AutoCADとLTの違いとは?新規販売が終了したLTの後継製品と移行方法も解説
AutoCAD LTは、AutoCADの機能と価格を抑えたライト版としてリリースされました。
現在も新バージョンのリリースが続いていますが、2021年より販売終了となったため、新規購入はできない状態です。(*1)
では、今現在AutoCAD LTをお使いの方はいつまで使えるのでしょうか?
AutoCAD LTに続く後継製品はあるのでしょうか?
それぞれくわしく見ていきましょう。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります
1.AutoCADとAutoCAD LTの違い
2.AutoCADの便利機能
3.AutoCAD LTからAutoCADへの移行方法
AutoCAD LTが販売終了
AutoCAD LTの新規販売は終了となりましたが、オートデスクではユーザーがこれまで通り安心して利用できるよう準備しています。
ここでは、AutoCAD LTの使用期限と後継製品について見ていきましょう。
AutoCAD LTはいつまで使える?
今現在、AutoCAD LTをお使いの方は、いつまで使えるのでしょうか?
サブスクリプションを購入して更新を続ける場合、AutoCAD LTはそのまま使うことが可能です。(*2)
販売終了はあくまで新規のユーザー向けの販売終了なので、すでに購入しているユーザーは、バージョンアップや更新プログラムをこれまで通りに利用できます。
例えば、2024年3月29日のAutoCAD 2025のリリースに伴い、LTも2025がリリースされています。(*3)(*4)
今後もAutoCAD LTの新バージョンリリースが行われた場合は、既存ユーザーは今までと同じように更新して使うことができます。
AutoCAD LTの後継製品は?
AutoCAD LTは新規販売終了となりましたが、後継製品はあるのでしょうか?
AutoCAD LTの後継製品は、「AutoCAD」となります。
2021年5月7日、AutoCAD LTの販売終了とともに、AutoCADの製品ラインナップが変わりました。(*1)
AutoCAD LTの新規提供を終了し、次の2つの製品が販売されることになりました。(*5)
- AutoCAD 71,500円/1年・1ユーザー
- AutoCAD Plus 231,000円/1年・1ユーザー
AutoCAD Plusは、AutoCADに業種別ツールセットが付属されたものです。
AutoCADは、業種別ツールセットが付属しないかわりに安価になったため、これまでのAutoCAD LTの後継製品の位置づけになります。
AutoCADとLTの違い
AutoCADはLTの後継製品として活用できることがわかりましたが、具体的にどんな違いがあるのでしょうか?
ここからは、AutoCADとLTの違いをわかりやすくご紹介します。
AutoCADとLTの価格は?
2021年より発売された新たな「AutoCAD」は、LTと同じ価格になりました。(*5)
LTの販売価格をそのまま受け継ぎ、71,500円/1年・1ユーザーとなっています。
LTを使っていたユーザーにとっては、「AutoCADは機能が豊富だけど高価」というイメージがあったのではないでしょうか。
LTと同じ価格になったということで、利用しやすい価格になりましたね。
AutoCADとLTの機能は?
AutoCADには、LTにはない機能が豊富に搭載されています。(*6)
代表的な機能に3D作図がありますが、このほかにもチームでの作業に便利な機能が多数あります。
特に、大人数のプロジェクトなど、生産性の向上が求められる作業に向いています。
機能が多くても、動作環境はLTと違いがないため、LTと同じPCにインストールできます。(*2)
AutoCADの便利機能
AutoCADを使うと、LTではできない効率化が可能になります。
ここでは、AutoCADにしかない便利機能について見ていきましょう。
営業や顧客にもわかりやすい3Dビジュアライゼーション
AutoCADでは、3Dモデルの作成ができます。(*7)
2D図面が3Dモデルになることで、設計担当者以外にも部品の干渉チェックがわかりやすくなります。
また、図面内のウォークスルーやフライスルーもできるため、建築物の中を歩き回って確認することもできます。
3Dモデルを使うことで、2D図面でのプレゼンテーションより圧倒的にわかりやすい説明が可能になります。
設計作業を自動化できる「アクションマクロ」
エクセルでマクロを使ったことはあるでしょうか?
表計算の自動化は本当に便利ですよね。同じように、アクションマクロを使うとAutoCADでの設計作業を自動化することができます。(*8)
アクションマクロのメリットは、プログラミングがわからなくても、録画で簡単に作成できる点です。
また、アクションマクロは共有できるので、チームメンバーで共有して同じマクロを使うこともできます。
単純な繰り返し作業が自動化できれば、作業時間の短縮につながります。
図面の仕様を自動でチェックする「CAD標準仕様チェッカー」
「図面の社内標準のチェックが大変で時間がかかる」
こんな場合は、CAD標準仕様チェッカーを使ってチェックを自動化できます。(*9)
お手本とする図面を標準仕様ファイルとして保存しておくと、チェックをかけるだけで図面内の違反箇所を表示してくれます。
標準仕様チェッカーは、作業中にも通知をオンにできるため、作図中のミスをチェックすることも可能です。
部品表もAPIで自動化できる
LTにはなく、作業時間の短縮に大いに役立つ機能が「API」です。(*10)
APIは、ソフトウェア同士を連携させることができる機能です。
たとえば、図面内の部品を集計して部品表を作りたいとします。
LTにはAPIがないため、目視で集計することになり、人的ミスや作業時間の増加につながります。
しかし、AutoCADでAPIを使って自動化すると、このような単純作業にかかる時間を減らすことができます。
LTからAutoCADへの移行方法
AutoCADはLTと同じ価格で利用でき、機能が大幅に増えることから、AutoCADへの移行を検討している方も多いのではないでしょうか。
ここでは、LTからAutoCADへの移行方法を見ていきましょう。
LTからAutoCADへ設定を移行する
これまで通りの作業環境を維持したい場合は、AutoCADをインストールする前に、LTのワークスペースを書き出して保存しておきましょう。
LTのワークスペースをAutoCADへ移行する方法はこちらです。(*11)
1.AutoCAD LTで、ワークスペースを保存する
2.ワークスペースファイルを書き出すために、CUIファイルを保存する
3.AutoCADをインストールする
4.ワークスペースを切り替える
LTからAutoCADへの切り替え
LTからAutoCADへの切り替え方法はこちらです。(*12)
1.AutoCADをインストールする
2.インストールが完了したら、AutoCADを起動する
3.AutoCADを終了する
4.AutoCAD LTをアンインストールする
AutoCAD LTをアンインストールは、必ずAutoCADのインストールが終了してからにしましょう。
まとめ
AutoCAD LTは新規販売が終了し、後継製品は業種別ツールセットが付属しない「AutoCAD」となりました。
これまでのLTと同じ価格で購入でき、動作環境も変わらないため、LTからAutoCADへの移行がしやすくなっています。
移行の際に予期しないトラブルが起こった場合は、オートデスクのカスタマーサポートに問い合わせて解決しましょう。(*13)
AutoCADの豊富な機能を使って、毎日の作業をもっと快適にしていきましょう。
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◆参考URL
*1 AUTODESK「AutoCAD LT 販売終了 : 新規サブスクリプションでの AutoCAD LT の提供は終了いたしました。」
https://www.autodesk.com/jp/products/autocad-lt/end-of-sale
*2 AUTODESK「AutoCAD LT 販売終了に関するよくある質問 (FAQ)」
*3 オートデスク ニュース「Autodesk が AutoCAD 製品の 2025 バージョンを発売 〜Autodesk AI 活用により、さらなる生産性向上を実現〜」
https://blogs.autodesk.com/autodesk-news-japan/autocad-2025/
*4 AutoCAD LT 2025「Autodesk® AutoCAD LT® 2025 リリース ノート」
https://help.autodesk.com/view/ACDLT/2025/JPN/?guid=AUTOCADLT_2025_RELEASE_NOTES
*5 AUTODESK「AutoCAD と AutoCAD Plus の比較」
https://www.autodesk.com/jp/products/autocad-plus/compare
*6 AUTODESK「AutoCAD LT と 新しい AutoCAD 製品の機能比較」
*7 AutoCAD「AutoCAD 2025 の主な機能」
https://www.autodesk.com/jp/products/autocad/features
*8 AutoCAD 2025「お試しください: アクションをマクロに記録する」
https://help.autodesk.com/view/ACD/2025/JPN/?guid=GUID-98575827-E4EF-4BE7-B5C6-536161F5CB29
*9 AutoCAD 2025「概要 – CAD 標準仕様」
https://help.autodesk.com/view/ACD/2025/JPN/?guid=GUID-D64F8076-4978-44B7-B056-D921C77FEA88
*10 AUTODESK「AutoCAD リソースセンター AutoCAD LT にない AutoCAD 機能:API の習得」
*11 「AutoCAD LT から AutoCAD に設定をマイグレートしたい」
*12 AUTODESK「AutoCAD LT から AutoCAD に切り替えたときのインストール方法が知りたい」
*13 AUTODESK「AutoCAD LTの技術サポートオプション」