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xROADとはどんな技術?道路のDXへどのように貢献するかを解説

建設土木関連のDXは急速に普及していますが、近年日本で注目を集めているのが道路のDXです。道路工事や日々の交通に関する情報をデジタル化し、有効活用できるようになることは、高度な交通網を育んできた日本にとって、大きな意味を持ちます。

この記事では、そんな道路DXの鍵を握るとされるxROADと呼ばれる技術について、その仕組みや活用の未来を解説します。

目次:

  1. xROADとは
  2. xROADの基盤となる技術
  3. 期待されるxROADの活用方法
  4. 無料公開された基礎DBとは
  5. xROADに今後期待できること

xROADとは

xROAD(クロスロード)道路関連の構造物や、日本の交通量に関するデータをリアルタイムで収集することのできる、次世代のデータプラットフォームです。国土地理院の地図や全国のデジタル道路地図と紐づけることで、さまざまなデータをAPI連携によって有効活用するための土台となれる可能性が期待されています。

道路利用に関するサービスは、その膨大な情報量からこれまでシームレスに必要な人へ必要なデータを伝えることが難しかったり、データ利用に制限があったりと、うまく活用できる仕組みづくりが行われてきませんでした。

そこでxROADを開発し活用することで、既存のデータをフル活用しながら今までよりも安心かつ安全な道路利用ができるようになります。全く新しい技術を新たに道路に付与するというよりも、データ活用体制を整備し、データの有用性を高めるテクノロジーと言えるでしょう。

xROADの基盤となる技術

xROADの特徴と言えるのが、多くの測量技術やデータベースから得られた道路情報をもとに、極めて正確で十分な情報量を確保している点です。xROADに採用されている主な技術としては、

  • 全国デジタル道路地図データベース(DRM-DB)
  • 国土地理院地図
  • モービルマッピングシステム(MMS)
  • 航空レーザー測量(LP)
  • 道路基盤地図情報

などが挙げられます。全国デジタル道路地図データベースは、道路の要素をコンピュータが理解できるように作成された地図データです。日本デジタル道路地図教会(DRM)が作成したこのデータは、カーナビシステムの開発などにも使われています。

モービルマッピングシステムとは、三次元の計測システムとカメラを車に搭載し、座標データと連続撮影されたカラー写真によって、一人称視点から見た現場の正確な写真と位置情報をリンクさせる技術です。Googleマップなどでも使われている手法で、全国の様子を正確に把握できます。

航空レーザー測量は、航空機に搭載したレーザースキャナを使い、地上の座標や標高、地形などを調べる方法です。また道路基盤地図情報は、1/1,000の縮尺で道路構造を表現するGISデータで、国土交通省が公開しています*1。

xROADはこれらのデータベースを活用し、3Dプラットフォームを構築しました。ここに最新の点検情報やBIM/CIMデータを随時更新し、新鮮な情報をリアルタイムで提供できるよう運用していくことで、日本全国の交通安全や利便性向上につながるサービスに繋げます。

期待されるxROADの活用方法

xROADが開発されたそもそもの目的は、道路交通に関する情報を可視化し、より便利で安心して利用できる環境を実現することです。

xROADの特徴は、API連携によってさまざまなアプリケーションの開発を高いレベルで進められる点にあります。民間・行政を問わず利用できる道路管理アプリの開発や、道路の混雑度を高い精度で把握できるマップアプリ、通行時に注意が必要なヒヤリハットマップ、災害時に通行可能なルートを示すマップなど、正確な道路情報を活用した多くのサービスに役立てられるでしょう。

xROADは基本的に道路管理業務を担う行政サービス向けに開発されたプラットフォームですが、将来的には広く開かれた民間向けのデータ解放も視野に入れています。データの一般公開により、国内のオープンイノベーションを活性化し、誰も想像していなかった、新しいプラットフォーム活用の可能性も開拓していきたいとしています。

無料公開された基礎DBとは

このようなオープンイノベーションの展望に先駆けて、国土交通省は2022年5月にxROADのデータベースとしても採用されている全国道路施設点検データベース(DB)の一部無料公開を開始しました*2。

これは全国の道路施設の諸元、および点検結果などを一覧で表示するシステムで、今回公開されたのは「基礎DB」と呼ばれる領域のデータです。公開されたデータの中には橋梁約72万橋、トンネル約1.1万本、シェッド約3000本、カルバート約9000基、横断歩道橋約1.1万橋など膨大かつ重要性の高いデータが含まれており、道路の損傷状況や点検時の判定区分が付与されています。

この時点での点検データベースは一部情報の公開に留まっていますが、残りのデータについても2023年3月より公開が始まっています。トンネルの施工方法や横断歩道橋の昇降形式、舗装時の種別など、より詳細のデータを記録したデータベースが公開されており、さらなる道路DXの推進が期待されます*3。

また、こちらのデータについては無料ではなく有料での公開になっており、誰でも利用できるというわけではありません。基礎DBでは情報が不十分と感じた場合、活用するのが良いでしょう。

xROADに今後期待できること

xROADは道路DXを支えるデータプラットフォームとして期待されており、すでにそのデータ基盤の一般公開も進みつつあります。xROADの普及と有効活用が進むことで、一番に変化を体験できる分野としては、舗装や修復工事の品質向上やスピード改善があるでしょう。

施工維持管理に有人での点検の必要性が相対的に下がることで、効率よく舗装計画を立て、正確な工事を進めることが可能です。トンネルや橋梁などの大型建造物についても、今後数十年はxROADの活用により、点検や補修工事の品質が向上し、より長い耐用年数を実現したり、安全に利用できたりするようになるでしょう。

まとめ

この記事では、xROADの仕組みやデータ基盤、そして道路DXにおいてどのような役割を果たすのかについて、解説しました。xROADは多くのデータソースに基づいて開発されたプラットフォームであり、より安全で効率的な道路管理を実現する上で期待されている技術です。

近年はデータ基盤の一般公開も進み、民間企業も交えたオープンイノベーションの機会も現れつつあります。xROADの活用が進めば、日本の優れた交通網はさらなる飛躍を遂げ、流通サービスの向上などにも良い影響を与えるはずです。


 

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参考:

*1 国土交通省国土技術政策研究所「道路基盤地図情報について」

https://www.its-jp.org/wp-content/uploads/2010/08/5_kokusouken.pdf p.1

*2 日経XTECH「道路のDX「xROAD」が本格化、まずは点検データを公開」

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02080/060900006/

*3 空間情報クラブ「道路DX|国土交通省、xROADで道路点検データ公開」

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