AutoCADを使って面取りする方法は?コマンドの使い方を解説
AutoCADは2Dと3Dの両方に対応している便利なCADソフトですが、多くの機能を備えているため、その一つ一つの使い方を正しく理解しておくことが重要です。
中でも重要性の高い機能の一つに「面取り」と呼ばれるものが挙げられます。この記事では、2D図面設計を行うに際しては欠かせない機能である面取りについて、具体的な方法や関連する機能の使い方を解説します。
目次:
- 面取りとは
- 面取りの種類
- 面取り機能を立ち上げる方法
- コマンドの操作方法
- 覚えておくと便利なツール
- 面取りと合わせて覚えておきたいフィレット機能について
面取りとは
面取りは、図形の角をとって丸くしたり、斜めに切り落としたりする処理のことを指します。多くの場合、プロダクトデザインなどは基本的に角が丸くなった状態で作られていますが、面取りを行わないままで図形を完成とし、組み立てを行うと、鋭利な角が危険をもたらすことがあるからです。
特に木材や金属など、硬度も重量もある材料を使った製品を組み立てる場合、面取りは安全性の側面から非常に重要な手続きとなります。製品を使うだけでケガのリスクが高まってしまうような事態を回避するためにも、面取りは重要です。
面取りは基本的に図面作成の段階で実行するので、2Dだと今ひとつ面取りの重要性について気づきにくいものです。とはいえ実際に組み立ててみると、面取りを行った製品とそうでない製品では安全性が大きく異なることから、組み立て工程を考慮して図面上で面取りを行い、設計の一部として取り扱うことが重要です。
また、柱などに面取り加工を施すことで、挿入がしやすくなるなどの作業効率化や品質向上に役立つ側面がある点も見過ごせません。組み立てやすい設計に仕上げることも、クオリティの追求においては重要です。
面取りの種類
面取りにはいくつかの種類があり、どのように加工するかによって仕上がりが変わってきます。主な面取りの方法としては
- 面取り
- C面取り
- R面取り
の3つがあり、それぞれで異なる仕上げになります。
まず通常の面取りですが、これは角をとりあえず削ってしまうことを指します。角度や大きさを問わない、安全性の確保だけを目的とした面取りであり、手作業で削り取ってしまうことでも成立します。
C面取りは、斜め45度の角度で面取りを行う方法です。角度を決めておくことで面取りの形が均一化され、規則的な仕上げを実現できます。組み立てが発生する部分などに適用しておくと、品質向上につながるでしょう。
R面取りは、角の部分を丸く削ってしまうものを指します。角度のない、最も丸みを帯びた状態で面取りを実施するので、安全性を重視したい場合はR面取りを実施するのが有効です。
このように、目的に応じて各面取りのあり方を別個に使い分けることで、最適な設計に仕上げることができるでしょう。
面取り機能を立ち上げる方法
それではここから、AutoCADを使って面取りを実施する際の方法について解説します。AutoCADを使って面取りを行う場合、その方法は
- ホームタブから立ち上げる方法
- コマンドを入力する方法
の2種類があります。ホームタブから立ち上げる場合、まずはホームタブを選択して「修正」を選びます。すると「面取り」コマンドが「フィレット」や「ブレンド曲線」と合わせて存在するので、これをクリックしましょう。これでツールの利用準備は完了です。
もう一つの方法は、コマンドを直接入力して機能を立ち上げる方法です。コマンドライン、あるいは作図領域で「CHAMFER」と入力すると、ツールを立ち上げることができます*1。日常的にコマンドを入力して立ち上げている場合、こちらの方法の方が楽に感じるかもしれません。
立ち上げ方については使いやすい方で構いませんが、2つの使い方を覚えておくと便利なので、知っておくに越したことはありません。
コマンドの操作方法
続いて、AitoCADの面取り機能を実際に使うための操作方法を解説します。面取りコマンドを使う上では、まず最も基本的な面取りの方法は、面取りツールを立ち上げて、2つの点の距離を指定しながら面取りを実施するものです。
コマンドオプションを展開し「距離」を選びましょう。すると面取りの寸法を2つの辺の距離から指定することができます。距離を指定すると、その間にある線分によって、面取りが実行されます。
面取りを実施した線分も削除したい場合は「トリム」を選択します。これを選ぶことで、元の線分を残すことなく綺麗に仕上げることが可能です。
また、面取りを実行する部分を構成する2つの線分にカーソルを合わせると、面取りを行った場合のプレビューを確認することができます。面取りを実行するとどのような仕上がりになるのかが明らかになるため、意味のない面取りを実行してしまう心配がありません。
仮に面取りがうまくいかなかった場合、実施した作業については一度取り消した上で、再度実行し直す必要がある点も覚えておきましょう。
面取りと合わせて覚えておきたいフィレット機能について
上で紹介した面取りコマンドは、角の部分を斜めに切って面取りを行うための機能です。角に丸みを与えることで面取りを実行したい場合は、フィレット機能を使用します。
フィレット機能は、ホームタブから「修正」を選び、先ほどとは異なり「フィレット」をクリックすることで使用可能です。また、コマンド入力によって「FILLET」と記述することでも、同じ機能を呼び出すことができます。
フィレット機能の基本的な使い方は、先ほど紹介した面取りコマンドとほぼ同じです。直線が交差している部分にフィレットを適用すると、交差している部分が削除され、指定された半径の値に合わせて丸みが与えられ、交差していない部分にはコーナー部分が生成されます。
角のない丸みを帯びたコーナーを作りたい場合には、常時フィレット機能を使用すると良いでしょう。
覚えておくと便利なツール
面取りを実行する場合、覚えておくと便利な機能の一つに、全てのコーナーへ同時に面取りを実行するというものがあります。
例えば四辺形の全ての角に均一な面取りを行いたい場合には、役に立つツールでしょう。
まずは通常通り面取りのコマンドを立ち上げた後、オプションにある「ポリライン」を選択します。それから「2Dポリラインを選択」に沿って、ポリラインを選びましょう。
これで面取りを実行すると、ポリライン上にある角が全て面取りが行われ、一回の操作で完結してしまうことが可能です。面取りの業務効率化につながるので、使いこなしたいツールと言えます。
まとめ
この記事では、AutoCADを使って面取りを実行したい場合の操作方法について解説しました。面取りは質の高い製品設計などを実施する際には欠かせない機能であるため、優先的に覚えておきたい機能です。
使い方への理解を深め、スムーズに操作ができるよう備えておきましょう。
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出典:
*1 Autodesk「ヘルプ」
https://help.autodesk.com/view/ACD/2023/JPN/?guid=GUID-B1DCF991-90A7-4DB0-96FC-BDA3FB76337C