日本未上陸のApple Card Familyとは?アメリカのお金事情もご紹介します
この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
1.Apple Cardの基本情報
2.Apple Card Familyの基本情報とメリット
3.アメリカが重視するクレジットカードヒストリーについて
Appleが提供しているApple Cardが、Apple Card Familyとして新しいサービスを発表しました。AppleはApple Card Familyのリリースによって子どものクレジットカード制限だけではなく、お金の勉強もできるように考えています。
この記事ではApple Card Familyの概要やメリットを始め、アメリカのクレジットカード事情についてもご紹介します。
米国でリリースされたApple Card Familyとは
日本未上陸のApple Card Familyは、2019年にリリースされたApple Cardの新しいプランです。Apple Cardと新登場したApple Card Familyについて、基本情報から解説します。
Apple Cardは2019年3月に発表
Apple Cardは、Appleがリリースしているクレジットカードです。アメリカの大手投資銀行ゴールドマン・サックスとマスターカードが共同開発したクレジットカードで、アメリカ居住者向けにリリースされました。このApple Cardのリリースによって、Appleはクレジットカード業界に参入を果たしています。
マスターカードが開発に関わっているため、マスターカードが使える店舗やWebサイトであればApple Card Familyによる決済も可能です。またApp StoreでApple Card FamilyによるApple Pay決済をすることで、3%のキャッシュバックを受け取れます。(※1)
Apple Card Familyは非接触系の決済サービス「NFC」を搭載しており、セキュリティが堅牢である点も魅力です。(※2)
2021年4月20日にApple Card Family発表!ファミリーで利用可能に
2021年4月、AppleはApple Cardを家族や友人と共有できるApple Card Familyを発表しました。13才以上なら、Apple Card FamilyによってApple Cardを共有できるようになります。(※3)
Apple Card Familyは、以下の2つの権限を持つ構成となっています。
・共同所有者…18歳以上のユーザー。アカウントと同等の権限を持つ。
・参加者…13歳以上の家族やパートナーが、共同所有者が決めた上限内でApple Cardを利用できる。最大5人まで追加でき、カード利用履歴は共同所有者の履歴に統合される。
Apple Card Familyでは、Familyが使ったすべてのクレジットカード履歴が共有されます。いつ・何を買ったかが明らかになり、参加者の意思で隠すことはできません。またApple Card Familyで取引する度に所有者(親アカウント)にアラート送信が飛び、購入を承認するか連絡が来ます。つまりApple Card Familyによって、親アカウントは参加者のクレジットカード利用をコントロールできるのです。
また年会費や支払遅延が発生した際の手数料、上限超過手数料はありません。手数料が発生しないので、大変持ちやすいクレジットカードといえるでしょう。
子どもはお金の勉強ができる
Apple Card Familyが優れている点は、単に子どものクレジットカード利用を制限できるだけではありません。クレジットカードの利用体験を通して、子ども達はお金の使い方を学ぶことができるのです。
Appleは上記の点を非常に重視しており、子どもに自分の責任でもって「支払う」という行動について学ばせることを考えています。親の保護のもとでクレジットカードを利用できる点は、子どもにとって大変有益な経験となります。
「Wallet」からApple Cardを共有することで、所有者はFamilyに追加したメンバーが何にいくら使っているかを一目で確認できます。この履歴はクレジットヒストリーといって、Familyメンバーの全員が協力して、滞納や遅延がないクリーンな履歴を築いていくのです。
現代ではキャッシュレスが進み、クレジットカード情報があれば誰でもWebで決済できてしまいます。Apple Card Familyで親が利用を制限できれば、子どもの間違った利用を正してトラブルを回避することにつながります。
物理カードがあるもキャッシュレス決済を想定
Apple Cardは、本来iPhone向けのクレジットカードとして登場しました。つまりiPhoneやApple watchといったデバイスを介しての利用を想定しています。
しかしながら、Apple Cardは物理カードも用意されています。シルバー一色のチタン製で、Appleらしい無駄のないスタイリッシュなデザインはとても魅力的です。
マスターカードと共同開発していますが、物理カードのロゴはAppleのリンゴロゴだけです。カード番号の印字もなく安全でプラスチックよりも重量感のあるカードは、Appleらしい高級感があります。
Apple Cardは日本未上陸ですが、「カードだけでも欲しい!」という声も少なくありません。
日本の親も困惑!増える子どもの課金トラブル
Apple Card Familyは子どものクレジットカード利用を制限できる点が大きなメリットで、Appleがアピールしている点でもあります。
日本でも、子どものクレジットカード利用におけるトラブルは増えています。特に自粛期間によって子どもがゲームをする機会が増えたことにより、親が知らない間に高額課金をしていたというケースは決して少なくありません。(※4)
万が一子どもが親のクレジットカードを利用して高額課金をしてしまった場合、以下の場合であれば全額負担を免れることもあります。(※5)
・親の承諾を得ていない場合
・子どもが支払える範囲を大きく超えている場合
・契約時の年齢に虚偽がない場合
子どもによる高額課金が発生したら、まず消費者センターに相談してみます。契約を取り消してもらえるケースもあれば、ゲーム会社と直接交渉して全額負担を免除してもらうケースもあるようです。
中高生になると、子どもはどんどん親の目の届かない範囲で遊び始めます。親子のコミュニケーションも薄くなり、親が知らない間にクレジットカードを利用してしまうケースは決して珍しい話ではありません。
Apple Card Familyであらかじめ制限ができていれば高額利用されるリスクもなく、使うたびに通知が来るので安心ですね。2021年6月時点ではまだ米国のみのサービスなので、早く日本にも進出してほしいものです。
アメリカで重視される「クレジットヒストリー」
AppleがApple Card Familyをリリースした背景には、子どもにクレジットヒストリーの構築方法を勉強してほしいという思いがあります。クレジットヒストリーとは支払履歴の事で、これを元にクレジットスコアを算出します。このクレジットスコアは、実はアメリカでは非常に重要なものなのです。
クレジットスコアは個人の信用度を表す数字で、ある意味偏差値のような意味があります。つまりスコアが低ければ信用度が低く、日常のあらゆるシーンで影響が出てしまうのです。
住宅ローンや借入はもちろん電気やガスの契約、アパートの入居審査にまでクレジットスコアを調査されます。もしスコアが悪いと、多額の補償金を要求されたり入居を拒否されたりすることがあるのです。(※6)
アメリカは日本よりもクレジット大国で、コーヒー1杯もクレジットカードを使う文化があります。AppleはApple Card Familyで経済基盤を得ると同時に、子どもにクレジットヒストリーの重要性や構築する方法を学んでほしいという「お金の教育」という観点を持っているのです。
日本の「お金の教育」は始まったばかり
日本は海外に比べ、子どもに対するお金の教育が遅れているといわれています。
金融リテラシーを測る試験においてもその大きな差は出ており、共通問題の正解率はアメリカが53%に比べて日本は47%と、6%も低い結果が出てしまいました。さらにフランスが72%、英国が63%となっており、日本は先進国の中でも大きく遅れていることがわかります。(※7)
日本ではお金=汚いものという意識が根強く、お金の話がタブー視されることが影響しているのでしょう。しかしお金は生きていくうえで必要なものであり、日本でもついに義務教育にお金の教育が導入されることとなりました。
2022年度からは、家庭科の授業で「資産形成」としてお金の学習が始まります。日本でもキャッシュレスが進んでいますから、Appleのように家族でクレジットカードの管理ができるサービスが始まるかもしれませんね。
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参考サイト:
※1 https://www.apple.com/apple-card/
※2 https://diamond.jp/articles/-/258077?page=2
※3 https://forbesjapan.com/articles/detail/40974
※4
https://www.tokyohelpdesk.metro.tokyo.lg.jp/consult/jirei/ryoukin.html
※5 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO84190470Q5A310C1PPE001/
※6 https://www.us-lighthouse.com/life/daijiten/credit-score.html
※7 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68943