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アップルがAI分野に46兆円の投資計画を発表。国家予算規模に驚き!

 新型コロナの流行の中でも好調を維持しているアップルですが、なんと46兆円という巨額の投資計画を発表しました。ロシアの国家予算なみの金額ですので驚きです!!
 今回の記事では、アップルの発表した投資計画の中身を確認しながら、アップルが今後めざす方向性や、アップル以外の巨大IT企業の動向など、関連する話題を見ていきましょう。

この記事でわかること
 ◯アップルの発表した巨額投資計画について
 ◯アップルとテスラの時価総額が過去最高を突破した件
 ◯反トラスト法に対抗する目的

アップルの発表した巨額投資計画

 2021年4月末にアップルが発表した投資計画によると、今後5年間をかけて「人工知能、機械学習分野」を中心としてに4,300億ドルもの巨額投資をするということです。日本円だと46兆円ぐらいです。「ちょっと、何言ってのかわかんない」ってレベルの金額です。

46兆円を実感するために、いろいろ調べてみた

 手始めに各国の国家予算と比べてみましょう。
 2020年、2021年はコロナ対策のせいで通常の予算とはかなり違っていますので、少し前にCAIがまとめた資料(2017年)の数値を比較対象としてみましょう。

国名歳入歳出
1アメリカ合衆国3.315trillion3.981trillion
2中国2.5533.008
3日本1.7141.885
4ドイツ1.6651.619
5フランス1.3921.459
6イギリス1.0281.079
7イタリア903.3billion948.1billion
8ブラジル733.7756.3
9カナダ649.6665.7
10スペイン498.1539
11オーストラリア490496.9
12オランダ361.4352.4
13韓国357.1335.8
14インド238.2329
15ロシア258.6281.4

 この資料によると「46兆円」と言う金額は、世界第12位のオランダより上、11位のオーストラリアと同程度の予算規模ということになります。
 日本の約20倍の面積を持ち、2,500万人以上の人口を抱えるオーストラリアと同規模の予算をこれから5年の間に一企業であるアップルが支出する訳です。やはり、ちょっと何言ってのかわかんない?ってレベルの話です。*注1

 2017年は、日本の国家予算規模が世界第3位となっています。日本の国家予算は100兆円のオーダーですから、さすがにアップルの今回の投資と比べても桁が異なります。
 しかし、2020年の日本の社会保障費の支出を調べてみたら、35兆8608億円とぴったりアップルの投資額と同規模でした。
 一企業の投資額が日本の社会保障費と同程度であるという、規模の大きさに驚きを隠せません。*注2

 100万円の新券の束、いわゆる帯封の厚みが約1cmと言われています。これを1兆円分積み上げると、およそ10kmになります。お札の長い辺をつなぎ合わせるのでなく、そのまま積み上げるだけでこの高さ。
 46兆円分だと富士山とかエベレストのレベルではなく、もはや成層圏を突破しかねない高さになってしまいます。

 気になって調べてみたところ、日本国内で流通している1万円札は大体100億枚ぐらいあるようです。金額にすると約100兆円。
 もしアップルが、46兆円の投資を日本円で現金の一括払いしてもなんとか間に合いそうです。まあ、そんなことがあるわけないですが。*注3

巨額投資計画の目的はなにか?

 元々アップルは、2018年に3,500億ドルの投資計画を発表していましたが、これを上方に修正するというのが今回の発表です。
 アップルの業績は順調に推移し、自社で開発したM1チップも比較的好評ということもあり、より積極的な投資を進めるということではないでしょうか。

 コロナの影響もあり、飲食や観光などの「実世界」で、人が体験できるサービス分野が大打撃を受けました。その代わり、オンライン上で完結するタイプのサービスが急速に伸びています。
 ネットショップやオンデマンドサービスなどのホビーユースだけでなく、オンラインミーティングやバーチャルオフィスなど、ビジネス分野でも注目されるサービスが普及しています。

 このような流れは、今後あらゆる産業や人々の生活に対して影響を残し、IT技術を活用した各種サービスがもっと身近になる可能性を秘めています。アップルは近い未来を見据えて、AI分野・機械学習分野・5Gを活用した新サービスの展開など最先端技術へ積極的な投資をすることで、新たに開拓されるマーケットにおいて、支配的なポジションを取りたいというところでしょう。

 アップルのメイン事業は、iPhone・iPad・AirPodsにApple Watchという高いブランド力を持つプロダクトの製造・販売です。それに関連したサービスとして、App Storeでの手数料収入などがあります。これらのサービス部門は、世界に数億台ものユーザーがいるiPhoneというプラットフォームがあってこそ成り立っています。

 当然ながら、市場における優位性を維持するため、このようなプロダクトの研究・開発には力を入れて取り組むはずです。iPhoneで実績のあるAシリーズのチップをベースにしたM1チップを自社開発しMacへ投入するなど、市場で劣勢であるPC部門でも独自の進化を続けています。
 PCでは1%シェアを取るだけでもかなりのボリュームがありますので、Windows PCとのシェア競争までのレベルにならなくても、十分に拡大余地のある分野と言えます。

 またアップルのこれまでの歴史において、洗練されたデザインと先進的な設計で新たなプロダクトを創造し、それまで存在していなかったマーケットを生み出してきたという事実があります。
 今後のアップルのターゲットとして有力視されているのが、いわゆる「アップルカー」であり、AIや機械学習など先進分野への投資は、このアップルカーを想定したものも含まれるのでしょう。

アップルとテスラの時価総額が過去最高を突破

 民間で利用されている「製品」の中で、半導体を一番使うものは何かご存知でしょうか。
 コンピューターや、テレビ・ゲームなどを思い浮かべるかもしれませんが、実は自動車であるというのが正しい答えです。
 現代の自動車は、電子制御などを中心としてカーナビや各種センサーなどを含め、非常に多くの半導体が使われています。

 そのため、半導体の供給不足が自動車の生産に直接影響を与えるなど、半導体と自動車は密接に関係しています。
 ところで、これからそれほど遠い未来を待たなくとも「内燃機関」から「電気自動車」へと、大きな変革が訪れようとしています。このことを考えても、これから先の自動車では既存のメーカーが持っているエンジンなどの技術ではなく、AIによる自動運転などソフトウエアの性能が重要となることは間違いありません。

 投資家は、企業の将来的な価値を先取りして投資先を決定します。そのため、上場企業の株価は現在の企業価値ではなく、将来的な成長性などを反映するものとなります。
 近い将来の自動車業界を席巻する可能性のある企業として、テスラ社とアップル社が投資家の注目を集めていることもあり、この2社は時価総額が過去最高となっています。
 わずか数年前には生産体制がうまく機能せず、非常に不安視されていたテスラ社ですが、現在時価総額は、2位以下の自動車メーカーを大きく引き離してトップになりました。*
注4

テスラ社はすでに電気自動車で実績があり、着々と生産体制を強化しているのに対して、アップルはまだ具体的な製品すら登場していません。アップルカーが登場したとしても、果たして本当に成功することができるのでしょうか?

 アップルはハードとソフトの両方を製造している唯一のPCメーカーであり、iPhoneやiPadをはじめとして、数多くのデバイスでマーケットに支配的な影響を与え続けている企業です。さらにはCPUを独自に製造するなど、これからの自動車に不可欠となる技術とノウハウをすでに保有しています。

 電気自動車であれば、エンジンや消音機構・ミッション・排気など、これまでの自動車メーカーが保有していた技術に頼る必要もありません。自動車製造は全く新しいステージへと変化し、アップルなどが新規参入しやすい環境が整いつつあります。
 しかも、自動車マーケットは巨大なため、その1%でもシェアが取れれば十分な事業として成立します。ジョブズがiPhoneで携帯電話のマーケットに参入した時も「1%のシェアでも十分だ」と語ったように、自動車の分野でも同じことが起ころうとしています。*注5

反トラスト法に対抗する目的もあり

 アップルの巨額投資の内容は、当然アップルカーだけが目的ではありません。ノースカロライナ州へ10億ドルを投資し、新たな拠点を設置することで3,000人の雇用を生み出すことなどがアナウンスされています。今回の投資について「雇用」「国内への投資」がキーワードとなっています。
 反トラスト法違反に対する追求を受けているアップルとしては、このような活動を通じてその矛先を交わす目的もあるでしょう。

 コロナの影響で米国内の経済が落ち込んでいることもあり、アップルの巨額投資が雇用拡大や経済的な刺激となることも期待されます。このような期待にいち早く対応し、大きなインパクトを与えるようなアナウンスをすることが、重要な意味を持つということでしょう。
 アップルの成長戦略と現在の社会情勢などが、今回の巨額投資計画の背景となっています。*注6

【まとめ】
 今回の記事では、国家予算にも匹敵する巨額の投資計画を発表したアップルについて、その理由についても簡単にまとめてみました。
 十分すぎる資金力と開発力を持ち、これまで幾度ものイノベーションで世界を驚かせてきたアップルです。いつか私たちの前に「自動車を再定義しました。」といってアップルカーを紹介する日が来るのを期待したいところです。
 あの、いたずら小僧みたいな笑顔をしたジョブズによるプレゼンではないことが少々残念ではありますが。

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■参考文献
注1
CIA “The World Factbook”
https://www.cia.gov/the-world-factbook/field/budget/
注2
NHK 「2020年度 押さえておきたい国家予算」
https://www3.nhk.or.jp/news/special/yosan2020/
注3
JIJI.com 「【図解・経済】お札の流通枚数の推移(2018年8月)」
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_kinyushoken20180825j-02-w340
注4 
日経ビジネス 「時価総額8000億ドル超えたテスラの明と暗」
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00321/
ベストカーWeb 「半導体不足で減産 なぜ起きる? 自動車産業の構造的な弱点とは?」
https://bestcarweb.jp/feature/column/247268
注5 
WIRED 「関係者が振り返る「iPhoneの10年」と、ジョブズにも見えなかった未来」
https://wired.jp/2017/07/01/apple-iphone-10th-anniversary/
注6
cnet Japan 「アップル、5年で46兆円超を米国で投資へ–新キャンパス建設、2万人を雇用」
https://japan.cnet.com/article/35169983/

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