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ニコンが手がける施工BIM推進デバイス「Trimble XR10(トリンブル)」とは

設計段階におけるBIMデータの運用は、少しずつですが日本においても普及が進んでいます。

そして、今多くの建設会社が注目しているのは、現場におけるBIMの運用方法です。

この度ニコンが発表した「Trimble XR10(トリンブル)」は、保護ヘルメット兼MRデバイスとして、現場関係者から大きな注目を集めています。

今回はそんなニコンのトリンブルの活用方法や、それに付随する技術、そしてトリンブルがどのようなメリットを生むのかについて、ご紹介していきます。

目次:
①ニコンが開発したMRヘッドセット
②クラウドと連携し、現場でのコミュニケーションを円滑化
③現場作業員不足を改善するデバイスになり得る可能性も

Trimble XR10の概要

Trimble XR10は、ニコンが2020年5月に販売を監視した、次世代の施工BIM推進ヘルメットです。

「HoloLens 2」を採用したMR技術

ヘルメット一体型となり、頭を覆うようにして装着するトリンブルですが、そのポテンシャルは非常に高いものとなっています。

トリンブル公式紹介ページ:https://www.nikon-trimble.co.jp/products/product_detail.html?tid=366

前面に備え付けられたゴーグル部分は、Microsoft(マイクロソフト)が開発したMRデバイス「HoloLens 2」となっており、BIMデータを3Dで表示させることができます。

MR(Mixed Reality、複合現実)とは、ARとVRを組み合わせたような視覚技術です。

ゴーグルを通して描かれる世界では、実際の現実空間をベースとしつつ、そこにあたかも実在するかのように仮想のホログラムを投影することができます。

トリンブルではこのMRの技術を応用し、現実の施工現場にBIMモデルの投影を可能にしてくれます。

MRを用いたトリンブルの特徴的な機能として、ヘッドトラッキング機能、およびハンドトラッキング機能が挙げられます。

ヘッドトラッキング機能は、いわゆる頭の向きを感知する能力です。

装着者が向いている方角を正確に把握し、どれだけ頭を動かしても、常に正しいMR出力を期待することができます。

ハンドトラッキング機能は、その名の通り手の動きを正確に検知する機能です。

トリンブルは、コントローラーを使わずに手で様々な設定を行うことができます。

MRゴーグルで表示されるホログラムのアイコンに指を合わせ、空中でタップ操作を行うことで、3Dデータの詳細を閲覧し、共有作業を行うといったことが可能です。

トリンブルはゴーグル型のデバイスですが、私用のメガネをかけながらの装着も可能となっています。

少しでも多くの人にとって運用しやすい設計となっていながら、高性能を実現しているのがこのゴーグルの魅力と言えるでしょう。

安全面にも配慮した設計

トリンブルのヘルメット部分は、厚生労働省の基準を満たした保護ヘルメットとなっており、現場において安全なMRゴーグルの運用が可能です*1。

作業員同士の意思疎通にも優れた機能を発揮し、骨伝導を使ったヘッドセットにより、無線連絡も容易に行えます。

イヤホンなどを使った通信ではないため、現場で周囲の音が聞こえなくなるリスクも回避することができます。

クラウドサービスの「Trimble Connect for AR/VR」とは

また、トリンブルに特化した専用のクラウドサービスのリリースも予定されています。*2

「Trimble Connect for AR/VR」と名付けられたこちらのサービスは、トリンブルのポテンシャルをさらに引き出してくれるものとなりそうです。

大規模容量のストレージをクラウド上に確保

BIMデータの運用となると、非常に大きなストレージを確保する必要があります。

そのデータ量はテキストデータの比ではなく、専用のストレージを設けなければ管理運用はままなりません。

Trimble Connect for AR/VRは、まず大規模容量を確保できるオフィス用クラウドストレージを備えています。*3

大量のデータのやり取りを一度に行っても容量が不足する心配はなく、安心して運用ができます。

効率的な3Dデータの運用を可能に

また、クラウドにアップロードした設計データは、クラウド上で自動的に3Dモデル化を行うことも可能です*4。

3Dデータをトリンブル上に呼び出し、実際の施工箇所と照らし合わせながら、作業を進めていくことができるようになります。

また、クラウドもトリンブルも、様々な3D設計データ形式に対応しているため、現場でデータが出力できないというトラブルに見舞われる心配もありません*5。

工程によってはいくつかのソフトウェアを用いてCADデータが作成されることもありますが、親和性の問題はありません。

そのため、トリンブル導入のために開発環境を一から整え直す心配がないのも、このデバイスの魅力の一つと言えます。

ニコンのトリンブルが可能にしてくれるBIM運用

トリンブルが現場にもたらしてくれるメリットは、新しいBIM運用のあり方を届けてくれる可能性に溢れています。

多様な現場へのMR導入で情報共有が容易に

トリンブルはHoloLens 2を採用しているため、投影される映像は複数人で共有することも可能です*6。

そのため、トリンブルを複数台導入すれば、瞬時の情報共有もできるようになります。

まるで実際にその場に部材がある前提で話を進めていくことができるため、図面からではイメージしづらい現場でも、容易にコミュニケーションが取れます。

また、トリンブルはヘッドセット以外の外部装置を必要としないため、あらゆる現場において活用することができます。

大型の装置を搬入できない現場のような狭い空間での活躍も期待でき、活躍の幅は非常に広いと言えるでしょう。

トリンブルの運用は、現場の作業員と設計者、施工管理者など、そのプロジェクトに関わる全ての人間が同じデータにあたることが前提となります。

そのため、クラウドを通じた情報の瞬時の共有と、ミスのない直接共有が容易に行えるため、迅速かつ正確なコミュニケーションも実現します。

現場作業員の積極的なBIM活用

現場の作業員が積極的にBIMを活用できるようになるのも、トリンブルの特徴です。

これまで、BIMの運用にはBIM専門のエンジニアやデザイナーなど、各部門に応じた専門知識を有する人員が必要となっていました。

建設現場へのBIMの導入は魅力的な案ではあっても、その導入には人員の配置・育成にコストが生じていたため、見送りとなるケースもあったのです。

しかしトリンブルの登場により、BIMの専門知識を持たない作業員でも、容易にBIMデータを活用することができるようになります。

例えば図面の3Dデータ化などは、本来モデリング専門の人員が不可欠でしたが、トリンブルはクラウド上で自動的に変換が行われます。

現在、建設業界では深刻な人員不足が問題となっていますが、BIMの運用はその解決策の一つでありながら、BIMの人員がそもそも不足している問題もあります。

トリンブルはそんな建設業界の悪循環を断ち切る上でも、大きな可能性を秘めたヘッドセットであると言えるでしょう。

おわりに

MRとBIM、そしてクラウドを融合させたトリンブルは、誰でもすぐにBIM運用を行えるようになることから、建設業界から大きな注目を集めているデバイスです。

今後の建設現場においては、トリンブルのような次世代のヘッドセットを装着した現場作業員を目撃する機会も、増えていくことになるでしょう。

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出典:
*1 Nikon Trimble「施工BIMを推進するMixed Reality デバイス「Trimble XR10 」」
https://www.nikon-trimble.co.jp/products/product_detail.html?tid=366

*2 ニコン「Trimble XR10 データシート」p.2
https://www.nikon-trimble.co.jp/pdf/field/0201_construction/trimble_xr10.pdf

*3 上に同じ

*4 同上 p.1

*5 同上 p.2

*6 *1に同じ

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