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Meta独自開発のAI半導体「MTIA」とは?開発の背景や特徴を解説

InstagramやFacebookの運営、さらにはメタバース領域の研究開発で知られるMeta社は、AI分野での開発競争においても存在感を発揮しています。

特に近年はAI向けのハードウェア開発にも力を入れており、他社との差別化において重要な変化をもたらす要素であるとして、一層の投資を行っています。そんな同社が新たに開発した半導体の「MTIA」は、AI活用をより高いレベルに引き上げる可能性があり、その特徴について把握しておきたいところです。

この記事では、Metaが新たに発表したAI半導体のMTIAについて、開発の背景やその強みを紹介します。

目次:

  1. AI半導体「MTIA」とは
  2. MTIA開発の背景
  3. MTIAの主な強み
  4. MTIAの登場で何が変わるのか
  5. MTIAやMetaのAI技術の今後

AI半導体「MTIA」とは

2023年5月、MetaはAIの機械学習をより高速化するべく、自社開発の特化型ASIC(集積回路)「MTIA」を発表しました*1。MTIAは「Meta Training and Inference Accelerator」の略称で、AIのトレーニングを従来よりも素早く実行し、メタバース内におけるAI体験を強化できるとしています。

AIを使ったレコメンデーションシステムをより効率的に機能させることで、ユーザーのフィードへの表示を最適化することを一つの目的としている、第一世代のカスタムチップに定められました。

MTIAの特徴は、並列動作の回路ブロックをメッシュ状に配置したことで、同社のオープンソースフレームワークである「Pytorch」を使用したプログラムの最適化が可能になっている点です。ソフト・ハードの両方が揃ったことで、今後はこれらの技術を組み合わせたAIテクノロジーの発展にも期待できるでしょう。

MTIA開発の背景

MTIAのようなAI半導体の開発にMetaが取り組んでいるそもそもの背景には、他社の半導体やその他ハードウェアへの依存度を下げていきたいという考えがあるためです。

AIは高度な計算処理を必要とする高性能なプログラムですが、近年は各社の開発競争が激化していることで、リソース確保のコストも大きくなっています。少しでもAI開発を効率よく進めるためには、なるべく少ない予算で多くのリソースを確保する必要があり、長期的な利益を考えると自社で開発を進めることは有力な選択肢となってきました。

自社専用のAI半導体を開発することで、自社のサービスに特化した、極めて相性の良いハードを導入し、少ないリソースで最大限のパフォーマンスを得ることもできます。特にMetaはソフトウェアが主軸の会社であっただけに、近年はハードの開発に多大な額の投資を行っています。

MTIAの主な強み

MTIAが他のAI半導体と比較して持っている強みとしては、まずMeta製品との相性が極めて良いことが挙げられます。

上でも触れたように、MTIAはPytorchを使用してプログラムを最適化することが可能な半導体です。同社がFacebookなどに採用している、ディープラーニングを用いたレコメンデーション機能を効率よく運用できる設計になっており、同社サービスのさらなるユーザビリティ向上に大きな貢献が期待できます。

また、負荷の小さいタスクへの処理能力の高さも、他の製品と比べてアドバンテージを持っていることが判明しています*2。負荷が中程度、あるいは高い処理についてはGPUに任せた方が良い結果を残すことができてはいるものの、GPU一辺倒ではなくMTIAも適宜頼れるような環境を構築すれば、リソースの分散やコストパフォーマンスの改善にもつながるでしょう。

現在、MTIAは最適化の最中であり、将来的なパフォーマンスはGPUのそれと同等になるという見通しも立っています。そのため、MTIAはAI開発における主力半導体として、大きな存在感を発揮する可能性も十分にありそうです。

MTIAの登場で何が変わるのか

MTIAの登場で最も期待されるのは、AIパフォーマンスの改善によるMetaが提供するサービスの包括的な向上です。

AI運用に最適化されているMTIAは開発途中のAI半導体であり、リリースそのものは2025年を予定しています。そのため現状では具体的にどのようなことが可能になるかが明らかになっていない部分も多いものの、既存のMetaのAI技術をより効率よく使用することに特化した性能を秘めていることは間違いありません。

MTIAの本格的な量産の開始に合わせて、メタバース関連のハードにも実装されることになれば、高度なAI体験を同社のメタバース空間で得られるようになるでしょう。本格的なメタバース運用を進めている企業の中でAI半導体から自前で賄える企業はそう多くはないため、同社にとっては強力な武器となるはずです。

MTIAやMetaのAI技術の今後

MTIAは単体で大きな力を発揮するというよりも、MetaのAIサービスの開発やメタバース関連のハードウェアの開発と合わせて進め、運用することで効果を発揮する半導体です。

MetaはMTIAと合わせて他にも開発中のプロダクトについていくつかの発表を行っており、AIに最適化されたデータセンターの設計を実現して、液冷AIハードウェアと数千を超えるAIチップを接続する、高性能AIネットワークを構築したいと語っています*3。

また、VODやライブストリーミングの処理に特化したASICである「MSVP」は、同社が有する強力な映像コンテンツニーズに応えるもので、実装により低遅延で高速処理が可能なサービスの提供を可能にすることから注目されている技術です。

現状では他社の半導体やその他ハードウェアに頼りながらAI開発やサービスの提供を進めていますが、将来的にはソフト・ハードの両方を自社で担える体制を構築することになるでしょう。

まとめ

この記事では、Metaが新たに開発するAI半導体のMTIAの概要や、MTIA開発の背景、そしてMTIAの強みなどについて解説しました。

AI開発競争においてはソフト面だけでなく、ハード面での競争力を確保することが不可欠になってきています。Metaは中でもハードウェアの開発に力を入れている企業で、ハード面の懸念が解消されれば、飛躍的な進化を遂げる可能性も秘めています。

世界で最もソフトとハードの両立に成功している企業はAppleですが、肝心のAppleはまだAI開発についての全容は明らかにしていません。

MetaがApple以上の存在感をAI市場で発揮できるかはAppleの出方次第ではあるものの、早期から両立が実現すれば、確かなシェアを獲得できるのは間違い無いでしょう。

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出典:

*1 インプレスWatch「Meta、AI半導体を独自開発 第1世代チップ「MTIA」」

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1501861.html

*2 上に同じ

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