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OpenAIとGoogleが公開した生成AIの技術報告書の内容とは?文書にみる今後の展望

生成AIは現在、世界で最も多くの人が注目する先端技術の一つですが、そのトレンドをリードする組織がOpenAIとGoogleです。両者は先日それぞれの生成AIに関する技術報告書を公開しましたが、十分な情報共有が行われておらず、肝心の技術分野については非公開事項も少なくありません。

この記事では、そんなOpenAIとGoogleが公開した生成AIに関する技術報告書の内容や、なぜ報告書が非公開であることに注目が集まるのか、そして今後の展望について、解説します。

目次:

  1. OpenAIとGoogleが手掛ける生成AIについて
  2. OpenAIとGoogleが公開した技術報告書の内容
  3. 非公開の内容に注目が集まる理由
  4. OpenAIとGoogleの動向に見る今後のAI開発の展望

OpenAIとGoogleが手掛ける生成AIについて

OpenAIとGoogleは、それぞれ異なるAIを開発している大手組織です。OpenAIが手掛けるのは「ChatGPT」で、2022年の生成AIブームの火付け役としても広く知られています。

最近ではChatGPTの一般公開やプラグイン開発環境の提供に伴い、個人利用や企業におけるサービスへの導入なども広く進み、生成AIの代名詞として知られるようになってきました。

一方のGoogleは、検索エンジンでお馴染みの世界最大のIT企業ですが、近年はAI開発にも力を入れています。特に同社が発表したオリジナルのAI「Bard」は、ChatGPTほど広く普及は進んでいないものの、同等のパフォーマンスを発揮するとともに、膨大なデータベースを持つGoogleというブランドから、そのポテンシャルに注目が集まる企業です。

いずれのAIも両者が独自に開発している生成AIであり、似たような機能や性能を持っていることから、今後どのように技術的な優劣がついていくのか、どんな点に強みを持ち、枝分かれが進むのかということに、多くの人が注目しています。

OpenAIとGoogleが公開した技術報告書の内容

このように、生成AIの分野において同時期に注目を集めているOpenAIとGoogleの両者ですが、2023年には両者の最新の生成AI開発の動向に関する技術報告書が発表されました*1。

まずOpenAIが発表した技術報告書では、同社が手掛ける最新のAI「GPT-4」のパフォーマンスに関する報告が注目を集めています。報告書によると、GPT-4は高度な読解力などが問われる司法試験に上位合格できる水準に達した上、画像に描かれている内容を細かく説明できることが例として挙げられているのが特徴です。

一方のGoogleが公開したBard開発にも採用している言語学習モデル「PaLM2」に関する報告書では、日本語を含めた多様な言語への対応が実現したことを紹介しています。また、GPT-4とPaLM2の性能を比較させた結果についてもその一部が紹介されており、ある質問集に対する回答ではPaLM2が勝ったが、科学に関する質問集ではGPT-4が良い成績を抑めたということです。

ただ問題となっているのは、いずれのAIの技術報告書についても両者の優位性を決定づけるほどの情報量が記載されておらず、これだけでは資料としては不十分という点です。

また、双方の調査報告書ではわかりやすい成果については例示されているものの、性能を決定づけるパラメーターなどの情報については公開されておらず、研究報告書としての価値は低いという点も問題視されています。

非公開の内容に注目が集まる理由

OpenAIとGoogleが発表するAI開発に関する技術報告書は、世界中のAI研究者が注目している重要なレポートでもあります。しかし上で紹介した、2023年時点で発表されたものは非公開となった部分も多く、情報の量や質の面でその期待に応えられるような内容ではありませんでした。

両者の技術報告書に多くの研究者や関係者が注目を集める理由として、そもそもこれらのレポートの発表は世界に研究結果を共有し、世界全体で技術的な発展を推進することが目的だからです。にもかかわらず、今回公開されたレポートはAI開発における肝心な部分の情報共有が行われておらず、研究レポートとしての価値は相対的に低いとみなされています。

もちろん、このような技術報告書はあくまで「研究レポート」であるため、公式の「論文」ではないことから情報の透明性などが厳しく追求されることはありません。とはいえ、研究者視点で見ればこのような非公開情報の多い研究レポートは信憑性にかけ、世界的なAI研究の進歩に対する貢献度は低いことから、不満を漏らす声が多いのも納得がいきます。

このような情報の薄い報告書が公開されることになった背景には、AI開発競争の激化が考えられるという声もあります*2。もはやAIは世界で情報を共有しながら開発するのではなく、企業間で競争ができるレベルの技術となり、重要な時期であるからこそ肝心な話は迂闊にはできないという考え方です。

AI開発は最先端技術ですが、すでにOpenAIやGoogle以外にも、複数の企業が独自に開発を進め、実用化を推進しています。AI開発は自動車の開発やスマホの開発と同様に、もはや悠長に情報を共有している場合ではないほどに普及した技術となっているのかもしれません。

OpenAIとGoogleの動向に見る今後のAI開発の展望

OpenAIとGoogleは生成AI開発と普及の先駆けとして知られていますが、AIを一から開発し、普及に向けて動いているのはこの2社だけではありません。この2社は機密性に重点を置いた開発プロセスを採用していますが、その真逆とも言える、オープンソースによるAI開発を、Metaは推進しています。

FacebookやInstagramを運営するMetaは、オープンソースの大規模言語モデルである「LLaMA」を公開しています。現状、非営利の研究目的でのみ運用可能としているものの、アクセスする全てのユーザーに対して高度なAIを提供することで、膨大な数の試行錯誤やフィードバックによる修正対応を実現しているのが強みです。

すでにLLaMAを使用した一部のチャットツールについてはChatGPTやBardに劣らない品質を達成しており、今後のさらなる発展にも期待がかかります*3。

情報の機密性は企業の利益を担保する上では重要ですが、技術的な開発スピードについては、オープンソースのプロジェクトが上回る可能性もあることにも、今後は注目すべきでしょう。

まとめ

この記事では、OpenAIとGoogleが発表した生成AIに関する技術報告書について解説しました。いずれの報告書もその内容は簡単なものにまとまっており、細かな技術的要件については非公開となっています。

非公開情報が増えるのはAI開発競争が激化していることをほのめかす事実でもあり、両者の今後に注目したいところですが、一方でオープンソースでのAI開発プロジェクトもMetaでは進んでいます。

どの企業の生成AIが優位に立つかはまだわかりませんが、AI開発のあり方が多様になっていることを示す、興味深い動きと言えるでしょう。

 

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参考:

*1 日本経済新聞「OpenAIとGoogle、生成AI「手の内」明かさず 技術報告書」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC016A20R00C23A6000000/

*2 上に同じ

*3 AXION「オープンソースのゲリラ勢がAI開発競争でGoogleとOpenAIを圧倒する?」https://www.axion.zone/32097116453/

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