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Scaniverseとは?注目の背景やLiDARとの関連性を解説

最新の視覚技術の開発や、その普及に一役買っているのが、スマートフォンです。スマホは小型ながらも最先端の技術が詰まったデバイスであるため、ARやVRといった視覚体験を提供する上では重要な媒体と考えられています。

この記事ではそんなスマホから利用できるアプリ「Scaniverse」が注目を集めている理由や、最先端の位置情報特定技術であるLiDARとの関係について、紹介します。

目次:

  1. Scaniverseとは
  2. さらに使いやすくなったScaniverse
  3. LiDARとは
  4. LiDARの主な用途
  5. ScaniverseとLiDARの普及で何が変わるのか

Scaniverseとは

Scaniverseは、アメリカのNiantec社が買収した3Dスキャンアプリで、手元のiPhoneカメラをオブジェクトにかざすだけで、3Dデータとしてスキャンしてくれるサービスです。

3Dモデルは近年その運用機会が急速に増えており、ARやVRにも不可欠なオブジェクトです。通常は専用のスキャンソフトやマシンを使ってオブジェクトを撮影し、データを取り込む必要がありますが、Scaniverseを使えば、iPhoneだけで簡単に3Dモデルを取り込むことができます。

3Dモデルは自分で一から生成するという方法もありますが、それだと時間がかかってしまうだけでなく、個性を出すことも難しい問題を抱えています。一方で3Dスキャンは便利でディテールにもこだわれるものの、機器を揃えたり空間をセッティングしたりする負担がデメリットとされてきました。

そんな常識を変えることになったのがScaniverseで、専用の機器も場所も必要とせず、iPhoneカメラを対象物に向けるだけで、即座に3Dデータへと変換することができます。

さらに使いやすくなったScaniverse

ScaniverseはiPhoneを使って簡単に3Dモデルを生成できることが大いに注目されていましたが、運用においては課題もありました。というのも、Scaniverseは全てのiPhoneで利用できるサービスというわけではなく、光学観測システムのLiDARを搭載している新型のiPhoneでなければ、正しく動作しなかったのです。

LiDARについてはこの後詳しく解説しますが、ScaniverseはiPhoneに搭載されたLiDARを有効活用するためのアプリであるため、スマホであればなんでも良いわけではありません。少なくともiPhone Pro 12以上の新型モデルでなければ、運用ができなかったのです。

しかし、2022年9月よりその仕様が変更され、なんとLiDARを搭載していないiPhoneでも運用が可能となりました。これが実現したのは、Niantic社が開発しているManyDepth技術を採用したことが背景にあります*1。

ManyDepthは、2Dの画像から3Dの奥行きを推測するという技術で、カメラを動かしながら空間や物体をスキャンすれば、AIによって正確な3Dモデルが生成されます。「ポケモンGO」などの大人気ARアプリを開発してきた経緯もあり、それらを進化させるべく、Nianticではスマホカメラを用いた3D技術の研究を進めています。

今回のScaniverseの大型アップデートも、そんなNianticの技術があったからこそ実現した成果であると言えるでしょう。旧型のiPhoneを使用している消費者や、大量に旧型iPhoneを導入している法人において、積極的なスキャニング技術の活用が期待できます。

LiDARとは

ScaniverseはNianticの独自技術によって、汎用性の高いサービスへとアップデートすることができました。しかし、スマホカメラでオブジェクトをスキャンするだけで、容易に3Dモデルが生成できる技術は、決して単純なものではありません。

従来のScaniverseを支えていた技術が、上でも少し触れたLiDARと呼ばれる技術です。LiDARは(Light Detection And Ranging)の略称で、光線を使った物体検知と測距が行える最新の光学技術です。

LiDARは対象に対して不可視光線を照射することで、瞬時にオブジェクトの形状や距離を計算し、数値情報はもちろん、具体的な形状を表現することができます。光を用いるので、電波などとは異なり瞬時に対象のオブジェクトに到達し、即時計算でリアルタイムの測距情報を取得できます。

ただ、雨や霧といった、光を乱反射させる天候にやや弱いというデメリットがあるため、運用状況が限られるケースもあります。とはいえ、従来のレーダー技術よりもはるかに正確な物体の特定が可能であったり、瞬時に情報を得られたりすることから、極めて将来性に優れる技術として注目を集めています。

LiDARの主な用途

LiDARが注目を集めるきっかけにもなったのが、自動運転車への導入です。自動運転技術は、繊細なドライビングをAIが再現する点もさることながら、実現困難な領域として知られているのがAIの空間認識能力の獲得です。

車の運転においては、瞬時に状況を判断し、運転に反映させる必要があります。しかし従来の技術では、センシングによる状況把握とAIの状況判断の2つの工程に時間がかかり、まともに運転をすることはかないませんでした。

そこで導入されたのが、LiDARです。LiDARは即時に情報を取得できる光線を使って周囲の状況を取得するので、まず情報取得のスピードを大きく改善するのに役立ちました。また、周囲のオブジェクトの形状や距離も極めて正確に把握できるため、1センチ単位での車のコントロールにも反映できるような、ドライビングの根拠となる情報を提供できます。

現在、自動運転においてLiDARは欠かせない技術となっており、LiDARセンサーやカメラを複数台搭載し、全方位の状況確認を行える車両の開発が進んでいます。

ScaniverseとLiDARの普及で何が変わるのか

ScaniverseやLiDARといった技術は、いずれも立体物や空間の把握に大きく貢献しています。今後これらの技術が普及すれば、現実世界のセンシングが向上し、より安全で精度の高い乗り物の開発や、インフラの整備が進むでしょう。

また、極めて正確に現実世界を3Dモデル化できることで、メタバースのような仮想空間の充実にも期待ができます。建設業や製造業などにおける3D活用も、より身近になるはずです。

まとめ

この記事では、Scaniverseの仕組みや役割、そしてこのアプリがどのような進化を遂げているのかについて、解説しました。Scaniverseはスマホだけでオブジェクトをスキャンし、3Dモデルを生成できますが、Nianticの独自技術を採用し、利便性が向上しています。

また、Scaniverseで採用されていた光学技術のLiDARは、近年自動運転にも採用されているほど信頼性の高い、次世代の認識テクノロジーとして注目を集めています。これらの技術が広く社会に普及すれば、現実世界の安全性向上はもちろん、仮想空間の充実や3D技術の更なる進化にも期待できそうです。

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参考:

*1 ケータイWatch「3Dスキャンアプリ「Scaniverse」がiPhone XS以降で利用可能に、LiDAR非搭載でもOK」
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1440218.html

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