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Appleの「Credit Kudos」買収はApple Cardの日本展開につながるか

 2019年にスタートした、Appleのクレジットカードサービス「Apple Card」。バーチャルなカードだけでなく、チタン製のクールな物理カードも大きな話題となっています。

 サービス開始からすでに2年が経過しましたが、いまだにアメリカ国内だけでしか利用できない状態であり、いつになったら日本でもあのチタン製カードが所有できるのか気になるところです。

 今回の記事では、「Apple Card」の国際化が進むかもしれない、という話題についてまとめてみましょう。

この記事でわかること

 ・Appleによる「Credit Kudos」買収の意味について

 ・Apple とゴールドマンサックスの目指す未来について

 ・Apple Cardの魅力について

Appleによる「Credit Kudos」買収とその意味

 今回、国際化の根拠となっているニュースは、「AppleがイギリスのFinTech関連ベンチャー企業である「Credit Kudos」を1億5000万ドルで買収した」というものです。

 Credit Kucosは、「オープンバンキング」を利用して信用度を計測するサービスを提供しており、2015年に設立されました。

 これまでの資金調達金額は780万ポンド(約13億円)です。

 最初に一つ、用語の説明を加えておきましょう。

 「オープンバンキング」とは、イギリス内にある92の金融機関がAPIを提供することで、第三者が顧客の信用情報にアクセスできる仕組みのことです。

 イギリスでは2016年に法制度を整備し、ライセンスを持つスタートアップ企業に対して、銀行が提供するAPIを通じて信用情報を提供することを義務化しました。このことによりイギリスは、オープンバンキングが世界でもっとも進んでいる国となりました。

 「Credit Kudos」は、このオープンバンキングの仕組みを利用し、提供されたデータをもとに独自のアルゴリズムを使って新たに、与信に関するスコアリングをするサービスを提供しています。

 信用情報だけに関してならば、これまでも信用情報調査機関は存在していました。しかし、従来は過去の返済履歴などを与信の根拠としていましたが、「Credit Kudos」はAPIから得られる情報を総合し、独自のアルゴリズムで自動的にスコアを算出するという点で一歩先を進んでいます。

 これまでの信用情報より精度が高く、スピーディな判定が可能なサービスが広く受け入れられ、現在50を超えるクレジットカード会社や消費者金融事業者などが利用している状況です。

 「Credit Kudos」は、FinTechを舞台とする新サービスの成功事例として、注目されている企業の一つです。

 Appleがこの「Credit Kudos」を買収したということから、1つのことが推測されます。それは「金融事業部門を本格的に拡大する」戦略を取ろうとしていることです。

 Appleがアメリカ国内でApple Cardサービスを始めるにあたり、パートナーとしてゴールドマンサックスを選びました。

 自社では金融業に関する免許もシステムも持っていないAppleは、どこか実績のあるパートナーを選ぶ必要があります。当然、今後ワールドワイドにサービスを拡大していく場合も、それぞれの地域や国でそれにふさわしいパートナーを選択しなければいけません。

 もちろん、イギリスにおいてもゴールドマンサックスと手を組む可能性は高いと思われますが、プラスして信頼性が高くAppleのサービスとも親和性の高そうなFinTech企業を取り込んでいくのも、海外戦略の一つとして有効です。*注1

Apple とゴールドマンサックスの目指す未来

 Appleの戦略は明確です。AppleはiPhoneを代表とするハードウエアメーカーであり、第一の目的は「デバイスの魅力を向上させ、ユーザーを増やす」ことに尽きます。

 もちろん、Apple Musicなどの各種サービスや、Apple Storeで販売されるアプリ手数料も重要な収入源ですが、それも世界中のiPhoneユーザーがいるからこそです。

 また、世界10億人のiPhoneユーザーという巨大なプラットフォームが魅力だからこそ、デベロッパーも高い手数料を払いながらiPhone用のアプリ開発に取り組んでいます。

 AirPodsやApple Watchというデバイスに関しても、iPhoneユーザーなしにはこれほどのシェアを確保することは不可能でしょう。

 Appleは、周辺機器やサービスを充実させることによってiPhoneユーザーを増やし、エコシステムを完全なものへすることが最大の企業戦略となっています。*注2

 一方のゴールドマンサックスはどうでしょうか。

 巨大かつ歴史のある金融機関ですので、Appleのように単一の明確な目的が全ての事業戦略の根本とはなりません。広範囲な分野で個別の事業戦略を進めているはずですが、ここではAppleの連携に関してのみ考えてみましょう。

 ゴールドマンサックスは一般の銀行と異なり、一般利用者向けの預金事業などは行っていません。元来、富裕層を対象とした資産の運用を中心とした投資顧問会社です。

 しかし、2016年から一般消費者向けの小口融資サービスを開始するなど、新たなビジネス領域の開拓に乗り出しています。このサービスは「Marcus」といい、創業者の名前を冠することからもその本気度がわかります。

 Appleとの連携後は、この「Marcus」事業が大きく進展しており「史上最も成功したクレジットカード・ローンチである」とゴールドマンサックス自身が評価するほどです。

 世界中に拠点を展開するゴールドマンサックスが、この大成功したApple Card連携をアメリカ国内だけで終わらせたいとは考えないでしょう。

 当然、ワールドワイドへの展開を進めていくに違いありません。

 現在、ゴールドマンサックス日本法人は東京を拠点とし、投資銀行業務やセールス&トレーディング業務などを中心とした活動をおこなっています。

 もし、日本でApple Card連携業務を行うとした場合、個人向けの預金や融資ができる銀行業免許を取得しなければなりません。このことについては、2019年5月に金融庁に対して、銀行業免許の取得手続きに着手していることが分かっています。

 間違いなく「日本での事業拡大を視野に入れた動きをしている」事の証拠となりそうです。*注3

 もちろん、ゴールドマンサックスの日本における銀行業免許とApple Cardの日本へのサービス提供は、直接的には結びつきません。法制度や金融環境、消費者のニーズなどアメリカ国内と日本では諸条件も大きく異なります。

 単にゴールドマンサックスの動きだけでは、「Apple Cardの日本上陸も近い」とは言えませんが、大きな動きとしてFin Tech企業の買収などと合わせれば「だんだん近づいてきている」ぐらいの期待はして良いのではないでしょうか。

Apple Cardの魅力

 最後にApple Cardが日本に上陸し、私たちが実際に利用できる日を夢見て、その魅力についてまとめてみましょう。

 この記事の冒頭でも紹介したチタン製カードについては、絶対手に入れたいアイテムです。

 一般的なクレカと違い、クレジットカードナンバーは表面に記載されていません。磁気カードではないためスキミングの心配もなく、表面にはAppleロゴと利用者氏名のみという潔さ。さらに裏面には、ゴールドマンサックスとマスターカードの刻印。実にクールです。

 内蔵されたICチップでNFT決済が可能であり、iPhoneと連携することでセキュリティは万全です。基本はiPhoneアプリとして機能するため、物理カードはあくまでオマケにしか過ぎず、もしカードが盗難にあったとしてもなんら心配することはありません。

 Appleがわざわざチタン製カードを発行しているのは、ギミック好きの心をくすぐり、所有することの喜びを感じさせるためであり、上手な戦略です。

 日本でのサービスで実現するかどうかは不明ですが、現在アメリカでは1%〜3%のキャッシュバックが受けられます。キャッシュバックされた金額は、それほどタイムラグなしにすぐ入金されますので、高額の製品などを決済するときにはメリットが高いと言えます。

 ぜひ、日本でも同じ特典をつけて欲しいものです。

 最近アメリカで公開されたCMでは、Apple Cardの申し込み手続きの簡単さが強調されていました。

 商品を持ってレジに並んだら財布を忘れたことに気づいた男性。すぐその場でiPhoneを取り出し、申し込み手続きを完了しApple Card(アプリ)で決済を済ませるというものです。

 一般的なクレジットカードの申し込み手続きに比べて、格段の速さの違いをアピールしています。

 さらに、支払いに遅延があった場合でも遅延手数料は発生しないなど、かなり既存のクレジットカードとは違いがあります。

 CMの最後に「Reboot your credit card.」とAppleからのメッセージが表示されるのも、このような利点を強調したものでしょう。*注4

まとめ

 Appleは「携帯電話を再定義」してから15年が経過しました。その間、「再定義」の二番煎じが、さまざまな製品やサービスの宣伝文句として使われ、正直食傷気味です。

 それがここにきて、本家本元から「クレジットカードのリブート」としてApple Cardが登場し、どうやらワールドワイドへ展開する動きを見せてきました。

 今の気持ちは、iPhoneが登場した15年前と同じ「待ち遠しい」に尽き、みなさんも同じ気持ではないでしょうか。*注5

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■参考文献
注1
日経XTECH 「アップルのFinTech買収で浮かび上がる未来」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01115/033000031/
TOKYO esqsue 「イギリス・フィンテックはオープンバンキング(Open Banking)とPSD2が鍵」
https://tokyoesque.com/london-open-banking-psd2/
注2 
exciteニュース 「世界のiPhoneユーザー、10億人に到達」
https://www.excite.co.jp/news/article/Ubergizmo_japan_17443/
注3
Godman Suchs 「会社情報」
https://www.goldmansachs.com/japan/our-firm/
Impress Watch 「ゴールドマンサックスの銀行免許取得はAppleへの福音となるか」
https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/suzukij/1337014.html
注4
iPhone Mania 「Apple CardのコミカルなCM「チョコレート」公開。発行の手軽さをアピール」
https://iphone-mania.jp/news-450358/
Business Insider 「目からウロコの「Apple Card」を1カ月使ってみた。先行ユーザーが語る「クレカを再定義」とは何か」
https://www.businessinsider.jp/post-198482
注5
ジョブズの有名なプレゼンでは「電話の再発明」と表現されています。しかし、その後iPhoneについて「電話の再定義」として紹介されることが多いようですので、その表現に合わせています。「リブート」については「再起動」が対応しますが、ここではそのまま「リブート」とカタカナ表記にしてあります。

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