノベーションが欠けていればスタートアップとはいえません。

言葉の発祥地

日本では立ち上げて間もない企業を「ベンチャー」と言います。しかし実は「ベンチャー企業」は日本で生まれた言葉であり、アメリカでは意味が通じません。

スタートアップ企業という言葉はアメリカのシリコンバレーで生まれました。シリコンバレーといえばIT激戦地で、GoogleやAppleといった世界を代表するIT企業が生まれた土地でもあります。

設定しているゴール

スタートアップ企業は短期間での成長や急成長を狙った企業が多く、ベンチャー企業よりも短いゴールを設定しています。

またスタートアップ企業は「EXIT」を短い期間で設定しているのも特徴です。出口という意味のEXITはビジネスでは「投資回収」のことを指していて、投資を行った者(出資者)が出資先の企業から資金を回収することを指します。

ベンチャーキャピタルから出資を受けた会社は必ず利益(リターン)を返さなくてはいけません。この点はスタートアップ企業もベンチャー企業も同じですが、このEXITを短期間で定めているのがスタートアップの大きな特徴です。

中小企業との違い

ベンチャー企業やスタートアップ企業といえば、従業員が少なく規模の小さい会社を想像する人が少なくありません。そのため、「ベンチャー企業やスタートアップ企業=中小企業」と思っている方も多いですが、実は明確な違いがあります。

まず中小企業は資本金額や従業員数が明確に定義されおり、例えば製造企業なら資本金が3億円で常時勤務する従業員が300人以下であること、サービス業なら資本金が5千万円で常時勤務する従業員が100人以下と中小企業庁で定義されています。(1)

つまり中小企業であるか否かは上記のような資本金・従業員人数で定義されるもので、「事業の内容」では区別ができません。中小企業の定義を満たしていても、新しいビジネスにチャレンジしていればベンチャー企業やスタートアップ企業と認識されます。

確かにベンチャー企業やスタートアップ企業は社歴が浅い分従業員も少なく、規模は大きくありません。しかし上記のように中小企業と明確な違いがあることを知っておきましょう。

ベンチャー企業とスタートアップ企業の共通点

ベンチャー企業とスタートアップ企業には前述したような違いがありますが、共通点もあります。

資金調達を”ベンチャーキャピタル”から行う

ベンチャー企業もスタートアップ企業も、資金調達は「ベンチャーキャピタル」から行うのが一般的です。ベンチャーキャピタルとは投資会社のことで、未上場企業や急成長が期待できる企業に出資を行います。

ちなみに英語圏で「ベンチャー(Venture)」といえばこのベンチャーキャピタル(Venture Capital)を指しており、日本とは意味合いが全く違うものです。

企業の場合銀行の「融資」を行うこともありますが、社歴が浅く信用度の低い企業では融資を断られることも珍しくありません。しかしベンチャーキャピタルは企業のビジネスモデルなどを見て、将来性があるかどうかで出資を判断します。

「融資」と「出資」の最大の違いは、返済義務の有無です。銀行の融資は貸付であり返済義務がありますが、出資の場合は返済義務がありません。ベンチャー企業やスタートアップ企業は、ベンチャーキャピタルから「投資」してもらうことで資金を調達しているのです。

ベンチャーキャピタルはベンチャー企業やスタートアップ企業に投資をして、投資先の企業が上場もしくは成長して価値が出た時に株式や事業を売却します。売却で出た利益から投資金額を差し引いた「キャピタルゲイン」を利益としているため、ベンチャー企業やスタートアップ企業が成長してより利益を出せるように経営ノウハウの提供も行います。

新しいビジネスに挑戦している

前述の通りベンチャー企業は既存のビジネスをベースとして、スタートアップ企業は誰も行っていないゼロからのビジネスをベースとしている傾向があります。
しかしベンチャー企業も既存ビジネスを刷新したり作り変えたりといった工夫をしていて、両方とも新しい価値を提供しようとしている点は同じです。

組織体制が確立していない

ベンチャー企業もスタートアップ企業も、その多くは社歴が浅く新進気鋭の会社がほとんどです。そのため大企業のような縦割り組織の風潮は少なく、組織体制はしっかり確立していません。

社員から見れば組織体制が確立していないため、経理や営業、事務作業など会社で必要な業務を幅広く経験できます。就職・転職で大企業ではなくベンチャー企業やスタートアップ企業を選ぶ人は、「色んな業務を経験してみたい」と思っている人も少なくありません。

最近は大企業でも「縦割り」を打破しようと座席を変えたりジョブローテーションを行ったりと工夫しています。
しかし社歴の長い大企業では“古参社員”ともいわれるベテラン勢や変化を嫌う社員もいるため、やはりベンチャー企業やスタートアップ企業のほうが風通しがいい企業が多いものです。

個人による裁量が大きい

前述した「組織体制が確立していない」という背景から、ベンチャー企業やスタートアップ企業は個人による裁量が大きい傾向があります。
「やりがいが欲しい」「大きな仕事をやってみたい」という人は、大企業よりベンチャー企業やスタートアップ企業のほうが向いているかもしれません。

しかし、裁量が大きい仕事はそれだけ負担も大きくなります。そのため連日残業したり休日出勤したりといったこともあり、ワークライフバランスを重視する人にとって、負担は決して軽いものではありません。

【国内】ベンチャー企業とスタートアップ企業の具体例

最後に、国内のベンチャー企業とスタートアップ企業の代表例をご紹介します。

ベンチャー企業

・サイバーエージェント
ベンチャー企業として国内で有名なのは、メディア事業やインターネット広告事業を展開するサイバーエージェントです。最近ではAbema TVが有名なサイバーエージェントは、インターネットビジネスが普及する前の1998年に設立しています。

「21世紀を代表する会社を創る」をビジョンとしていて、既存の「インターネット」を成長産業の軸としてビジネスを展開している点が特徴です。最近では投資事業にも進出しており、有望なベンチャー企業に多くの出資をしています。(2)

・EXIDEA
自社開発のSEOマーケティングSaaSである「EmmaTools」の開発などを行うEXIDEAは、ベンチャー業界紙である「ベンチャー通信」において、ベストベンチャー100に選出された経歴を持っています。(3)

「世界の”生きる=活きる”を最大にするコンテンツプラットフォームを創る」というビジョンを掲げ、Webメディアや前述のEmmaToolsの開発などを行っています。

・じげん
「生活機会の最大化」を目指してライフメディアプラットフォーム事業を展開するじげんは、「転職EX」や「dジョブ」をはじめ求人や住まい、中古車売買や宿泊先予約といった生活領域のメディアを運営しているベンチャー企業です。

公式サイトでは「ベンチャー企業の唯一の優位性であるスピード」として“稲妻スピード”の思考を社内で共有するなど、ベンチャー企業として活躍する国内企業の1社となっています。

スタートアップ企業

・メルカリ
多くの人が不用品を売り買いしている「メルカリ」は、日本のスタートアップ企業としてよく知られています。メルカリが登場する前からインターネットを介しての中古品売買システムはありましたが、メルカリはこの売買システムを「スマートフォンだけで手軽にできる」という新しい付加価値を生み出したのです。

今ほどスマートフォンでのやり取りが活発ではなかった当初、メルカリは会員数を増やすために販売手数料を無料にするなどして拡散に努めました。

今では多くの企業がアプリを開発して、スマートフォンだけで中古品を売買できるようになっています。しかし先駆者となりスマートフォンだけで完結できる仕組みを作ったのは、メルカリというスタートアップ企業なのです。

・スープストックトーキョー
2020年9月時点で系列店を合わせて70店舗を出店しているスープストックトーキョーも、スタートアップ企業の一例です。(4)

2000年前に立ち上げたスープストックトーキョーは、「女性が一人でも入れる飲食店」の創造を掲げ、料理の中でサブ的な立ち位置である「スープ」をメインに持ってくるという新しいビジネスを開拓しました。

実はスープストックトーキョーを立ち上げた遠山正道氏は三菱商事に入社してケンタッキー・フライド・チキンに出向中にスープ専門店を考案し、社内で株式会社スマイルズを設立したことから始まっています。(2008年にオーナー社長になりました)(5)

・FOLIO
多額の資金が必要でハードルが高いと感じがちな「投資」を身近なものにしたのが、株式会社FOLIOの「テーマ投資」です。AIやVR以外にも花粉症対策など様々なテーマごとに、10万円前後で投資できるビジネスを構築しました。
さらには2018年1月にLINEと資本提携を行い、LINEアプリからもっと手軽に投資を行えるビジネスも展開したのです。(6)

まとめ

ベンチャー企業とスタートアップ企業について、2つのおおまかな区別と具体例についてご紹介しました。発祥地が異なるこの2つの言葉には明確な定義がなく、日本のビジネスにおいても混同しがちです。しかしご紹介したような特徴があるので、「この会社はベンチャー企業?スタートアップ企業?」と悩んだら一度チェックしてみてください。

(2021年2月5日加筆)

参照
※1 https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
※2 https://www.cyberagent.co.jp/corporate/vision/
※3 https://best100.v-tsushin.jp/company/exidea/
※4 https://www.soup-stock-tokyo.co.jp/company
※5 https://next.rikunabi.com/journal/20180903_p01/
※6 https://www.projectdesign.jp/201811/goto-big-venture/005595.php

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