Google Pixel Passが2年足らずで終了。その理由とGoogleの9種類のサブスクをご紹介

2024.03.22

Googleが米国で展開していたサブスクリプションサービスの1つである「Google Pixel Pass」が、2023年8月で終了しました。24回の月額費用を支払えばGoogle Pixelがユーザーの所有となるこのサービスがわずか22か月で終了したことで、多くの人が衝撃を受けています。

この記事ではGoogle Pixel Passのサービス概要やGoogleが説明している終了理由、そして最近のサブスクリプションサービスの動向をご紹介します。

この記事を読むと、以下の3つのことが分かります。
1.Googleが米国で提供していたGoogle Pixel Passの概要
2.Google Pixel Passの終了背景
3.Googleが展開しているサブスクリプションサービスについて

Google Pixel Passが提供から22か月で終了

Googleは2023年8月、PixelスマートフォンとさまざまなサービスをセットにしたGoogle Pixel Passを終了すると発表しました。（※1）Google Pixel Passは月額制サブスクリプションサービスで、「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」の本体がセットになっている点が大きな特徴です。

2021年10月、Pixel 6シリーズを発表したGoogleのイベントで発表されたGoogle Pixel Pass。Pixel 6なら月額45ドル（約5000円）、Pixel 6 proなら月額55ドル（約6300円）を24か月払い続けることで、最終的にユーザーが所有できるというものでした。

さらに、Pixel 6およびPixel 6 Pro本体にはSIMロックがかかっていません。ユーザーが手持ちのSIMカードを使うことができ、Google Pixel Passの利用途中で解約した場合、解約時点で残っている本体代金を一括で支払えばOKというものでした。

Google Pixel Passは当時の最新Pixelスマホをサブスクリプションで利用できるだけではありません。特典として以下のサービスも付属しています。

YouTube Premium…広告非表示・バッググラウンド再生が可能
YouTube Music Premium …広告なしで音楽の視聴が可能
Google Oneのクラウドストレージ200GB
スマートフォン修理の優先補償
Google Play Pass…広告やアプリ内課金なしで数百のゲーム・アプリへのアクセスが可能

YouTube Premium、YouTube Music Premiumといえば広告なし、バッググランド再生可能のサービスとして日本でも人気です。2023年2月時点でYouTube Premiumが月額1,180円、YouTube Music Premiumが月額980円（※2）であり、合計で約2000円もするサービスが付属します。（どちらも基本料金です）

さらにGoogle Pixel Passには、「Google One」というクラウドストレージサービスも含まれます。Google Oneは2023年2月時点でベーシック（100GB）が月額250円、プレミアム（2TB）が月額320円（※3）となっており、Google Pixel Passでは200GB利用可能なのでベーシックプランより+100GBお得です。

Google Pixel PassにはGoogle Pixelを分割で購入できる仕組みだけでなく、上記のようにGoogleの傘下や自社サービスが盛りだくさんで付属していることも注目されていました。

Google Pixel Passは2年ごとにGoogle Pixelをもらえるサブスクリプション

Google Pixel PassでGoogleがアピールしていた核となるサービスは、24回目の支払いが完了することでGoogle Pixelが完全にユーザーのものになる」というものです。Googleは、Google Pixel Passで24回目の支払いが完了した時点でのユーザーの状況を、以下のように想定していました。（※4）

Pixel 6またはPixel 6 Proという当時最新のスマホの支払いが完了している
デバイス保護プランおよびPreferred Careが終了している
4G LTEのMVNOサービスの「Google Fi」のお客様向けFiプランの5ドル割引が終了
Google One、YouTube Premium、Play Passが解約されるまで毎月割引価格で請求される

2年間のGoogle Pixel Passの契約期間が終了すると、バンドルしていたサービスの月額を確認した後、解約を選択できるとしていました。

2台目のGoogle Pixel を手にしたユーザーはいない

前述したようにGoogle Pixel PassはGoogleが決めたこの「2年間」（24か月）という縛りをユーザーが受け入れることで、メリットを最大限に享受できるサービスのはずでした。

しかし2021年10月に発表した同サービスを2023年8月に終了としたことで、サービスが生きていた期間はわずか22か月となります。

Googleがアピールしていた24か月の縛りを待たずに終了をしたことで、ユーザーに大きな衝撃を与える結果となりました。

GoogleはGoogle Pixel Passの利用でPixel 6およびPixel6 Proがユーザーの所有になることをアピールしていましたが、発表から22か月で終了を迎えたため、事実上2台目以降のGoogle Pixelを手にできたユーザーはいません。

Google Pixel Passサービス当初から契約していたユーザーは、あと数か月で24回の縛りがなくなる…というところで終了したことになります。これにはショックを受けるユーザーも多いのではないでしょうか。

途中解約で残金を一括で支払うことで1台目のGoogle Pixelを手に入れたユーザーはいますが、今後このサービスが利用できないことで肩を落とすユーザーは多いでしょう。

Google Pixel Passが終了した後はどうなるの？

GoogleはGoogle Pixel Passの終了に対し、払い戻しはしないことを明言しています。しかしGoogle Pixel Passの2年間の契約期間の約束は履行できるよう尽力しているとも話しており、100ドルのロイヤルティ特典クレジットを契約が有効なユーザーに発行するとしています。

またユーザーがキャンセルするまではGoogle One、Google Play Pass、YouTube Premium を含むGoogleのサブスクリプションサービスは毎月自動更新されます。しかしPreferred Care サービス、Google Fi ワイヤレスを介したデバイス保護補償は終了です。

Google Pixel Passが終了する理由

GoogleはGoogle Pixel Passを廃止する理由を明らかにはしていません。ただ公式サイトにてハードウェア製品の最高の価値を提供し、ユーザーが好みのサービスを購入できる柔軟性を提供すること、そしてお客様からのフィードバックに基づきオファーを評価し続け、Googleの優れた機能にアクセスできるさまざまな方法を提供すると明記しています。（※5）

Google Pixel Pass終了に関してその理由を明確にはしていませんが、終了するということはユーザーの今のニーズを満たせない、利益が思うように出ないなどが考えられます。もしかしたら、今後ブラッシュアップしたサービスが展開されるかもしれません。

googleのサブスクリプションは9種類ある

Googleは数々のサービスを展開しており、今ではGoogle Pixel Passのようなサブスクリプションにも力を入れています。一言で「サブスクリプションサービス」といっても、Googleでは以下の9種類の枠組みでサブスクリプションを展開しています。（※6）

定期購入型
キュレーション型
メンテナンス型
長期リース型
短期レンタル型
プロモーション型
インストアサービス型
オンラインサービス型
デジタルコンテンツ型

Googleはサブスクリプションサービスについて、「従来の定期購買型に限らず、年単位なども含めて一定の期間内に定額を支払い利用するサービス」と定義づけています。

まず定期購買型は古くからあるスタイルで、雑誌の定期購読や健康食品、コスメなどが定期的に届くサービスを指します。

キュレーション型は人が情報を収集したり整理したりする「キュレーション」が特徴です。契約者が商品を選ぶのではなく、お花屋さんがチョイスしたお花が届く、スタイリストが選んだ服が届くなど、プロやAIが選んだ商品を届けてくれます。

メンテナンス型は、ウォーターサーバーや企業における複写機に代表されるようなサービスです。本体となる器材を安価もしくは無料で貸し出し、消耗品部分を従量課金で支払います。

長期リース型はオフィスのOA機器などにあるような、高額な機材を中長期的にリースしてもらうサービスです。自動車など高価な商品も長期利用でき、高額商品も一気に払う必要がありません。

短期レンタル型は長期リース型と反対のサービスで、ハイブランドのバッグや服、ドレスや着物といった“その日だけ”使いたいアイテムを利用できるサービスです。1日単位や１か月など最低限必要な期間だけレンタルできるので、保有しておく必要がありません。

プロモーション型は定期的に特定の店舗やオンラインストアに誘導するサービスで、基本的に企業向けのサービスです。ブランドとの接点を増やしたりロイヤルティを高めたりといった効果が期待できます。

インストアサービス型は、文字通りインストア（店舗や自宅）で展開するサブスクリプションサービスです。定額で通い放題のジムやエステなど、対面かつ有限の人的資源を提供するサービスを指します。

オンラインサービス型はオンラインレッスンやオンラインサロンに代表されるものです。プラットフォームなどを利用して、講義やレッスンを受けたりできます。

最後のデジタルコンテンツ型は、音楽や動画配信サービスに代表されるサービスです。人的資源を割くサービスは含まず、“見放題”、“聞き放題”などデジタルコンテンツを利用できるサービスが「デジタルコンテンツ型」に分類されます。

Googleはサブスクリプションサービスについて、上記9種類の分類を発表しています。Google Pixel Passは24回の定額支払いが終わればGoogle Pixelの本体を所有でき、さらにYouTube PremiumやGoogle Oneといったデジタルコンテンツも使い放題になることから、「長期リース型」と「オンラインサービス型」を組み合わせたサービスと考えられます。

Googleが米国で展開していたGoogle Pixel Passについて、その概要や終了について、さらにGoogleのサブスクリプションサービスの種類をご紹介しました。

所有することよりも「利用すること」へのニーズが高まっている今、多くのサブスクリプションサービスがリリースされています。動画サイトや音楽配信など、すでにサブスクリプションサービスを利用している方も多いことでしょう。

手軽で便利なサブスクリプションですが、個人が所有しないため、提供している企業の都合でGoogle Pixel Passのようにサービスが突然終了することも珍しくありません。そのことに十分留意して、賢くサブスクリプションを選んでいきましょう。