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他社に勝てる企画設計モデルとは?BIMで叶える“消耗しない”設計

建物を建てる前に行う企画設計は、プレゼンの働きがあります。つまり“勝てる”企画設計を行う必要があり、設計士の腕の見せ所といえます。

「デザインをもっと追求したいが、納期が迫っている」「勝てる企画設計を作るにはどうしたらいいのか?」と悩みながら働く設計士も多いのではないでしょうか。

この記事では、企画設計を効率的に行うBIMについてご紹介します。BIMで企画設計モデルを作成すれば、その後の設計業務も大幅に効率化できるのです。

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
①建築業界のBIMについて
②企画設計とBIMによる企画設計モデルについて
③設計士を悩ます現状と解決方法について

BIMの企画設計モデルとは

企画設計とは

「どんな建物にするのか?」という最初の設計を行うのが企画設計です。“案出し”ともいえる企画設計は、個人向け住宅でもビルやマンションといった大規模な建物でも行います。

すでに土地が決まっている場合は、その土地の条件を十分に考慮した上で建て主の希望をくみ取り、「こんな建物はいかがですか?」と喜んでもらえる提案を行わなければいけません。

企画設計の場合、その後に行う設計よりは大まかであり簡単なイメージとして使われることが多いものです。しかし設計する側としては大変な工数をかけて作成するもので、建物の規模によりますが1~3か月はかかるというケースも多いのではないでしょうか。

そして企画設計というと、建て主は他社にも依頼しているケースがあります。つまり企画設計を依頼された設計士はライバルがいて、“勝てる”企画設計を作る必要があるのです。

BIMとは

建築業界では、BIM(ビム)という概念が広がり始めています。Building Information Modelingの頭文字を取って作られたBIMは、3次元データを活用して、効率よく建築作業を進めようという意味の言葉です。

日本では国土交通省がCIM(シム)という言葉を作り、建築業界の中にある土木業界の働き方改革を目指しています。現在ではBIM/CIMという一括りの言葉として扱い、建築業界を働きやすいものにしようと取り組んでいます。(※1)

BIMという概念の根本には、“3次元モデル”が存在します。従来の紙媒体の図面だと、いくら建築の関係者であっても細部をイメージすることはできません。そこで、ITで3次元データを作成することにより“見える化”を行い、施工に関わる全ての人がわかりやすいデータを作るのです。

BIMについてはこちらでもご紹介しているので、ぜひご参照ください。

BIMの取り組み事例を知りたい!国内事例と使えるソフトについて

企画設計モデルとは

今、日本の建築業界では2次元データが主流となっています。CADも2次元データから作成を始めますし、3D CADといっても最初は2次元データから作らなくてはいけません。

しかしBIMを導入して企画設計を行う場合、まず作るのが企画設計モデルです。企画設計モデルは、最初から3次元データだけで企画設計モデルを作成します。

3次元データだけで作った企画設計モデルなら、「窓をもう少し大きくしよう」と思えば3次元モデルをつまんで操作するだけで変更できます。このように修正が簡単な点は、BIMの大きな特徴です。

米国発祥のBIMという考えは各国で広がっていますが、実は日本は遅れがちといわれています。その理由として「今、BIMを使わなくても仕事ができている」という現状があります。(※2)

日本の建築業界は現場で訓練を積んだ“職人”という存在があり、彼らは紙の図面を見ただけで「この建物はうまくいかない」など判断ができるといいます。だからこそ日本の建築産業には欠かせないのですが、この“職人だより”ともいえる現状も、BIMの普及を妨げる原因の1つなのです。

人材不足や職人の高齢化に悩む建築業界は、BIMを導入してIT化を推進する必要があります。

BIMを導入して企画設計を行うメリットとは

より提案力の高いプレゼンが行える

企画設計は、いわばプレゼンテーションの場です。「当事務所に依頼いただければ、このような素晴らしい建物に仕上げます」と建て主にアピールしなくてはいけません。

BIMは専用のソフトを使った企画設計モデルの作成によって、デザイン性の高いモデルを作成できます。

例えば企画設計モデルの中で作成した床や壁などには、そのパースに見合った素材を簡単に貼りつけられます。よりリアルな企画設計モデルなら、建て主も完成図をイメージしやすくアピール力も上がるでしょう。

さらにGoogle Earthと連携して周辺の環境を合成すれば、外観もより精巧なものになります。ボリューム感や周辺環境の調和までイメージできるのは、建て主としても非常にありがたいものです。(※3)

整合性の高い企画設計モデルを作成できる

「2次元データではあったはずの窓が、立体図にない」「建具の開き方と、建具リストにある情報が合っていない」などの不整合は、防ぎたくても難しいものです。実際に建築作業がスタートして後に引けない状態になってから気づくと、手戻りや作り直しなどで大幅なリソースが失われます。

しかしBIMで作った3次元データなら、パソコンの中に精巧な完成図がある状態なので、壁と壁がぶつかるといった“干渉”や、扉の開き具合といった部分の整合性が保たれます。

企画の段階では「だいたいのイメージが分かればいい」という雰囲気があり、小さな干渉は気にしないケースもあるものです。しかしBIMなら最初から整合性の高い企画設計モデルが作れるので、そのまま設計作業に入っても設計ミスが起こりにくく、この点が大きなメリットといえます。

受注後も効率よく作業できる

BIMは企画設計の段階から効率的ですが、その後の作業も大幅に効率化できます。前述したように整合性の高い企画設計モデルが作成できれば、建築作業で絶対に避けたい“設計ミス”もBIMで防げます。

また、すでに国内ではBIMとロボット加工を掛け合わせた構造材の調達方法も確立されています。

BIMで作った構造材のデータをそのままロボット加工機に取り込み、自動で構造材の切り出しまで行う…そんな画期的な方法も、すでに国内で完成しているのです。(※4)

工場側に木材の切り出しを依頼する時は、数ミリでも狂いがあってはいけません。そのため発注そのものにとても気を使いますし、当然工数もかかります。

しかしBIMでデータ連携ができれば、その発注にかかる工数がすべて短縮できます。効率的かつミスが発生しにくいこの方法1つとってみても、いかにBIMが効率的かわかりますね。

ライバルに勝つ企画設計ならBIMの導入がおすすめ

建築士を疲弊させる企画設計

ご紹介したように、BIMの導入は建築士の働き方改革に効果的です。

建築士は締め切りに追われることが多く、納期を死守しながら企画設計を行う人も多い事でしょう。ライバルに勝つためには、建て主を驚かせるようなデザイン性も追求しなくてはいけません。しかし実際に部材を使って工事するわけではないため、必死にデザインしたのに値切られるという事も…。(※5)

建築士に憧れて夢を叶えても、上記のような経験が続くと疲弊してしまうものです。

「もう設計しんどいな…」と疲れてしまう前に

今、建築業界は深刻な人材不足になっています。「せっかく設計士になったけれど、もう限界だ」「これ以上設計士を続けられない」と疲れ切ってしまう前に、ぜひBIMの導入を検討してはいかがでしょうか。

国土交通省が主体となって、建築業界ではBIMの導入が進んでいます。作業を効率化できればもっと設計そのものの作業に集中でき、よりデザインを追求することも可能です。

BIMというITの力があれば、きっと建築業界全体が働きやすいものになるでしょう。国内でもすでに導入がスタートしているので、ぜひ参考にしてみてください。

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※1:http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimsummary.html
※2:https://mypage.otsuka-shokai.co.jp/contents/business-oyakudachi/cad-lecture/2015/201510.html
※3:http://bim-design.com/about/process/kikaku.html
※4:https://www.graphisoft.co.jp/users/special/maedakensetsukogyo_2018.html
※5:https://careergarden.jp/kenchikushi/taihen/

2023年2月10日 情報更新

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