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官庁営繕事業にBIMモデルはどのように活躍しているのか?事業のポイントを解説

国土交通省の官庁営繕事業では、BIMモデルを使ったプロジェクトの進行、及び活用ガイドラインの制定に力を入れています。民間での運用も進むBIMですが、行政主導で行われる事業ではどのように活躍しているのでしょうか。

今回は、BIMモデルが官庁営繕事業においてどの様に使われているのかをご紹介します。

①官庁営繕事業におけるBIM活用の概要
②官庁営繕事業BIM化の背景にあるi-Constructionについて
③官庁営繕事業におけるBIMモデル活用ガイドラインのポイント
④官庁営繕事業へのBIM活用に期待されること

官庁営繕事業におけるBIM活用の概要

国土交通省における官庁営繕事業では、BIMを運用したプロジェクトの試行を通じて、設計業務及び工事における効果や課題について検証を進めています。また、同事業では検証の結果を反映した、BIMモデル作成に関する基本的な考え方や留意事項を示す「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作成及び利用に関するガイドライン」、通称「BIMガイドライン」をとりまとめています*1。改正をくわえながら、最新の状況に合わせた運用環境の提示にも努めています。

ガイドラインの作成に合わせて、同事業では一貫したBIM活用に関する検討会の開催、及び官民が一体となってBIMの活用を推進する建築BIM推進会議も行われており、より高度で広範なBIM活用が進められるよう積極的な活動が見られます。

官庁営繕事業BIM化の背景にあるi-Constructionについて

この様に、国土交通省の管轄で積極的なBIM運用が進んでいるのには、i-Constructionと呼ばれるプロジェクトも背景に挙げられます。i-Constructionは建設現場、及び建築の生産性向上を目的としたICTの全面的な活用を推進するべく提唱されています。BIM活用はそんなi-Constructionの推進における重要な取り組みとして注目されており、高い成果が期待できるとして、国を挙げての運用が進んでいます。

BIM運用に合わせ、プロジェクトにおける規格の標準化や、施工時期の標準化も目標として掲げるなど、技術以外の枠組みづくりの面でも存在感を発揮しているのが特徴です。ソフト・ハードの両面から推進し、日本における建設業界の全面的なDXをサポートします。

官庁営繕事業におけるBIMモデル活用ガイドラインのポイント

2014年に策定されたBIMモデル活用ガイドラインですが、2018年には改正も加わるなど、常に最新の技術動向に合わせたアップデートが加えられています。ガイドラインを正しく読み解く上では、以下の2つのポイントに注目することが重要です。

ちなみに、実際のガイドラインは以下のページから自由に閲覧することができます。

公式サイト:https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen06_hh_000019.html

BIMの利用目的が明確になっている点

まず、官庁営繕事業の一環として作成されたBIMモデル活用ガイドラインは、BIMの利用目的が明確に示されていることがポイントです。これまでBIM運用を妨げてきた要因の一つとして、BIMの利用目的が今ひとつ不明瞭であることが挙げられてきました。従来のCADとどの様な違いがあるのか、そしてどうやってBIMのポテンシャルを引き出せばいいのかがわからず、各企業で運用方法に大きなギャップが生まれていたのです。

この度作成されているBIMガイドラインにおいては、BIMをどのように運用すればいいのかが明確に示されています。各種シミュレーションへの適用、内外観・納まり等の可視化、干渉チェックに至るまで、技術的な検討をBIMを使って有効活用するためのアプローチを示してくれています。

ガイドラインに従って運用することで、適切なBIMの使い方を理解できるだけでなく、共通認識を広げ、あらゆる関係者にBIMを利用してもらえるようになるというわけです。

BIMモデル作成の詳細度の目安が明らかになっている点

2つ目のポイントは、BIMモデル作成における詳細度の目安がわかりやすく示されている点にあります。BIMモデリングでどんなオブジェクトを作成できるのか、そしてどれくらいの粒度でモデリングをするのが適切なのかについて、具体的に例示してくれています。

BIM活用は関係者間の情報共有をスムーズにするのに役立つと言われていますが、オブジェクトの粒度にギャップがあれば、期待しているほどの共有能力の高さは得られません。詳細度の目安が掲げられることで、修正やフィードバックなどによる余計な処理の発生を抑えられます。

官庁営繕事業へのBIM活用に期待されること

官庁営繕事業において積極的なBIM活用が行われていることで、事業そのものの効率化はもちろん、周囲に与える影響も無視できないものがあります。BIM活用の推進によって期待されることについて、ご紹介します。

BIMに期待していた効果を確実に得られるノウハウの醸成

一つ目は、BIMが本来持っている業務効率化のポテンシャルを最大限に活かせる、最適なノウハウを養えることにあります。BIM運用が国内で進まない理由の一つとして、BIM導入の費用対効果がどれくらいになるのか、そして費用対効果を最大限に高めるための使い方がどの様なもののか、その事例がまだ少ないことにあります。

BIMという技術そのものの認知度に加え、BIMによってもたらされる恩恵についても理解が進まない中、国土交通省が積極的にBIMを活用し、具体的な成果を発信することで、BIM運用で得られるメリットや、そのコストパフォーマンスを客観的に確認ができます。

BIMモデル作成の効率化

BIM活用に関するガイドラインが行政によって策定されることで、日本におけるBIM運用のフォーマットを固めてもらえます。民間主導でのBIM運用は、その運用方針について各社でギャップが生まれてしまい、BIMの効果を最大限高められないという懸念もあります。国が主導してBIM運用のフレームワークを作ってしまうことで、こういった余計なギャップを排除し、全ての企業や組織が一元的に運用できるようになります。

おわりに

BIM運用は大企業を中心に進められている中、まだまだ全ての事業者へ十分に普及しているとは言えません。そんな中で国土交通省の官庁営繕事業は、BIM運用の手本となれるようなプロジェクトの推進に努めており、積極的な情報発信が行われています。

BIM運用のケーススタディやその効果を確認したい場合には、彼らの活動に目を向けることが大切です。

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*1 国土交通省「官庁営繕:官庁営繕事業におけるBIMの活用」
https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk6_000094.html

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