AutoCADを使ったPDF読み込みのやり方は？運用のポイントを解説

世界で最もポピュラーなCADソフトの一種であるAutoCADは、外部からデータを取り込んだり、逆にAutoCADから外部にデータをエクスポートしたりをうまく行うことで、生産性向上に役立ちます。

この記事では、そんなAutoCADを使ったPDF読み込みのやり方について解説しつつ、PDFをAutoCADから出力する方法にも触れて紹介します。

目次：

1. AutoCADでPDFを読み込む方法
2. AutoCADでPDFをDWGファイルに変換する方法
3. AutoCADでPDFから文字や図形情報を読み込む方法
4. AutoCADからPDFを出力する方法
5. Adobe Acrobatを使ってPDFを出力する方法

AutoCADでPDFを読み込む方法

まずは、一般的なAutoCADを使ったPDF読み込みの方法を確認しましょう。AutoCADを使ってPDFファイルを読み込みたい場合、

1. [挿入]タブを選ぶ
2. [読み込み]パネルを選択する
3. [PDF読み込み]をクリックする

という手順で読み込みを行えます。[挿入]タブからPDF読み込みに辿り着けることに気付けないと、PDF読み込みができないのではと勘違いしてしまう方もいるかもしれません。アプリケーションメニューの[読み込み]から[PDF]というやり方もシンプルで便利です。

また、AutoCADを使ったコマンド入力に慣れている場合は、PDFIMPORTコマンドを実行することでも読み込みが行えます*1。

PDF読み込みをクリックすると、[PDFを読み込む]のダイアログが表示されるので、読み込みについてのオプション設定を各種行うことができます。設定できる要素は、

• 画面上における挿入位置の指定、尺度、回転角度の指定
• 読み込むPDFデータの選択（ベクトルジオメトリ・ソリッド塗り潰し・TrueType文字ラスターイメージ）
• どの画層を使って読み込むかの設定
• その他読み込みオプションとして[ブロックとして読み込む]、[線分および円弧セグメントを結合]、[ソリッド塗り潰しをハッチングに変換]、[線種プロパティを適用]、[同一直線上の破線から線種を推測の設定

といったものです*2。読み込みオプションについては、後の項でも詳しく解説します。

AutoCADでPDFをDWGファイルに変換する方法

AutoCADではPDFファイルをただ読み込むだけでなく、DWGファイルに変換して運用することができます。DWGファイルはAutoCADをはじめとするCADソフトを利用する際に頻繁に用いられる変換形式で、非常にポピュラーです。

実は、PDFファイルをAutoCAD上で上記の方法で読み込んだ時点で、PDFファイルはDWGに変換されています。読み込んだ情報をそのまま保存することで、DWG形式で運用できます。

ちなみにPDFファイルをDWGに変換する機能は、AutoCAD2017以降から実装されている機能です。それ以前のバージョンのAutoCADを使用している場合、AutoCADではない外部のツールを使って変換する必要があるため、注意しましょう。

AutoCADでPDFから図形情報や文字を読み込む方法

AutoCAD上でPDFファイルを読み込んだ際には、文字や図形情報を別個に読み取ることも可能です。まず、PDFに内包されている図形・画像といったラスターイメージについては、PNGファイルとしてAutoCADでは展開され、データは[オプション]ダイアログの[ファイル]タブを選択したところにある[PDF読み込みイメージの場所]に格納されます。

またPDFファイルの文字情報についてですが、テキストがTrueType文字で書かれている場合、AutoCAD読み込みの際にはマルチテキストオブジェクトとして変換されます。また、SHX文字についてはマルチテキストオブジェクトではなく、ポリラインでの読み込みとなります。

AutoCAD2018以降では、SHX文字もジオメトリを認識し、マルチテキストとして読み込むことが可能です。SHX文字認識機能を使う場合、

1. [挿入]タブを選択する
2. [読み込み]パネルを選ぶ
3. [SHX文字認識]をクリックする

で実行できます。コマンドを使って実行する際には、PDFSHXで実行可能です。注意点として、SHX文字認識機能はビッグフォントを使用した日本語には対応していないため、別の方法で対処しなければなりません。

また、AutoCAD2018以降ではマルチテキストオブジェクトとして認識される文字列を、複数行のマルチテキストオブジェクトとして結合することも可能です。やり方は

4. [挿入]タブを選択する
5. [読み込み]パネルを選ぶ
6. [文字を結合]をクリックする

で実行、あるいはTXT2MTXTコマンドの入力で実行可能です。一行ずつテキストを処理しなくとも、複数行のテキストをまとめて処理できるため、生産性向上につながるでしょう。

AutoCADからPDFを出力する方法

AutoCADはPDFを読み込むだけでなく、逆にPDFファイルを出力することも可能です。PDFに出力する方法は複数あり、主に

• [印刷]の実行
• [バッチ印刷]の実行
• [PDF書き出し]の実行

の3つが挙げられます。

まず[印刷]機能を使う場合ですが、これは紙面への印刷を実行するにあたって、図面を一度PDFに変換するという工程を経ることを利用したものです。複雑な操作は必要ありませんが、やや効率性に欠ける方法のため、大量のPDF変換を求める際には不向きです。

[バッチ印刷]機能は、複数の図面を一枚のPDFファイルに落とし込むことのできる、便利な機能です。図面を一枚にまとめてしまいたい際に活躍しますが、あらかじめページ設定を完了させておく必要があります。

[PDF書き出し]機能は、その名の通りPDFファイルを作成するための機能です。上記とは異なるダイアログボックスに設定されているので展開が手間ですが、最もスタンダードな方法と言えるでしょう。

Adobe Acrobatを使ってPDFを出力する方法

AutoCADで作成したDWGファイルは、AutoCADではなくAdobe Acrobatを使ってPDFファイルに変換することもできます。

Acrobatを開き、[PDFを作成]からオプションメニューを展開し、[単一のファイル]を選んで[ファイルの選択]に移動します。あとはDWGファイルをアップロードして[作成]をクリックすれば、PDFファイルへ変換は完了です。

普段からPDFファイルをよく使用しており、Acrobatのお世話になっているという場合には、こちらの方法だとAutoCADを持っていなくとも変換できるので便利でしょう。

まとめ

この記事では、AutoCADを使ったPDF読み込みのやり方と、それに付随する便利な機能を紹介しました。AutoCADを使っていると情報共有のためにさまざまなファイル形式が飛び交うため、その変換作業に手間がかかることもあります。

それぞれの状況に最適な変換方法を覚えておくと、生産性向上に役立つでしょう。

　

　

参考：

*1 Autodesk「AutoCADのヒントとコツ #2：PDFの読み込み」

https://autocadresources.autodesk.co.jp/home/autocad-tips-pdf-import#

*2 上に同じ