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建設RXコンソーシアムとは 各社が発表している技術・内容をご紹介

建設業界において、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と並んで注目を集めているのが、RX(ロボティクス・トランスフォーメーション)です。大手ゼネコンが「建設RXコンソーシアム」という組織を設立し、業界全体でロボティクスによる変革に取り組んでいます。

建設RXコンソーシアムの会員や分科会は、既にロボットやIoTを活用した新技術を発表しています。なかにはレンタルで使用できる建設機械などもありますが、まだご存じでない方も多いかもしれません。

そこで今回は、建設RXコンソーシアムの概要や、発表している技術・機械などを紹介します。最新技術による生産性向上に興味のある方は、ぜひご覧になってみてください。

そもそもRXとは

RXとは、「Robotics Transformation(ロボティクス・トランスフォーメーション)」の略称です*1。DX(デジタル・トランスフォーメーション)が、デジタル技術による生活やビジネスの変革を指すように、RXはロボットによる変革を意味しています。

ロボットは様々な分野で注目を集めており、製造業におけるロボットを活用した自動生産技術、医療における手術支援ロボットなど、新しい技術が次々に登場しています。ロボットが料理を運ぶレストランも増えてきたので、日常生活でも身近に感じるようになった方も多いのではないでしょうか。

そんななか、「RX」という言葉をいち早く使い始めたのが、「建設RXコンソーシアム」です。労働者不足の懸念から生産性向上を急いでいる建設業界は、建設RXコンソーシアムを中心に業界全体でRXに取り組んでいます。次節からは、建設RXコンソーシアムの取り組みや成果を紹介したいと思います。

建設RXコンソーシアムとは

それではさっそく「建設RXコンソーシアム」の概要をみていきましょう。

建設RXコンソーシアムの概要

建設RXコンソーシアムは、施工ロボットやIoTアプリなどの開発・利用といったRXの推進に向けて設立された組織です*2。建設業界では、就労人口の減少や働き方の変化により、生産・安全性向上やコスト削減などが喫緊の課題になっています。建設RXコンソーシアムの目的は、これらの課題の解決に向け、業界全体でRXに取り組むことです。

大きなポイントは、「業界全体で取り組むこと」です。各社がそれぞれ開発を進めると水平展開が難しく、開発コストが無駄になり、非効率的になってしまうことが考えられます。そこで、建設業界を担うもしくは関係する法人が、中心となって施工ロボットやIoTアプリ等の開発・利用について協働することで、資本の集中および技術の集約を図るとしています*2。

ゼネコン大手5社を含む266社が参画

建設RXコンソーシアムは、2021年9月に鹿島建設・清水建設・竹中工務店を幹事会社として設立されました*3。当初の会員数は16社です。2022年に大林組、2023年に大成建設が加入したことで大手ゼネコン5社が揃いました。現在は、以下のような構成になっています*4。

  • 幹事会社
  • 鹿島建設
  • 竹中工務店
  • 清水建設
  • 大林組
  • 大成建設
  • 正会員:29社(幹事会社5社を含む)
  • 協力会員:237社
  • 計266社

正会員29社には、ほとんどの準大手・中堅ゼネコンが登録されています。

また、設備会社(関電工・新日本空調・大気社・ダイダンなど)、レンタル業者(アクティオなど)、ソフトウェア・システム開発企業(オートデスク・ソフトバンク・シャープ・アンドパッド)など、建設業に関係する法人が、様々な業界から協力会員として参画しています。

建設RXコンソーシアムの分科会

建設RXコンソーシアムには、目的に合わせてロボットやIoTアプリなどを開発するため、分科会を設置しています*5。設置されている分科会は、以下のとおりです。

・資材の自動搬送システム分科会

・タワークレーン遠隔操作分科会

・作業所廃棄物対応技術分科会

・コンクリート施工効率化分科会

・墨出しロボット分科会

・照度測定ロボット分科会

・生産BIM分科会

・相互利用可能な技術分科会

・市販ツール活用分科会 ドローンWG

・市販ツール活用分科会 バイタルセンサWG

・市販ツール活用分科会 アシストスーツWG

・風量測定ロボット分科会

・AIによる安全帯不使用検知システム分科会

・ICT技術による配筋検査の効率化分科会

建設RXコンソーシアムの会員が発表している技術

ここからは、建設RXコンソーシアムの会員が発表している技術を紹介します。大手ゼネコンによる共同開発など、建設RXコンソーシアムの本旨に則り、会社の垣根を越えて協働している様子がわかります。

防音カバー付き電動ハンドトロウェル

竹中工務店と鹿島建設は、建設RXコンソーシアムの分科会としてはじめての成果物であるコンクリート床の仕上げ機械「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」を開発しました(図1)*6。

防音カバー付き電動ハンドトロウェル・防音カバーを外した状態

図1 防音カバー付き電動ハンドトロウェル

引用)株式会社竹中工務店「CO2削減と生産性向上に寄与するコンクリート床の仕上げ機械「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」を開発」

https://www.takenaka.co.jp/news/2023/07/02/

この機械は、高出力のモーターを使用しながらバッテリー交換が容易であり、CO2削減と生産性向上に寄与します。また、防音カバーにより使用時の騒音を抑え、しばしば発生する夜間の床仕上げ作業にも対応可能です。建設RXコンソーシアムの会員企業であるアクティオからレンタルすることができます。

タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®(タワリモ)」

清水建設は、建設RXコンソーシアムのタワークレーン遠隔操作分科会の活動として、タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®(タワリモ)」を自社現場に展開することを発表しています(図2)*7。

実証試験ヤード
遠隔操作状況

図2 「TawaRemo®(タワリモ)」の実証試験ヤード(左)および遠隔操作状況(右)

引用)清水建設株式会社「タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®(タワリモ)」を自社現場に展開」

https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2024/2023059.html

TawaRemoは、鹿島建設・竹中工務店・アクティオ・カナモトが共同開発した技術です。タワークレーンのオペレーターが、クレーンに設置したカメラや計器の情報をもとに、遠隔地から操作できるようになります。

今後は、鹿島建設および竹中工務店で適用現場数を拡大しつつ、建設RXコンソーシアムの参画企業と連携し、実工事への普及・展開を加速するとのことです*8。

作業所廃棄物のAI(人工知能)分別処理

建設コンソーシアムの作業所廃棄物対応技術分科会の中心として活動している竹中工務店が構想しているのは、AIを活用した作業所廃棄物の自動分別処理です*9。約1200枚の産廃写真をもとに木材・廃プラスチック・混合可燃物などの分別項目をAIに機械学習させ、85%以上の正答率を得ているとのことです。このAIアプリケーションの導入により、従来の手作業による分別のほか、監視員の配置といった手間を省くことができます。

同分科会では、その他にも、容積を減らす新型圧縮機や、集積ヤードの状況を把握するセンサーの開発・導入が進められています。

自動墨出しロボットシステム「SumiROBO」

建設RXコンソーシアムの墨出しロボット分科会のメンバーである日立チャネルソリューションズは、「日経クロステックNEXT東京2023」にて、墨出しロボット「SumiROBO」の展示と実機デモを行っています(図3)*10。

写真:「SumiROBO」展示の様子

図3 墨出しロボット「SumiROBO」の展示・実機デモ

引用)日立チャネルソリューションズ株式会社「「日経クロステックNEXT 東京 2023」で、墨出しロボット「SumiROBO」を紹介」

https://www.hitachi-ch.co.jp/topics/2023/202310_sumirobo.html

墨出しロボットは、建設現場における多くの工事で必要な位置だし(墨出し)作業を自動で行う機械です。「SumiROBO」は、タブレット端末上の図面を介して墨出し作業の指示ができます。測量機と連携することで高精度の墨出しができ、さらに文字・マークなどの印字も可能です。

おわりに

建設RXコンソーシアムでは、会員による共同開発や技術の水平展開など、会社の垣根を越えてロボティクスの活用が実践されています。建設業界が抱える労働力不足などの喫緊の課題に対し、業界全体で取り組む意識が強く表れており、ロボットやIoTといった先進技術による明るい建設業界が期待できます。建設RXコンソーシアムの技術は、レンタルなどで使えることも多いので、積極的に導入してみてはいかがでしょうか。

(3258字)

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注釈

*1

出所)日経クロステック「事業を変容する「RX」、狙うはロボによるビジネスモデルの再構築」

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02065/00003/

*2

出所)建設RXコンソーシアム「トップページ」

https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/index.html

*3

出所)BuildApp News「建設RXコンソーシアムとは|ゼネコン大手5社連携」

https://news.build-app.jp/article/704/

*4

出所)建設RXコンソーシアム「役員・会員一覧」

https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/profile.html

*5

出所)建設RXコンソーシアム「分科会」

https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom.html

*6

出所)株式会社竹中工務店「CO2削減と生産性向上に寄与するコンクリート床の仕上げ機械「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」を開発」

https://www.takenaka.co.jp/news/2023/07/02/

*7

出所)清水建設株式会社「タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®(タワリモ)」を自社現場に展開」

https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2024/2023059.html

*8

出所)鹿島建設株式会社「タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®」を工事に本格導入」

https://www.kajima.co.jp/news/press/202112/14a1-j.htm

*9

出所)日刊工業新聞「マンパワー頼りの廃棄物処理作業、竹中工務店などが刷新に挑む」

https://newswitch.jp/p/41328

*10

出所)日立チャネルソリューションズ株式会社「「日経クロステックNEXT 東京 2023」で、墨出しロボット「SumiROBO」を紹介」

https://www.hitachi-ch.co.jp/topics/2023/202310_sumirobo.html

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