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CADにおける公差の表現方法について

この記事を読むと以下の3つのことがわかります。

①公差とは ②公差の種類 ③CADにおける公差の表現方法

公差という言葉をご存知でしょうか。機械工学や建築工学では普通に使われる言葉ですが、日常会話ではあまり聞かれない言葉だと思います。
この記事では公差の概要やその種類、CADにおける公差の表現方法について説明します。

公差とは

公差とは、許容される範囲のことを指します(英語では「tolerance」)。
もう少し詳しく説明すると、基準値と許容される範囲の最大値および最小値の差を「許容差」、最大値と最小値の差を「公差」といいます。
許容差は基準値からの方向が含まれているので、公差よりも許容される範囲が具体的に表現されています。
例えば、基準寸法が20mm、公差±0.5、許容差+0.2/-0.3と書かれている場合、公差だけを見ると19.5m~20.5mmが範囲になりますが、許容差を考慮すると、上方向は+0.2まで、つまり20.2mmまでが上方向の範囲になります。また下方向は-0.3まで、つまり19.7mmまでが許容される範囲です。これらを考慮すると、19.7mm~20.2mmが許容される範囲になります。

建築や機械の分野では様々な部材や部品を組み合わせて作ることがほとんどです。
このとき同じ大きさや機能を持った部品を生産する技術も大切ですが、すべて同じ大きさで生産するには高度な技術が必要です。
特に大量生産が主流の現代では、部品に対してある程度の「ぶれ」を許容することが重要になります。
この許容できる「ぶれ」が「許容差」および「公差」です。

以下のような値の範囲には公差または許容差があります。

・寸法や面積、体積
・原料、製造物、システム、サービスなどの測定値や特性
・その他の測定値(温度、湿度など)
・距離や空間(例えばトンネルの中を走る列車とトンネルとの距離など)

公差の種類

公差には大きく分けて「寸法公差」と「幾何公差」があります。

寸法公差

「寸法公差」は日本産業規格(JIS0405)に定義されている基準寸法の区分での公差を等級で表す形式になります。※1
※2019年7月1日の法改正により日本工業規格は日本産業規格に名称が変わりました。※2
以下、JIS-B0405に記載されているものを表にまとめてみました。

1.長さ寸法に対する許容差(面取り部分を除く)

※0.5未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する

2.面取り部分の長さ寸法に対する許容差

3.角度寸法

「寸法公差」で図面を設計すれば、部材ごとに公差を定義する必要がないため、設計者、製造者の両者にとって品質管理業務や受発注業務の簡略化を図ることが出来ます。

幾何公差

幾何公差とは物体(部品)の形状や平行さ、傾き、位置、振れなどを規制したものです。

例えば、製品の部品に使う、厚さ2mm、縦横が100mm×150mmの平らな板を10万枚発注したとしましょう。
出来上がった10万枚の板がすべて完璧に平行であることは、大量生産においてはかなり難しい技術です。
正確な部品を制作するには、歩留まり率(良品の割合)を高くする必要があるため、原料から生産工程、チェック工程までの工数が多くなります。
これはそのまま完成部品の価格に反映してくるので、発注元もある程度の公差を考慮する必要があります。
この製品のために発注した板は±0.1mmの並行誤差は大丈夫ですよとするのが「幾何公差」になります。

他にも、ネジの大きさや部品を通す穴の位置など、様々な加工部品を発注・受注する場合は「公差」や「許容差」について、発注者と受注者が正しく認識し合う必要があります。

以下は日本産業規格(JIS-B0021※3)に定義されている幾何公差の記号を抜粋したものです。

CADにおける公差の表現方法

CADにおける寸法公差の表現方法

寸法公差では、寸法公差を採用している旨とその等級を記載すればOKです。
具体的には表題欄またはその付近に書きます。
例えば、寸法公差等級の中級(m)を採用している場合は「JIS B 0405-m」と記載します。

なお、図面中の一部に寸法公差ではなく幾何公差で指示したい場合は、この公差を個々に指示しても問題ありません。

CADにおける幾何公差の表現方法

幾何公差の場合は、それぞれの部材や場所(面など)に対して記号や数値で指示していきます。
前述したJIS-B0021の記号を用い、以下のように記載します。

・真直度の公差を0.1と指示する場合

・公差付きの形体は、公差記入枠の左または右から引き出した指示線によって公差付き形体に結び付けて示します。

Jw_cadで公差を書く方法

Jw_cadでは、まず「寸法」コマンドで寸法を書きます。次に「その他」―「線記号変形」から「線記号変形D設備2」の中にある「公差例1」など数種類ある公差を選びます。
最後に寸法線をクリックすると公差の数値を入力することが出来ます。

AutoCADで公差を書く方法

AutoCADでは寸法を書く前に「寸法スタイル」にある「許容差」で公差を設定しておきます。「許容差」タブにある各種設定項目で、公差の計算方法や記入形式、変換単位の精度などを設定することが可能です。

まとめ

品質の良い製品を早く大量に生産するためには、各部品の精度が高いことはもちろんですが、その部品の公差を正しく決めることも大変重要です。
設計段階から公差のことを考慮しながら、より良い製品を製造していきたいものです。

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参考URL
(※1)
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=B0405
(※2)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/jisho/jis.html
(※3)
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=B0021


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