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GNSSとCIMを使った西松建設の新技術の強みとは

建設業界各社では、DXに向けた独自の技術開発が進んでいます。西松建設が新たに実現したのは、GNSSとCIMを活用したケーブルクレーンの自動運転技術です。

今回は、西松建設の自動運転システムの革新性や、この開発の核となったGNSSという技術の概要について、ご紹介します。

①西松建設の「ケーブルクレーン自動運転システム」について
②建設業界で注目されているGNSSの技術とは
③「ケーブルクレーン自動運転システム」の3つの特徴

西松建設の「ケーブルクレーン自動運転システム」について

西松建設は2021年3月、ダム現場でのコンクリート打設の作業時間を短縮する「ケーブルクレーン自動運転システム」を発表しました*1。

手動運転よりも優れたパフォーマンスを発揮

これまで、ダム現場におけるケーブルクレーンの運転は、手動で実施するのが一般的でした。しかし手動での操作は目視での確認が困難な場合などには運転手一人で対応することが難しく、現場での作業リスク増加の原因にも繋がるため、複数人で作業することも必要だったのです。

しかし、建設現場では労働人口の減少が顕著で、十分な人手を現場に派遣するのが難しいことから、省力化の必要性が大きくなっていました。

そこで誕生したのが、ケーブルクレーンの自動運転システムです。コンクリート打設時にその都度、遷移する打設位置やバケット積載重量の変化に応じて、運搬の軌道や速度を変化させることで、最適化された自動運転ができるよう設計されています。クレーン運転士が目視確認できない箇所でも、安全かつ迅速にバケットを運搬して開放するので、業務効率化や時間短縮へ大いに役立っています。

GNSSとCIMの技術を活用

そんなケーブルクレーンの自動運転システムに採用されているのが、GNSSとCIMの技術です。最新の測位技術とCIMモデルを使った現場状況の詳細な把握によって、自動運転でもクレーンを確実にコントロールできるよう設計されています。

CIMモデルは従来の図面や3Dモデルとは異なり、土地情報や建設物の情報が原寸大で、詳細に付与されているのが特徴です。そのため、コンピューターもCIMモデルを読み込むことで、人間と同様の立体感覚を養うことができ、正確なクレーン操作に役立てるというわけです。

BIM/CIM技術は設計から施工、果ては維持管理にも役立つとされている技術である一方、普及が今ひとつ進んでいない点も問題視されます。西松建設の自動運転クレーンの開発は、そんなCIM運用の機会をさらに拡張してくれるため、導入のモチベーションを高めてくれる貴重な存在です。

建設業界で注目されているGNSSの技術とは

続いて、そんな自動運転クレーンの技術を支えるGNSSについて見ていきましょう。

GNSSの概要

GNSSはGlobal Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)の略称で、米国のGPS、日本の準天頂衛星(QZSS)、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileo等の衛星測位システムの総称です*2。私たちが一般的に利用する位置情報システムはアメリカのGPSが一般的ですが、実はロシアや日本も独自の衛星システムを有しており、これらを利用することができます。

今回の自動運転クレーンは、そんな衛星システムを複合的に利用する仕組みを備えており、特に日本の衛星システムである準天頂衛星「みちびき」を重視した設計となっています。

準天頂衛星「みちびき」の強み

「みちびき」は建設業界でも注目を集めている衛星システムですが、このシステムの強みとしては、一つに時間帯や場所を選ばずに利用できるという点が挙げられます。

GPSを利用した測位サービスの場合、視界に入る衛星数が少ないなどの理由により、安定したサービスの提供が難しく、ラグや位置情報のズレなどの原因を生んでいました。しかし「みちびき」の場合、アジア・オセアニア地域に向けてGPS衛星と互換性を持ち、GPS衛星と一体で利用することができるシステムを備えているため、ラグなどの心配をすることなく、安定した位置情報の取得を実現しています。

そのため、今回のケーブルクレーン自動運転システムのように、位置情報のズレが許されない現場においても、安心して活用できる設計になっているのです。また、2018年11月にはみちびきが4機体制になったことで、GPSと併せてこれまで以上に安定した使用が可能となっています。ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも、安定した測位を実現しています*3。

「ケーブルクレーン自動運転システム」の3つの特徴

そんな高性能な衛星システムを備える西松建設の自動運転クレーンは、主に3つの機能を備えていることを強みとしています。順に見ていきましょう*4。

堤体打設オペレーティングモード

一つ目は、堤体打設オペレーティングモードです。これは、タッチパネル上に表示されたダム堤体の平面図上で、次の打設点となる位置を指示できるシステムで、ダム堤体CIMモデルの位置情報を用いて座標データの入力作業の省略、及び誤入力を防止します。

自動運転モード

自動運転モードでは、GNSS測位によりバケット位置を計測し、目標位置へ移動します。測位データを0.1秒毎に計測することで、バケット振れの挙動をリアルタイムで取得し、極めて正確な動作を実現しています。

堤体打設のサイクルタイムを短縮するのに役立っており、手動運転時と比べ、約10%のサイクルタイム短縮に貢献しています。

統合管理ディスプレイ

運転状況を正確に把握するため、デジタルサイネージの統合管理ディスプレイが活躍します。打設状況をリアルタイムで把握するのに活躍し、蓄積データをCIMモデル上に付与・表示させることで、日々の打設データ管理と共有を実現します。

自動運転であるとはいえ、きちんと作業員や管理者が運転状況を把握し、データを記録できる仕組みになっている設計を備えているので、継続的な長期運用にも耐え得る仕組みと言えます。

おわりに

今回は、西松建設の自動運転クレーンについてご紹介しました。クレーンの自動運転には正確な制御システムが求められますが、CIMモデルのインプットやGNSSによる正確な位置情報の把握システムを導入することで、手動運転以上の制御性能を獲得しています。

今後も導入実績が増えていくことで、ますます活躍の機会も増えてくるでしょう。

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*1 BUILT「西松建設がGNSSとCIMで、ダム建設工事のケーブルクレーン自動運転技術を開発」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2104/15/news057.html
*2 国土地理院「GNSSとは」
https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi_aboutGNSS.html
*3 みちびき「みちびきの必要性」
https://qzss.go.jp/overview/services/sv02_why.html
*4 西松建設「システムの特徴」
https://release.nikkei.co.jp/attach/607641/01_202103311100.pdf

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