設計効率化にトライ!AutoCAD Mechanicalツールセットとは
建築や機械の設計時に多くの企業で使われている定番のCADソフト「AutoCAD」。その使いやすさと汎用性の高さから、国内でも人気のソフトウェアとなっています。
そのAutoCADには、設計作業を効率化できるツールセットが販売されています。今回の記事では特に、機械設計分野のツールセットの機能をまとめて紹介します。
この記事でわかることは以下の3つです。
・AutoCADとは?
・AutoCAD Mechanicalとは?
・AutoCAD Mechanicalツールセットの機能
AutoCADとは
AutoCAD(オートキャド)は、機械設計・建築設計の際には定番の2D/3D設計ソフトです。オートデスク社の開発したソフトウェアで、建築・土木設計、家電や車の製品設計など汎用的に使われています。このAutoCADを使って、2次元または3次元モデルの図面を作成することができます。
作図ツールや編集コマンドが豊富に用意され、さらに設計時の作図作業が効率的にできるよう様々な機能が備えられています。
設計エンジニアのみならず、施工担当者やデザイナーにも使える設計ソフトとして人気を集めています。
AutoCADはサブスクリプション形式で利用することができ、ダウンロードして使用できるソフトウェアに加えてモバイルアプリ、Webにアクセスして使うWebアプリも利用可能となっています。クラウドストレージサービスとの連携もでき、オフィス内で使うのに加えて、出張先や現場に行った先のその場での使用も可能です。
AutoCAD 2020の機能
AutoCADは2019年3月にリリースされたAuto CAD2020が現在(2019年12月時点)の最新版となっています。AutoCAD2020には、以下のような機能が含まれています。
・AutoCAD モバイルアプリ、Webアプリとの作業連携
作業途中のファイルをクラウド上に保存し、モバイルからでもWebアプリからでも続きの作業を行うことができます。
また、連携させるクラウドストレージは、オートデスクのクラウドだけでなく他社のクラウドでも接続することが可能です。
・7種類のツールセットを利用可能
AutoCADには、業種別に使えるツールセットが同梱されています。
-Mechanical(機械設計)
-Architecture(建築設計)
-Electrical (電気制御設計)
-Map 3D(地図情報)
-MEP(機械、電気、配管)
-Plant 3D(3D プラント設計)
-Raster design(ラスター画像処理)
これらのツールセットでは、その業種特有のワークフローが用意されており、設計作業をよりスムーズに行うことができるようになっています。
では特にMechaninal(機械設計)のツールセットでどんなことができるのか、次の章以降で紹介していきます。
AutoCAD Mechanicalとは
AutoCAD Mechanical(オートキャド メカニカル)は、AutoCADに機械設計を効率化するための機能を追加する、汎用の機械設計専用のツールです。
AutoCAD Mechanicalでは、豊富な作図ツールに編集コマンド、わかりやすく画層を識別することのできる画層管理機能、荷重計算の効率化、70万点以上の利用可能な標準パーツ、部品表が設計仕様に沿って自動更新されるなどの機能があります。これらを使うことにより、設計効率を従来のAutoCADのみでの作業時間から、55%効率化できたという調査結果があります。(「生産性調査のハイライト:AutoCAD® Mechanical ツールセット」より)
AutoCAD Mechanicalツールセットの機能
具体的にどのような機能が含まれるかを紹介します。
画層管理機能
画層の作成、削除、変更や画層説明の追加などが行えます。
作業時に画層を毎回細かく設定しなくても、あらかじめ指定された画層に指定のプロパティでオブジェクトを自動配置することができます。
隠線
オブジェクト同士が重なる場合に、自動的に隠線を作成するコマンドが用意されています。また、後ろになっているオブジェクトが複数ある場合もレベルを設定でき、複雑な隠線処理でも対応できるようになっています。
標準部品とフィーチャの利用
ねじ、ボルトなど、JISやISO規格にのっとった標準部品が70万点以上搭載されていて、すぐに使うことができます。また、 10 万種類ものフィーチャや 8,000 種類の穴も用意されています。(*1)
こうした標準部品はAutoCADのコンテンツライブラリに種類ごとに管理されており、いちいち部品の作図を行うことなくそのまま配置することができます。
機械ジェネレータとカリキュレータ
シャフト、カム、ばね、ベルト、チェーンなどの設計ができます。
こうしたパーツに対し、設計条件の数値を入力するだけで形状や大きさを自動算出してくれます。数値を変更すれば、それに沿って図も自動更新されます。
3D CADモデルのドキュメント作成
AutoCAD Mechanicalは2D CADの機能のみで3Dモデルの作成はできません。しかし、他の3D CAD製品で使えるアセンブリモデル、また同じオートデスク社の3D機械設計ソフトのInventorと連携できるモデル詳細図を作成することができます。
機械図面詳細化ツール
AutCAD本体には組み込まれていない、中心線、部分断面/切断線、ねじ、穴、下書き線などの機械設計向けに特化した図面作成ツールを使うことができます。
カスタムコンテンツ
コンテンツライブラリに、自分で作成したパーツの図面を登録して、ライブラリとして使うことができます。また、標準部品に対して行う処理も、同様にカスタムコンテンツライブラリに登録しておくことが可能です。
何度も使用するパーツや処理を登録しておけば、単純作業を減らすことができ設計作業を簡略化することが可能となります。
コマンドプレビュー
編集コマンドを使用する際、そのコマンドの実行結果のプレビューを表示することができます。編集コマンドは、部分削除、面取り、延長、フィレット、長さ変更、オフセットなどのコマンドに対してプレビューが利用でき、意図した変更がどのようになされるかがコマンド実行前にわかります。
スマート寸法
自動寸法記入・調整機能が搭載されています。ダイアログボックスを使用した寸法作成をすることができます。オブジェクトを変更すると、自動的にそれに沿って寸法調整が行われます
国際製図規格のサポート
国内規格だけでなく、ISOやANSIなどの国際規格に対応しているため、海外向けの製品の作図も効率的に行うことができます。
関連バルーンと部品表
関連パーツのバルーンと部品表の自動作成ができます。設計が変更された場合はその変更に沿って自動で更新が反映されます。
AutoCAD Mechanicalを使うには
このように様々な機能で設計作業を高速化してくれるAutoCAD Mechanicalを使いたい場合は、AutoCADのサブスクリプション契約を行う必要があります。
契約は、契約代理店を通して行うほかオートデスクのホームページから申し込むことができます。スタンドアロン版のシングルユーザーライセンスの希望小売価格は、以下の通りとなります。(*2)
・月額 26,400円
・1年契約 209,000円(月額17,417円)
・3年契約 564,300円(月額15,675円)
このライセンス契約でAutoCADが使えるようになり、付随してAutoCAD Mechanicalが使えるようになります。
AutoCAD Mechanicalは日本語版があるので、英語に不慣れでも問題なく使用できます。また、手厚いサポートもついています。トラブル時にはメールやチャット、電話でのサポートを受けることができます。
ただ注意しなければならないのは、AutoCAD自体はWindowsでもMac OSでも使うことができますが、AutoCAD MechanicalはWindows版のみとなっている点です。Mac OSでAutoCAD Mechanicalを使いたいときには、ParallelsやBoot CampといったWindowsの仮想環境を動かすことのできるツールを使用する必要があります。
(1) 参照元記事:
https://damassets.autodesk.net/content/dam/autodesk/www/products/autodesk-autocad/docs/pdf/autocad-mechanical-toolset-productivity-study-highlights-a4-ja.pdf
(2) 参照元記事:
https://www.autodesk.co.jp/products/autocad/subscribe?plc=ACDIST&term=1-YEAR&support=ADVANCED&quantity=1
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