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Unreal engineとBIM&CADの意外な関係

Unreal engineといえば、ゲーム開発の現場で知らない者はないくらい有名なゲームエンジンです。
そんなゲームの為に作られたエンジンが、今、意外な所で活用されつつあります。
今回は、一見するとゲームと無関係な建築業界でUnreal engineがどのうように使われているのか、そしてどんな可能性を秘めているのかについて見ていきましょう。

■この記事では次の事がわかります
・Unreal engineとは?
・Unreal engineとBIM&CADの関係
・Unreal engineの活用が切り拓く未来

Unreal engineとは何か?

まず初めに、今回取り上げるUnreal engineが一体どのようなものなのか、簡単にご紹介したいと思います。
Unreal engineとはゲーム制作会社Epic Gamesが開発しているゲームエンジンで、簡単に言ってしまえば「美しいグラフィックのゲームを効率良く作る為のソフトウェア」です。
ファミコンやゲームボーイの時代と違い、現代のゲームは専用機からスマートフォンゲームまで高画質化が進み、本物と見紛う程リアルなCG映像も当たり前となっています。
当然、こうしたゲームを1から作るにはとてつもない時間と労力が掛かる為、それをソフトウェアの力である程度肩代わりして制作を効率化しようとして作られたのが、Unreal engineをはじめとするゲームエンジンなのです。

設計の仕事に欠かせないCADデータ

コンピューターがメジャーになる以前は、何かを設計する際、紙の設計図を使いデータを共有していました。
当然、紙に書かれている以上平面図となってしまうので、設計や実際の制作に当たっては、平面図から立体的なイメージを頭に描き出す能力も必要とされていたのです。
しかし、現在ではコンピューターの性能向上により、誰でも気軽に2Dどころか3Dのデータも作成できるようになりました。
その結果、現在では特に機械設計や建築分野を中心に、これらのデータを扱うCADと呼ばれるソフトウェアが普及し、事務職におけるWordのように業界で働く上での必須スキルとなってきているのです。
また、従来のCADデータを更に発展させたBIMというものも登場しており、日本でも少しずつ普及が進んでいます。

CAD・BIMデータを素早く映像化でいるのがUnreal engineのメリット

さて、ここまでUnreal engineとCAD/BIMについて簡単にご紹介しましたが、両社は3Dデータを扱うという事以外、特に共通点があるようには思えません。
しかし、この3Dを扱うという点こそが、今回のキーワードです。
これまで、CADやBIMデータを3DCGに描き出すには、3DCGを作るためのソフトを用意し、その使い方を1から学ぶ必要がありました。
しかし、Unreal engineであれば、こうした3DCGツールよりも簡単に覚えることができ、しかも無料で使う事が可能です。
紙の設計図の時代もクレイモデルなどで問題点を洗い出すといった技法は定番でしたが、CADとUnreal engineを組み合わせればこうした手間もかなり省くことが出来る訳ですね。

CADやBIMデータを3DCGにするメリット

Unreal engineを活用した手法は、前述の物理的な立体化プロセスを減らすだけでなく、さまざまなメリットがあります。
ここでは、そのうちのいくつかをご紹介しましょう。

設計の異常を見付けやすくなる

簡単に3DCG化できることで、ある程度作ったらCG化しておかしな部分を洗い出すという事が簡単に出来るようになります。
結果として、設計時の問題点を発見しやすくなるのがメリットの1つです。

営業やデザイン部門との意思疎通がしやすくなる

車や家電のように「外から見える」製品の場合、顧客の目にどう映るかというのは大事なポイントです。
紙の設計図の時代には気軽にホイホイ試作品を作る訳にもいきませんから、営業担当者が製品のデザインを知るのは、設計が後戻り出来なくなってからという事も十分あり得る話でした。
一方、CAD/BIMデータから3DCGを起こす方法なら、設計の初期段階であってもCGで立体化された映像を見ることが出来るので、営業やデザイン部門ともコミュニケーションが取りやすくなります。
また、CGを見て変更すべき点が見つかれば、その場で設計を書き換えて再出力する事も可能です。
クレイモデルや3Dプリンターではこうはいかないので、その製品に強く拘りたい時こそ、CAD/BIMとUnreal engineの出番と言えるでしょう。

CM映像などにCGデータを利用できる

設計が固まり生産が決まっても、まだまだUnreal engineは活用出来ます。
それがCGデータの宣伝への活用です。
これまで広告写真やCM映像などを作るには、その製品の実物やモックアップが必要不可欠でした。
よく車のCMで街や大自然の中を走り回る映像が映りますが、これを撮影するには実際に動かせる車が必要だった訳です。
しかし、Unreal engineで高画質なCGを描き出せば、わざわざ実物を用意しなくてもCG合成でこうした映像を作る事ができます。
「本当にそんな事が出来るの?」
疑問に思うのは当然ですが、侮るなかれ。
現在のUnreal engineはCG書き出し能力も非常に高く、実は映画スター・ウォーズシリーズ等でも利用される*1 など実績は十分です。
あなたが見ているあのCMも、もしかするとUnreal engineで作ったCGかもしれませんよ。

CAD/BIM x Unreal engineのさらなる可能性

CADやBIMデータとUnreal engineの組み合わせは、他にも様々な可能性を秘めています。
中でも注目したいのが、CAD/BIMデータを元にVRコンテンツを作るという利用法です。
例えば、これから家を建てようとしている顧客に対して、VRで出来上がる予定の家の中を見せたり、その時のやり取りを元にその場で細かく設計変更するといった事も出来るようになります。
あるいは、車の内装をVRで顧客に見せ、細かいチューンナップの指定をしてもらうといった使い方もできるでしょう。
さらに、技術的にはこうしたやり取りをネット越しに行う事も可能なので、客側も店に出向くという面倒な作業をせずに済みます。
ネット通販の普及で日頃の買い物の仕方が変わったように、少し先の未来では家や車の買い方も大きく変わっているのかもしれません。

将来的にはゲームなど他コンテンツとのコラボも可能

Unreal engineはゲーム業界の他にも、前述の通り映画やアニメといった映像業界まで幅広い分野で活用が進んでいます。
それが意味するのは、今後異業種のコラボにUnreal engineを活用しやすくなるということです。
例えば、有名なゲームに自社製品を小道具として登場させる際にも、Unreal engineという共通言語があればデータのやり取りは遙かに簡単になります。
「我が社の新車を買ってくださった方は、ゲーム内で同じ車を使える特典をプレゼント」といったキャンペーンだって、Unreal engineを活用すればそう難しいことではないのです。

まとめ

今回は「Unreal engineとBIM&CADの意外な関係」と題して、設計の現場で定番のCADやBIMを切り口に、Unreal engineの活用法や将来性をご紹介しました。
ゲーム開発の為に作られたツールが、本来意図しない分野で活用されているというのは、ゲームに興味がなくとも面白いと感じる方は多いのではないでしょうか?
Unreal engineが異業種に対してどうアプローチを拡大していくのか、今後もその動向に注目していきたいところです。

参考

*1 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1113164.html

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