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建築DXとは?BIMとの違いやロードマップをご紹介します

建築業界ではBIM/CIMの導入が注目されていますが、それとは別に「建築DX」という取り組みもあります。建築業界におけるDX取り組み全体を指す「建築DX」には、BIM/CIMが1つの技術として内包されます。

この記事では建築DXについて、その概要や必要性、導入が進む業務や遅れている業務について解説します。建築業界のDXに興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事を読むと、以下3つの事が分かります。

  1. 建築DXの概要
  2. 国土交通省の建築DXロードマップ
  3. 建築DXが進む業務や遅れている業務について

建築DXとは?概要と国の取り組みについて

DX(デジタルトランスフォーメーション)は国が推進しており、どの業界でも無視することのできない課題の1つとなっています。これはもちろん、建築業界も例外ではありません。

建築DXとは、簡単に言うと建築業界におけるDXの取り組みを指します。建築DXを推進することで、建築業界が抱えている様々な課題解決にも直結するのです。

日本では建築業界の生産性を高めるために、2016年から「i-Construction」としてICT技術を取り入れたプロジェクトを進めていました。すでに海外で導入が始まっていたBIM(Building Information Modeling)を元に日本独自のCIM(Construction Information Modeling)を定義して、土木の分野を中心に広めようとしていたのです。

しかし現在では土木だけでなく建築業界全体を含めて「BIM/CIM」として統合しており、ほとんどのケースで区別されていません。3次元データを活用するBIMの動きが強くなり、建築DXの取り組みの1つとして導入が進んでいます。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、IoTやAI、ビッグデータという新しい技術を活用して、業務フローの見直しや効率化だけでなく、新しい価値の創出までを目指すものです。レガシーシステムと呼ばれる老朽化したシステムも見直し、古いシステムも抜本的な見直しが求められます。

老朽化したシステムを使い続けることで2025年を境に経済的な損失が発生することを表す「2025年の崖」という言葉は、DXの重要性を訴えるものとして有名です。

国土交通省が建築DXのためにすすめる3つのプロジェクト

国土交通省は「建築・都市のDX」の取り組みとして主に以下3つのプロジェクトを進めています。(※1)

  • 建築BIM
  • PLATEAU(プラトー)
  • 不動産ID

国土交通省では、デジタル田園都市国家構想の実現やデジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成に向けて、建築・都市のDXに取り組んでいます。そしてその具体的なプロジェクトが、上記の3つです。

「建築BIM」とは建築や土木業界で導入が進むBIM/CIMのことで、個々の建築物情報を3次元のデジタル化にして関係者と共有することで作業を効率化しようとする取り組みです。

そして「PLATEAU(プラトー)」は2020年から始まったもので、都市全体の空間情報を3次元でデジタル化することで、オープンデータのエコシステム構築を目的としたプロジェクトです。

都市のマネジメントやサステナブルな街づくりを目指したPLATEAUは、デジタルツイン実現プロジェクトの1つでもあり、バーチャル空間でBIMデータと連携させてあらゆるシミュレーションが行われています。

建築DXの1つとして進められている「不動産ID」は、13桁の不動産登記番号に4桁の特定コードを足した17桁の番号で構成されたものです。建築・都市のDXにおいては情報連携のキーになるもので、これからも実証実験が重ねられる予定です。

建築業界でDXが注目される理由

建築業界でもDXが注目される理由は、以下の3つが挙げられます。

  • 深刻な人手不足
  • 技術継承の難しさ
  • 働き方改革

少子高齢化が進む日本では、どの業界でも人手不足が問題視されています。建築業でも人手不足が深刻で、建設業の労働者のうち4分の1以上は60歳を超えており、一方で29歳以下は1割程度と激減しているのが現状です。(※2)

長い経験や高い技術を持った人材が高齢化して引退する人が増える一方で、若い世代の人数はどんどん減っており、働き手が圧倒的に足りていません。

中でも日本の建築業界は“職人さん”と呼ばれる文化により、属人性の高さから技術継承の難しさが顕著です。標準化されていない技術が多く、習得に時間がかかってしまいます。

さらに働き方改革の一環として、建築業界では2024年4月より働く時間に上限規制がかかり、原則月45時間以内、年360時間以内となりました。長時間労働の解消につながるものの、人が不足する一方で勤務時間にも制限が生まれたことで、より生産性を重視しなければなりません。

上記のような建築業界の課題を解決するために、最新技術を駆使した建築DXの導入が重視されているのです。

建築DXとBIMは違うの?

建築業界の生産性を上げる技術といえば、BIMを思いつく方も多いのではないでしょうか。BIMと建築DXは混同しがちですが、BIMは建築DXを実現するための1つの技術という位置づけです。

建築DXとは文字通り建築業界のDXであり、DXを実現するためのすべての取り組みを指します。建築DXを実現するためには、ICTで情報共有できる環境を構築したりドローンで人が立ち入りにくい場所を安全に測量したり、AIが機械に搭載した映像を自動判定したり……といった様々な最新技術が必要です。

3Dモデリングで立体的な模型をデジタル空間に作って情報を共有する「BIM」も、建設DXに必要な技術の1つとなります。そしてクラウド上でデータを共有して、より生産性アップを目指していくのです。

建築DXのロードマップ

国土交通省が公開している資料によると、“官民ロードマップ”として2025年からユースケースの横展開を始め、2028年より本格普及を目指すと明記されています。(※3)

以下、建築・都市のDXにおけるロードマップです。

2023年 2024年 2025~2027年 2028年~
高精細なデジタルツインを一部エリアで先行的に構築 (PLATEAU×BIM×不動産IDのプロトタイプ) ユースケースの社会実装・横展開(まちづくり、防災、グリーン・カーボンニュートラル、モビリティロボットなど
↑↓
関係行政データのオープン化の促進
本格普及

上記の通り、国は2028年の本格普及を目指して建築DXを推進しています。

国内における建築DXの導入状況について

国内でもDXが叫ばれたことで多くの企業がDXを進めていますが、他の国と比べるとデジタル変革は遅れている状況です。国内でも多くの建設会社は何らかのデジタルツールを導入するも、その導入効果を実感している企業は少ないことが分かっています。

建築DX導入の現状や、スムーズに進まない理由をここで解説します。

建築DXの進捗具合は業務でバラつきがある

建築業界におけるDXの調査によると、デジタル化の推進では以下のようにプロセスごとに格差が生まれていることが分かりました。(※4)

  • 設計…48.4%
  • 積算…36.4%
  • 維持管理…32.4%
  • 施工…31.9%
  • 拾い業務…25.2%

設計や積算といった業務ではDXが進んでいますが、図面から必要となる材料の数量を数える「拾い業務」はデジタル化できない作業が多いことから、DXがなかなか進まないようです。

またデジタル化が遅れている業務についての調査では、以下の業務が挙がりました。(※5)

  • 発注書・発注請書のやり取り…46.3%
  • 契約書のやり取り…46.3%
  • 請求書のやり取り…41.7%

上記の通り、設計や積算では建築DXが進むものの、発注書や契約書といった帳票類では遅れているようです。書面でのやり取りでは、約半数がメール、約11%がFAXを使っています。

帳票類の作成ではエクセルワードを使っているという回答が70%を超えており、システムを使っている企業は20%に届きません。およそ4%ですがまだ手書きで発注書を作成しているという回答もあり、書類関係のデジタル化は建築DXにおける大きな課題の1つです。

国内で建築DXがスムーズに進まない理由

建築DXの推進において建設業者が「弊害」と感じているものについて調査したところ、以下の結果が出ています。(※5)

IT人材の不足…48.7%
社内体制が整っていない…43.4%
システム投資への予算がない…28.8%

上記の回答を見ると、建築DXの導入では人も予算も足りていないことがわかります。

会社そのものにリソースが不足しているなら、コンサルタントなど外部に頼るのも有効です。

しかし、リソースが足りていない企業の中には「経営層からの理解が得られない」というケースも少なくありません。この場合、経営層が建築業界におけるDXの必要性を認識することが必要です。

建築DXについて、その定義や重要性、ロードマップなどを解説しました。最新技術が続々と生まれ、5Gなど通信環境も進化している今、DXはどの業界でも無視できません。

特に人手不足や働き方改革によって業務の効率化が急務となっている建築業界では、DXやBIM/CIMの導入が必要です。

今回の記事が、DXが上手く進まずに悩んでいる方の参考になれば幸いです。

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参照サイト

※1 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001613636.pdf P.3

※2 https://hatarakikatasusume.mhlw.go.jp/construction_company.html

※3 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001613636.pdf P.5

※4 https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2108/26/news035.html

※5 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000330.000013808.html

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