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近づくFacebookとdropbox〜その未来に迫る〜

実名制SNS大手Facebookは2020年2月3日、同社の取締役としてオンラインストレージサービスDropboxのCEOドリュー・ハウストン氏を迎えたと発表しました。*1
今回は、この人事を受けFacebookとDropboxの関係性にどのような変化が起こり得るのか、ユーザーの視点から見ていきたいと思います。

この記事では次のことがわかります
・FacebookとDropboxはどんなサービス?
・FacebookとDropboxの関係性はどう変化する?
・次の時代を狙うFacebookの戦略とは?

そもそもFacebookってどんなサービス?

Facebookは米国発祥のSNSサービスで、現在は同国内のほか、欧州やアジアなど多くの地域で多数のユーザーを抱えています。
最大の特徴は、実名制を採用していること。他のSNSサービスでは実名を伏せて(ニックネームを使って)発信出来るようになっていますが、Facebookはそんなライバル達と真逆の戦略を採っているのです。
これは、Facebookが元々大学生向けのコミュニケーションツールとして開発された事に由来しています。
名刺交換の代わりに互いのアカウントをフォローし合うような使い方もできるので、SNSだけでなく、ビジネスツールとしても便利なサービスです。

オンラインストレージDropboxとは?

DropboxもFacebookと同じ米国発祥のサービスで、個人向け・法人向けを問わず、多くのユーザーに利用されているオンラインストレージです。
PCの場合、アプリをインストールして同期用のフォルダを指定すれば、あとは全自動で同期してくれるので、新たに操作を覚える必要もありません。
似たような仕組みをもつライバルが増えた現在でも、老舗の貫禄をしっかりと見せているサービスといえるでしょう。
ちなみに、同社はサービスインしたばかりの2009年に、Appleの故スティーブ・ジョブズ氏から直接買収提案を受けた企業でもあります。*2
最終的にこの話はDropbox側が拒否したようですが、当時から業界内でも注目される存在であったことが、このエピソードからも窺えます。

Facebookの取締役にDropboxのCEOが就任

さて、いよいよ本題です。
記事冒頭でも触れたように、Facebookは2020年2月3日、同社の取締役としてDropboxのCEOドリュー・ハウストン氏が新たに加わることを発表しました。
取締役と聞くと「え、社長になるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、株式会社の取締役は複数名以上設置することが通常であるため、社長ではない取締役も存在します。
また、取締役はその会社の社員経験者である必要もないので、今回のように外部から招聘されるケースも珍しくありません。

FacebookがDropboxと手を組むのか?

今回の人事を見た方なら誰しも、SNSの巨頭であるFacebookがオンラインストレージの重鎮Dropboxと手を組むというシナリオを想像することでしょう。
では、その可能性はどの程度あるのか、個別に考えてみましょう。

鍵はメッセージングサービス

FacebookとDropboxが互いにWin-Winとなるよう、必要に応じて手を組む可能性はあります。
問題はその条件が揃う場面がどの程度存在するかです。
そもそもSNSとオンラインストレージでは、同じIT業界に所属している点を除けば、殆ど異業種と言って差し支えない間柄です。
その状態で互いにWin-Winの関係性を生み出す事は、想像以上に難しい事と言えるでしょう。
ただ、FacebookとDropboxに限れば、両社にはもう1つの共通点があります。
それがメッセージングサービス。
Facebookでは、FacebookMessenger・Instagram(DM機能)・WhatsApp Messengerという3つのメッセージングサービスを提供しています。
Dropboxも今でこそオンラインストレージ専業ですが、過去にはMailboxというアプリを提供し、メッセージングサービス事業を行っていました。
その頃に得たノウハウを活かせば、Facebook Messengerをさらに改善出来る可能性は否定出来ません。
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOも、2019年にプライベートなやり取りをこれまで以上に重視していく考えを示しており*3 、今後Dropboxがそれを推進する手助けとなることは十分あり得るでしょう。

FacebookがDropboxを買収する可能性は?

次にFacebookがDropboxを買収するケースですが、こちらはあまり高くないと思われます。
現状、両社の関係は良好に推移しており、買収までして支配下に置く必要性は感じません。
また、Dropboxを買収した場合、同社と競合するMicrosoft(One Drive)やGoogle(Google Drive)とも真っ向から戦うことになります。
両社の強みはFacebook以上に多用なサービスを提供し、かつその中にオンラインストレージと相性の良いものを複数抱えていること。
Microsoft OfficeやGoogle AppsといったOffice系アプリに加え、WindowsやAndroidといったPC/モバイル向けOSもあるので、それらと自社のオンラインストレージを組み合わせれば正に鬼に金棒状態です。
対するFacebookはOfficeアプリもOSもありませんから、状況をひっくり返せるだけの何かが用意できない限り、勝ち目はありません。
それはDropboxについても同じ事です。
もちろん、今後も未来永劫Dropboxの買収がないとは言い切れませんが、少なくとも今すぐ電撃的な買収が行われるとは考えづらいのが正直な所です。

Facebookは野心を捨てたのか?

今から7年程前、Facebookは独自のスマートフォンを開発しているという噂が、まことしやかに囁かれた事があります。
それは2013年春にFacebook Home(Android用のホームアプリ)としてリリースされ、HTCからはプリインストール機も発売されました。4
当時Facebookがどのような戦略をもっていたかは不明ですが、Facebook Homeが圧倒的な人気を得られれば、完全オリジナルのOSもしくはAndroidベースの自社OS(AmazonのFireOSのようなイメージ)を搭載した端末を発売していたことは十分あり得るでしょう。
そんな時代と見比べたとき、筆者は今のFacebookは少々大人しいというか、より堅実路線になった印象があります。
では、かつてのような野心を捨てたのかというと、それもまた違います。
ここ数年、FacebookはVR(仮想現実)向けのテクノロジー開発に力を注ぎ、買収したOculusブランドで様々な製品を投入してきました。
5
VR市場はまだまだ黎明期で、PCやスマートフォンのように明確な覇者は存在しないことから、今後の戦略次第でFacebookが覇権を握る事はそれほど難しくないのです。
また、VRはキーボード入力と相性が悪い(=パスワード入力等はできる限り減らした方が快適に使える)事を考慮すると、本業のSNSでユーザーの個人情報を既に確保しているFacebookは、そうではない他社より有利に戦いを進められる可能性があると言えるでしょう。

まとめ

今回はFacebookが取締役としてDropboxのCEOを迎えたというニュースを基に、同社の狙いや今後の戦略について予測してみました。
今回の人事により、DropboxはFacebookの取締役会で発言する機会を得たことになります。
それが両社の、ひいてはIT業界全体にどのような変化をもたらすのか、双方のサービスを使う1ユーザーとしてもとても楽しみです。

参考

*1
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2002/04/news055.html
*2
https://jp.techcrunch.com/2011/10/19/20111018dropbox-said-no-to-nine-digits-acquisition-offer-from-apple-steve-jobs/
*
https://japan.cnet.com/article/35081051/
*3
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/02/news019.html
*4
https://www.gizmodo.jp/2013/04/facebook_phonehtc_first.html
*5
https://wired.jp/2019/10/15/oculus-connect-if-and-when/

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