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産業用制御およびファクトリーオートメーションの世界市場予測から見える次世代テクノロジーの重要性とは

IoTやAIといった最新技術は、デスクワークの効率化や自動化をもたらしてくれるのはもちろん、産業のオートメーション化にも大きく貢献します。近年はDX需要の急激な増加によって、日本だけでなく世界的な市場においても急激な成長が見られるようになってきました。

今回は、2021年7月に発表された市場調査レポートを参考にしながら、ファクトリーオートメーションがなぜ重視されているのかについて、そして次世代の新興技術が果たす役割について、ご紹介します。

目次:
①ファクトリーオートメーションとは
②ファクトリーオートメーションによって得られるメリット
③ファクトリーオートメーションの世界市場予測(2021)
④なぜファクトリーオートメーションが重視されているのか
⑤ファクトリーオートメーションが目指す製造業の未来

ファクトリーオートメーションとは

ファクトリーオートメーション(Factory Automation、FA)は、生産ラインの自動化を進められるシステムのことを指します。生産工場での労働は単純作業であると考えられがちですが、実際には人間の五感をフル活用して業務にあたるため、これまでは部分的な自動化しか実現することはできませんでした。

しかし人工知能やセンサー技術の飛躍的な進歩によって、人間に代わってロボットやプログラムが完全にその役割を代替できるようになりつつあります。常に最高のパフォーマンスができるだけでなく、24時間働くことができるFA導入は、次世代の産業を支える重要な取り組みとして注目されています。

ファクトリーオートメーションによって得られるメリット

ファクトリーオートメーションの導入は、現場や企業に多くのメリットを与えてくれます。具体的にどのような恩恵が得られるのか、ここで確認しておきましょう。

人件費を削減できる

生産工程の完全な自動化は、まず人件費の大きな削減につながるのが特徴です。賃金や保険、人材管理などの負担が人の数が減った分だけ軽減されるので、単純に給与支払いがなくなる以上の恩恵を得られます。

もちろん、ファクトリーオートメーションを実現するためには初期費用も発生するものの、それに見合った成果を中長期的には期待できるはずです。

品質向上につながる

ファクトリーオートメーションは単なるコスト削減効果だけでなく、製造物のクオリティを高める効果も期待できます。人間のスキルに頼った生産ラインの場合、作業員の技術力によって製造物の品質は左右されるので、多少成果物に不良品や品質のばらつきが生まれることは目を瞑る必要がありました。

しかし生産ラインを完全に自動化してしまえば、その品質を最高の状態で維持することができるため、上記のような懸念が生まれることはありません。熟練作業員でなければ実現できない仕上がりの品を、当たり前のように量産できます。

製造にかかる時間を短縮できる

生産ラインを自動化することで、製造にかかる全体の時間を短縮できます。人間には真似できないスピードでの加工や組み立て、検品が行えるので、短い時間で多くの生産量が期待できます。工場一棟あたりの費用対効果を高め、スマートな経営状況を実現可能です。

ファクトリーオートメーションの世界市場予測(2022)

調査会社のグローバルインフォメーションは、2021年7月に産業用制御およびファクトリーオートメーションの世界市場予測を発表しています。調査結果によると、2026年までの予測期間中は年間成長率(CAGR)8.2%で世界市場は成長していくとしており、2021年の1331億米ドルから、2026年には1978億米ドルの規模に到達するとしています*1。

特に大きな成長を期待されているのが、産業用センサー部門です。ワイヤレスセンサー技術の進歩により、IoT活用が世界中の向上において進められており、オートメーションの第一歩として盛んに採用されています。予知保全ソリューションの重要なコンポーネントとしても重宝されているため、今後も大きな需要が予想されています。

なぜファクトリーオートメーションが重視されているのか

ファクトリーオートメーションの構想は以前からもありましたが、ここ数年で大幅な需要の増加が見られました。なぜ今になってFAが重要視されているのか、その理由を見ておきましょう。

人件費の世界的な高騰

一つ目の理由は、人件費の世界的な高騰です。21世紀初頭、日本を含めた先進国は中国や東南アジアといった、物価の安い地域での工場建設を進め、人件費を抑えた生産が主流となっていました。しかしITが世界的に普及したことで、上記のような国々でも急速な経済発展が進み、所得が大幅に増加していったことで、以前のようなコストでの生産が難しくなってきてしまっています。

世界的な格差が是正された結果、人件費の抑制に限界を迎えたことで、多くの企業が自動化による人件費の削減に動いていることがFAの背景にあります。

人口の減少

人件費が高騰しているもう一つの理由は、人口そのものの減少です。後進国では未だ人口の増加や平均年齢の若返りが進んでいますが、日本のような先進国では少子高齢化が進み、そもそも働き手を見つけることそのものが難しくなってきています。今後も人口減少には歯止めがかからないと考えられており、人件費が安くなるという見通しも立たないことから、積極的な工場のFA化が進められています。

グローバル競争の激化

日本では人口減少の結果、国内市場そのものが縮小傾向にあります。そこで各企業では自社の強みを生かしたグローバル市場への進出を目指しています。グローバル市場で求められるのは、高品質であるのはもちろん、生産コストを抑えて手軽に手に入る商品です。どのような層をターゲットとするにせよ、一人でも多くの人に高いレベルの商品やサービスを迅速に提供することは欠かせないポイントで、それには少なからずテクノロジーの力が欠かせません。

ファクトリーオートメーションによって、世界に通用する高いレベルの事業を実現する必要があります。

ファクトリーオートメーションが目指す製造業の未来

ファクトリーオートメーションを実現することで、製造業はどのような業界へとシフトしていくのでしょうか。FAによって実現する将来について、その展望を確認しておきましょう。

完全自動化された生産ラインの実現

現状、ファクトリーオートメーションはあくまで人間の作業員のサポートという形で一部業務の自動化に留まっているケースがほとんどです。しかし最終的には、多くの工場で完全無人の生産ラインが標準化していくと考えられます。すでにいくつかのハイテク工場ではロボットが生産ラインを支え、人間がロボットのメンテナンスやサポートをするという、立場の逆転が進んでいる様子も見られます。

今後はこういった生産ラインの管理やメンテナンスもほぼ自動化され、人間が介在しない工場が主流になっていくでしょう。

導入コストを抑えて広く普及できるマーケットの登場

ファクトリーオートメーションの懸念点は、導入には莫大な設備投資が必要という点です。しかし今後はAIやロボットのユニット価格も市場競争によって低下していき、手頃に導入できるモデルの登場も進んでいくと考えられます。導入費用を抑えてFAを実現できるようになれば、いよいよ工場の無人化が本格的に進んでいくはずです。

おわりに

ファクトリーオートメーションは、少し前までは未来の技術と考えられてきました。しかし近年のAI開発の進展や、人件費の急速な高騰によって、工場の自動化メリットが急激に大きくなりつつあります。今後10年でスマートな自動化を遂げた工場は世界中で普及し、主流の生産システムとして有人工場からシフトしていくでしょう。

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*1 グローバルインフォメーション「市場調査レポート: 産業用制御およびファクトリーオートメーションの世界市場 (~2026年)」https://www.gii.co.jp/report/mama1019846-industrial-control-factory-automation-market-by.html

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