機械部品の設計にAutoCADが果たす役割は？製造プロセス最適化に強い関連サービスを解説

2023.06.06

AutoCAD, 建設/製造業界

投稿者: satorujam

3DCADは製造業界の躍進に大きな役割を果たしていますが、中でもトップクラスのシェアを誇る3DCADソフトがAutoCADです。それでは、具体的にAutoCADはどのように製造業界へ恩恵をもたらしているのでしょうか。

この記事では機械部品の設計においてAutoCADが果たす役割について解説しながら、製造プロセスの最適化に強い、そのほかの関連サービスについても紹介します。

3D CAD時代における新しい製品開発のあり方
AutoCADとAutoCADとMechanicalツールセットの概要
AutoCADを機械部品設計に導入するメリット
AutoCAD Mechanicalツールセットの主な機能
AutoCADと相性の良いAutodeskの製造業向け関連ソフト

3DCAD時代における新しい製品開発のあり方

これまで、製造業における設計や製品開発は、平面図を使ったプロダクトデザインや、部品設計などが一般的でした。しかし立体的な製品図を描くことができる3DCADが普及したことで、製品開発のあり方も大きく刷新されつつあります。

3DCADを使った製品開発は、主に以下のプロセスに則って実行されています。

3DCADを使った企画検討・合意形成

3DCADを使えば、製品設計をある程度テンプレート化し、顧客の好みに応じてカスタマイズしていくというアプローチを取ることができます。大枠はテンプレートを使い、ディテールの追求は手作業で進めていくという方法です。

ゼロから設計を行い、その度にああでもないこうでもないと話し合うよりもはるかに作業負担が小さく、合意形成に至るまでの時間を短期間に抑えられます。3Dモデルを使うため、顧客が製品設計に明るくない場合でも、感覚的な理解を促しやすいのも特徴です。

3DCADを使った設計

3DCADを使って設計作業を進めると、上で紹介した3DCADのテンプレートを駆使して設計を詰めていくことができるので、設計にかかる時間や労力の削減にもつながります。3DCADソフトを複数人で運用し、一つの図面を共同で完成させることで、コラボレーションの負担も小さく抑えられるのが強みです。

3DCADを使った生産・製造

3DCADを使うことで、実際の生産や製造過程にも良い影響を与えることが期待できます。設計データは必要に応じて簡単に修正ができ、製造過程で不具合が生じた場合、すぐにデータを換装し、生産を再開可能です。

設計内容のフィードバックを速やかに生産に反映し、質の高いものづくりを実現します。

AutoCADとMechanicalツールセットの概要

このような3DCADありきの製造や設計を可能にしているソフトの中で、最もポピュラーな製品の一つがAutoCADです。AutoCADはAutodesk社が提供する2D・3DCADソフトで、ハイエンドなCAD図面を作成することができる、汎用性の高さが最大の特徴です。

CAD運用に必要な機能が一通り揃っており、あらゆるCAD需要に応えられることから、多様な業界での運用実績がある製品です。

AutoCADには通常のAutoCADと、AutoCAD Plusと呼ばれる、拡張機能が付属するハイエンドサービスの2種類がありますが、後者の最大の特徴は、各業界のニーズに応じたツールセットを利用できるところにあります。

建設や設備設計、CAEなどさまざまな用途に使えるツールセットがある中、製造業界が注目したいのはMechanicalツールセットです。これは製造業界向けに特化したCAD機能が実装されたアドオンの一種で、汎用CADであるAutoCADを、専用CADとして運用できるようにしてくれます。

70万点を超える製造パーツや豊富な機能群を備え、製造業界のCAD運用を強力にサポートできるサービスです*1。

AutoCADを機械部品設計に導入するメリット

AutoCADを機械部品設計に導入することで、ユーザーは多様なメリットを期待できます。

まず、AutoCADは世界でも有数のCAD製品であるため、関係者や関連企業とのコラボレーションが行いやすいのが特徴です。AutoCADを基準にCAD運用環境を整備しているケースは珍しくなく、とりあえずAutoCADを使えば、互換性の面で苦労をする心配はありません。

また、AutoCADは汎用CADでありながら、ツールセットを使って製造特化の専用CADとして活躍ができるのも強みです。汎用性と専門性を両立したツールのため、万が一別領域でのCAD運用が必要になった際も、AutoCADを継続して利用できます。

そもそもAutoCADの販売元であるAutodeskは、Autodesk製品を使った標準化による恩恵を、最大限引き出せる仕様をアピールしている点も魅力です。製造チーム全体のスキル格差を解消したり、業務を自動化したり、ワークフローを統合したりと、単なるツール導入にとどまらない変化を享受できるでしょう*2。

AutoCADと相性の良いAutodeskの製造業向け関連ソフト

Autodeskは製造業界向けの製品として、AutoCAD以外にも魅力的なサービスが揃います。主な例としては、

Fusion 360
PowerInspect
PowerShape

などが挙げられます。Fusion360は、AutoCADと同じくらいポピュラーなソフトで、CAM運用支援に活躍するのが特徴です。PowerInspectは、製品の品質調査や検証管理を実行する、3D計測ソフトで、多様な計測機器との互換性を備えます。PowerShapeは金型や工具などの製造設計に役立つCADソフトで、CADデータ作成やCAMプログラミングの改善に活躍している製品です。

いずれのサービスもお互いに互換性を備えているため、AutoCADなどと併せての運用がおすすめです。

また、高度な機械設計やシミュレーションを実現したい場合は、Autodesk Inventorが役に立ちます。Inventorは機械設計から図面作成、製品シミュレーションまでをワンストップで実行できる、ハイエンドな3DCADソフトです。

機械設計に必要な機能が豊富に揃っているだけでなく、必要に応じて作業を自動化できるタスク処理機能を備えていることが、最大の特徴と言えます*3。データはクラウド環境で運用するため、関係者間のコラボレーションにおいても高い効果を発揮するでしょう。

BIMプロジェクトとの互換性も備えており、設計業務を抜本的に刷新したいと考えている場合、導入を検討したい製品です。

まとめ

この記事では、AutoCADが機械部品の設計へどのように役立つのか、製造プロセスの最適化へどう貢献するのかについて、解説しました。AutoCADは汎用性の高いCADソフトですが、ツールセットを活用し、製造業特化のソフトとしても運用ができます。世界で最も運用されている3DCADソフトの一種であるAutoCADをベースとした製品設計環境は、新しいビジネスの機会を創出する上でも役に立つはずです。

Autodeskは他にも優れたCAD関連サービスを提供しているので、これらと同時に運用しながら、自社環境をAutodesk基準にシフトし、業務の最適化を推進しましょう。