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国交省が開催した建築BIM推進会議の内容とその目的とは

BIMの導入はもはや企業だけの問題ではなく、国を挙げてのアップデートを必要とする問題へとシフトしつつあります。

企業よりも熱心にBIMの導入を進める国もあるほどですが、日本においても官民一体となったBIMの普及が進められています。

その上で、2019年よりスタートした国土交通省主催の「建築BIM推進会議」は、建築BIMに特化した問題提起と課題解決に向けた運動を行ない、注目を集めています。

今回はそんな国交省の建築BIM推進会議が、どのような背景から生まれ、どう世間にソリューションを提供しているのかについて、ご紹介していきます。

目次:
①国交省が主導するICTの積極的な導入
②建設業界が抱える課題解決に向けたBIM運用
③ガイドラインの策定でBIM運用の標準化が進む

建築BIM推進会議の概要

建築BIM推進会議は、国道交通省の主催で開かれる、建築BIMのさらなる普及を目指す、日本におけるBIM推進会議です。

官民一体の建築BIM活用を推進

BIMの運用は、建設業界を中心として広く導入が進められており、企業によって様々な取り組みが独自に進められています。

しかし一方で、企業ごとのBIMの取り組みはまちまちとなっており、足踏みを揃えてBIMの運用を進めていくということは難しいものです。

BIMの導入が大切とは言っても、各企業で異なる取り組みをしていては、かえってBIMの普及や運用に遅れが生じてしまい、結果的に生産性の低下ももたらしかねません。

そこで国交省は、民間企業におけるBIMの運用方法について、ある程度の方針を固める会議を開催しました。

それが建築BIM推進会議で、民間同士の足並みを揃わせ、効率的な運用を推進しようという取り組みが続けられています。

各業界から有識者が参加

建築BIM推進会議には官民を問わず、多くの有識者が集められています。

東京大学や東工大で教授を務める学識有識者を始め、設計関係団体や施工関係団体、維持管理団体、調査研究団体など、建築に携わるあらゆる組織の人間が集まっています。

いずれのメンバーも建築BIMの運用には大きく関わることになる人物ばかりであり、日本の建築BIM運用に関する基本方針が定められることが期待されます。

BIMの運用には多くのメリットが伴いますが、一方で無視できない問題点も少しずつ浮き彫りとなりつつあります。

そのような問題の負担を少しでも軽減し、より多くの組織がBIMを運用しやすい環境へとアップデートすることが求められています。

会議内ではBIMの活用による生産性向上等のメリットの検証や、BIMデータの活用・連携に伴う課題の分析などについて検討され、実施に向けた取り組みが進んでいます。*1

建築BIM推進会議が開催された目的

建築BIM推進会議が開催された目的は、建築業界全体の生産性向上を、BIMを通じて進めていくことが挙げられるでしょう。

普及が急がれるi-Construction(アイ・コンストラクション)

国交省は、既存の建設生産システムが将来立ち行かなくなることを見越し、i-Constructionと呼ばれる新しい生産システム向上の取り組みを進めています。

i-Constructionの柱となるのは、ICTの全面的な活用、規格の標準化、施工時期の標準化の3つです*2。

BIMやCIMといった新しいテクノロジーの導入はICTの全面活用に当てはまりますし、規格・施工時期の標準化にも間接的に貢献します。

そのため、建築業における速やかなBIMの導入は、i-Constructionの実現には不可欠なテーマなのです。

生産性向上の必要性の裏にある背景

国交省や多くの建設業界が積極的に既存のシステムからの脱却とBIMの導入に取り組んでいる理由として、深刻な労働力不足を迎えようとしている点が挙げられます。

全国で340万人に上る技能労働者は、2024年までに約110万人が離職すると言われており、その一方で若年労働者の数は減少しているという現象も見られます*3。

熟練の技術を持った労働者が若い世代に技術を伝えることができないばかりか、働き手そのものの数が減り、建設業界が立ち行かなくなるという未来です。

BIMやCIMはこういった労働者不足を補うべく、業務の効率化を推進し、効果的な人材活用を実現するために重要視されているのです。

建築BIM推進会議の内容とBIM運用の課題

建築BIM推進会議において注目されているのは、現状のBIM運用が抱える課題の解決です。

建築BIM運用の現状と課題

建築BIM推進会議が把握しているのは、建築士事務所においては導入の検討が進んでいる一方、設備系設計事務所においては進んでいないという状況が1つ。

そして、大手ゼネコンにおいてはBIMの活用が相当程度進んでいる一方、中小建設会社においてはほぼ使用されていないという現状です*4。

本来、BIMは情報共有の円滑化を図るために導入されることを目的としていますが、これはプロジェクトに関わる全ての関係者がBIM環境を整えていることが前提となります。

しかし、現状ではBIMの導入は一部の建築士事務所や大手ゼネコンに限定されており、上流から下流まで一貫した環境の整備が進んでいません。

また、たとえBIMを導入している企業がプロジェクトに参入したとしても、各企業によって異なるBIM環境を運用し、情報共有がうまくいかない事例もあります。

設計、施工、維持管理の各フェーズにおいて、別個のBIMを導入するため、各段階における情報の引き継ぎがうまくいっていないのです。

また、BIMの導入が今ひとつ行き届いていない原因としては、設備コストが高く、人材の育成にもコストがかかってしまう点が挙げられます。

BIMの導入には最新のハードウェアからソフトウェアまでを揃える必要があり、その上その環境を活かすことのできる人材の確保も必要です。

これらの初期投資を独自に行える事務所や会社は、ごく一部に限られているのです。

建築BIM推進会議の成果

このような問題を踏まえ、建築BIM推進会議はこれからのBIMの運用基準をまとめたガイドラインを、2020年3月に発表しました。

「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン」と名付けられた同書には、BIMの幅広い活用に向けた指針が記されています。

BIM運用における標準ワークフローやデータの受け渡しルール、BIM運用において想定されるメリットなどを明文化し、改めてBIM運用普及に向けた第一歩を踏み出しました*5。

これまでBIMは各企業によって異なる取り組みが行われてきたため、BIM運用によるコストパフォーマンスが見えづらく、導入に踏み込めないケースもありました。

しかしBIM運用の標準化が進められることで、BIM導入の成果が見える化され、最大化されていくことが期待でき、国による支援の提供も期待できるようになります。

ガイドラインは継続的なアップデートが予定されていますが、BIMの運用が進めば進むほど、優れたガイドラインの策定が進められていくでしょう。

おわりに

BIMの運用は未だ手探りの状態が続いていますが、日本の建設業界の事情を踏まえると、あまり悠長に物事を進めている余裕もないことがわかります。

そこで国交省は少しでも現状の打破を急ぎ、ICTの導入を進めていくために誕生したのが建築BIM推進会議です。

BIM運用の標準化と普及に向けたこの会議は、今後その重要性をより一層大きくしていくことになりそうです。

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出典:
*1 国土交通省「BIM導入のメリットの検証等に試行的に取り組む提案を8件採択」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001351040.pdf

*2 SHELFY「”i-Construction”ってなに?国交省が推進する取り組みを日本一わかりやすく解説」
https://shelfy.co.jp/shelf/opinion_post/915

*3 国土交通省「i-Constructionの推進」p.10
https://www.mlit.go.jp/common/001149595.pdf

*4 国土交通省「建築BIM推進会議(仮称)の設置について」
https://www.mlit.go.jp/common/001286932.pdf

*5 国土交通省「「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」を策定しました」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000829.html


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