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新たな武器Livemapsから読み解くFacebookのAR戦略

2019年9月25日(現地時間)に行われた自社の発表会の中で、FacebookはAR関連の新たな動きについて公表しました。*1
発表された内容の中でも一際注目されたのが、ARグラスの開発意向とそれに関連した技術の紹介です。
今回はLivemapsと名付けられたその技術を中心に、FacebookのAR戦略について解説していきましょう。

■この記事では次のことが分かります
・ARグラスが抱える問題点
・Livemapsを支える技術〜マシンパーセプションとは?
・FacebookのAR戦略の課題

IT企業はなぜARに注目するのか?

Facebookに限らず、Apple・Google・MicrosoftといったIT業界大手が今こぞって開発を進めているのがARに関する技術です。
VRと違い、現実の景色に新たな情報を付加していくのがARの特徴といえますが、なぜこうした技術が注目されているのでしょうか?

ハードウェア側の技術革新

初代iPhoneの登場から10年が経ち、携帯型コンピューターの性能は飛躍的に向上しました。
かつてはメールやネットサーフィンが主な使い道だったデバイスが、今では高画質な4K動画を撮影し、そのままPC顔負けの高速処理で面白おかしく編集してYouTubeへアップするなんてことも可能となっているのです。
同様に、モバイル通信も3Gから4G、そしていよいよ5Gの時代へと入りつつあります。
このようなハードウェア側の性能向上により、小型化が必須のARデバイスを作りやすくなった事が、まず1つの背景です。

広告枠や自社製品の販売で莫大な利益を得られる可能性

AR技術は、広告や販売の世界を大きく変える可能性ももっています。
例えば、映り込んだ景色に広告をさりげなく挿入したり、お店でA社の製品を見ている時、隣にB社製品の広告を出すといった対応も可能です。
もし、iPhoneを買いたいと思ってお店に行った人が、ARグラスに表示されたより安いAndroidスマホの広告を見てしまったら、その場で考えを変えてしまう事もあるかもしれません。
また、自社のARシステムの利用者が増えれば、景色に映し出す広告枠を売り出すことで、莫大な利益を得られる可能性もあるでしょう。
これもまた、IT大手がARに注力する理由の1つです。

ARグラスという難しいハードウェア

永遠の課題「重量」

ARは現実の景色に情報を付加するものです。そう考えると、表示用デバイスは目に近い位置に自然に装着できることが望ましいと言えます。
当然それは開発側もわかっていて、既にGoogleやMicrosoftでは眼鏡やHMD型のARデバイスを開発済みです。*2 *3
Facebookも当然この流れに乗るようで、今回の発表では数年以内にARグラス(眼鏡)を実現するという目標を掲げました。
しかし、眼鏡型のデバイスには、構造上避けて通れない共通した弱点があります。
それが、重量です。
普通の眼鏡でも重たいフレームは嫌がるユーザーが多いですが、それにコンピューターを載せたARグラスなら尚更です。
よって、眼鏡型のデバイスでは、いかにコンピューター部分の重量を軽くするかという点が最重要課題となります。

高性能化は重量増を招く?

ARグラスはカメラや各種センサーからの情報を集め、そこから最適な表示を最適な位置へ表示しなければなりません。
よって、基本的にはある程度の性能をもったCPUを搭載する必要が出てきます。
しかし、高性能なCPUはその分消費電力も多くなる傾向にあるのが一般的なので、性能の良いCPUを積むとその分大容量のバッテリーを搭載することになり、本体の重量増に繋がってしまうのです。

CPU性能の不足をソフトウェアで補うLivemaps

通常、ARグラスで景色の中に情報を表示する場合、カメラやセンサーで周囲の状況を把握し、最適な内容と表示場所をARグラス側で判断しなければなりません。
しかし、それには高性能なCPUが必要ですし、毎回そんなことを繰り返していては電池がいくらあっても足りません。
では、予めその場所に関する情報をARグラスが持っていたら、どうでしょうか?
毎回1から状況を把握するより、確実に処理が少なく、楽になりますよね?
そんな発想を実現するための技術が、今回発表された「Livemaps」です。

Livemapsは世界中を網羅した3Dマップ

Livemapsは、いわば世界中を網羅した3Dマップです。
ユーザーが撮影した画像などを利用して3Dの地図を作り、それをARデバイスで活用しようというのがこの計画の肝です。
要は、今居る場所のマップデータをARグラスへ随時送り込み、そのデータをベースに表示内容や位置を検討出来るようにすることで、ARグラス側の処理を減らそうという訳です。
もちろん、マップデータは必ず正しいとは限らないので、ARグラス側では随時データと実際の景色との差異をチェックし、必要ならその場でマップデータを修正する仕組みになっています。
それでも、何もない状態で1から全部ARグラスで対応する場合と比較して、求められるCPUの性能や必要な消費電力は少なくなることが期待出来るのです。

Livemapsを支えるマシンパーセプションとは?

さて、このLivemapの3Dデータは、ARグラスやスマートフォンから集めたデータを元に構築・修正されています。
そうした現場で利用されている技術が、マシンパーセプション(機械認識)です。*4
マシンパーセプションをものすごく簡単に言ってしまえば、コンピューターがキーボードやマウスだけでなく、カメラや各種センサーの情報を通じ、人間の五感と同じように周囲の状況を検知・解釈する技術ということです。
FacebookのLivemapsでは、このマシンパーセプションを活用して、ユーザーのスマートフォンやARグラス等の各種センサーを文字通り目や耳としてマップ作成に利用しているという訳です。

Livemapsは完璧ではない〜気になる課題は?

このように大変興味深いプロジェクトであるLivemapsですが、新たな仕組みだけに、当然課題も抱えています。

Livemapsのデータ構築が間に合うのか?

FacebookはARグラスの投入タイミングについて、数年以内に実現したいと述べています。
しかし、このARグラスがLivemapsの利用を前提に設計されることを考えると、この”数年後”にLivemapsもまたそれなりのクオリティに達していなければならないのです。
そうでなければ、かつての「パチンコガンダム駅事件」*5 のような事になってしまい、Facebookの今後にも悪影響を与えかねません。
あのAppleでも、地図データを改善し信頼を回復するまでには年単位の時間を要しています。
果たしてたった数年で、当時のApple以上に高精度の3Dマップデータを用意出来るのか、Facebookの腕の見せ所と言えるでしょう。

OSをもつライバルに勝てるのか?

ARグラスの分野ではGoogleとMicrosoftが先行していますが、この2社にあってFacebookにないものが1つあります。
それは、OSです。
GoogleはAndroidやChromeOSを、MicrosoftはWindowsをもっていますから、例えばスマホやPCのアプリがARグラスでも動くようにするとか、或いはOSレベルで自社のARグラスに最適化するという方法で既存のエコシステムを有効活用することが可能です。
一方、FacebookはOSをもっていませんから、こうした方法を採ることはできません。
極端な話、GoogleやMicrosoftが自社OSからFacebookのARグラスを排除する方向へ動けば、その時点でおしまいなのです(実際にはそこまでやらないでしょうが)。
こうした状況を考慮すると、FacebookのARはなかなか茨の道と言えるでしょう。

まとめ

今回は「新たな武器Livemapsから読み解くFacebookのAR戦略」と題して、同社のARグラスやLivemapsの技術とその課題についてご紹介しました。
ARはまだまだ発展途上ですが、Facebookに限らず、今後数年程度で実用的な価格と性能を兼ね備えた製品が出てくるものと思われます。
その時、私達の生活がどう変わるのか?
あるいは変わらないのか。
今後の動きに注目してみていきたいと思います。

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参考

*1 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1909/26/news063.html
*2 https://www.moguravr.com/google-glass-new-model/
*3 https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens
*4 https://gigazine.net/news/20190926-facebook-livemaps-oculus-augumented-reality-glasses/
*5 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/577659.html

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