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TREND-POINT(トレンドポイント)で実現する!点群データからの断面作成と施工現場の効率化事例

1. はじめに:点群データとTREND-POINTで変わる建設現場

引用:https://const.fukuicompu.co.jp/products/trendpoint/

近年、建設業界では「i-Construction」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が加速し、現場のデジタル化が急務となっています。これまで主流だった紙図面や2次元CADだけでは、複雑化するプロジェクトに対応しきれず、設計とのズレや手戻りによる非効率が課題として浮上しています。

こうした中で注目を集めているのが「点群データ」の活用です。点群データとは、レーザースキャナーやドローン測量によって取得された、三次元空間上の無数の座標点からなるデータ群で、現場の形状や構造物の状態を立体的かつ高精度に可視化できます。これにより、現況把握や土量計算、出来形管理などが迅速かつ正確に行えるようになり、施工の効率化や品質の向上に直結しています。

そして、この点群データを活用する上で有力なツールとして、多くの建設現場で導入が進んでいるのが福井コンピュータの「TREND-POINT(トレンドポイント)」です。直感的な操作で断面作成や3Dモデル化、計測・管理が可能な本ツールは、現場での意思決定を支援し、関係者間の合意形成にも大きく貢献します。

本記事では、点群データとTREND-POINTを組み合わせた具体的な活用法や、現場での成功事例を交えながら、導入のメリットや活用のポイントをわかりやすく解説します。点群データの利活用に関心のある方や、TREND-POINTの導入を検討している方にとって、実践的なヒントとなる内容をお届けします。

2. 点群データとは何か?

建設業界において、現場の「見える化」を進めるための技術として注目されているのが「点群データ」です。これは、レーザースキャナーやドローンなどの計測機器で取得される、高密度な座標点の集合体です。各点は3次元空間上にX・Y・Zの座標値を持ち、現場の形状や構造物を立体的に正確に捉えることができます。

点群データの最大の特徴は、目に見える情報を“点”の集合として高精度に再現できる点にあります。地形の高低差、構造物の寸法、周辺環境との位置関係といった情報が、直感的に把握できるため、設計・施工・維持管理のあらゆる工程において、活用の幅が広がっています。2次元図面では把握しづらかった細部の形状も、点群データであれば視覚的に認識できるため、現場の判断材料として非常に有効です。

近年では、国土交通省のCIM(Construction Information Modeling)や、建築分野でのBIM(Building Information Modeling)の普及に伴い、3次元情報の活用が加速しています。その中心的役割を担っているのが、点群データなのです。

2.1. 点群データの基本とその重要性

点群データとは、三次元の空間に存在する数百万〜数千万の測定点で構成されるデータ群のことを指します。これらは、地形や構造物の表面を細かくスキャンし、極めて高い精度で現況を記録することができます。取得には、地上型レーザースキャナー(TLS)やドローンに搭載されたLIDARセンサーなどが使用され、必要に応じて空中・地上両方からの取得を組み合わせることで、より完全な立体情報が得られます。

このような点群データは、現況の正確な把握が求められるインフラ整備や再開発、災害復旧工事などで特に有効です。設計段階では、3次元で構造物や地形を確認することで、事前にリスクや障害要因を洗い出すことができ、計画の精度向上につながります。

施工段階では、取得した点群をもとに断面図や出来形データを作成し、設計値との比較を通じて進捗や品質を評価できます。従来の測量手法では時間と労力がかかっていたこれらの作業が、点群データの活用によって効率化されるのです。また、取得データはそのまま3Dモデル化することも可能なため、将来的にはBIM/CIMと連携した「デジタルツイン」構築の基盤としても重要な役割を果たします。

このように、点群データは建設業における“現場の可視化”と“判断の迅速化”を支える基盤技術となりつつあります。

2.2. 点群データの活用事例と影響

点群データの活用は、既に多くの施工現場で始まっています。代表的な分野としては、道路建設、河川改修、トンネル掘削、法面工事などがあり、広範囲かつ形状の複雑な対象を効率的に把握する必要があるプロジェクトで高い効果を発揮しています。

たとえば、ドローンで取得した地形データを点群化することで、現場の凹凸や起伏を正確に測定できます。これにより、従来は人の手で一つひとつ行っていた測量作業が大幅に効率化され、結果として手戻りの削減、施工ミスの防止、現場の生産性向上につながります。また、地形の変化や地盤の崩壊リスクがある場所では、定期的に点群データを取得し、変位や異常の兆候を3Dで可視化してモニタリングする活用も進んでいます。

さらに、若手技術者の育成という観点からも点群データは有効です。ベテラン技術者が感覚で判断していた情報を、3Dモデルという共通の視覚情報として共有することで、ノウハウの継承や技術の標準化が進みます。現場だけでなく設計・本社・発注者とのやり取りでも共通の空間認識を持つことができ、意思決定のスピードや精度が高まります。

加えて、点群データはクラウドとの連携にも適しており、取得したデータを社内外で一元管理することで、複数拠点からの同時活用が可能になります。こうした仕組みを通じて、長期的なインフラ維持管理や計画立案にもつながり、点群データはもはや一時的な測量データではなく、継続的に活用できるデジタル資産としての価値を高めているのです。

3. TREND-POINTの全体概要

引用:https://const.fukuicompu.co.jp/products/trendpoint/

点群データの活用が進む中で、現場での実務に直結した処理をスムーズに行うためのツールとして注目を集めているのが、福井コンピュータが開発した「TREND-POINT(トレンドポイント)」です。このシステムは、建設現場や設計事務所など、点群データを日常的に扱う多くのユーザーに支持されています。

TREND-POINTの特徴は、単なる可視化や点群の表示だけでなく、断面作成、土量計算、出来形管理、設計照査、CADデータとの連携など、建設現場の実務に即した作業が一括で行える点にあります。点群データの前処理から成果品の出力までをシームレスに行えるため、業務効率化やミスの削減につながり、結果としてプロジェクト全体の品質と生産性を高めることができます。

また、3D空間での操作が直感的に行えるように設計されており、特別な専門知識がなくても、短期間での習得が可能です。複雑な機能もウィザード形式やシンプルな操作メニューでナビゲートされており、初めて点群ソフトに触れるユーザーでも現場で即戦力となる活用が期待できます。

この章では、TREND-POINTが持つ主な機能やその強みについて、具体的に見ていきます。

3.1. 主要機能と操作性

TREND-POINTが支持される理由のひとつに、実務に直結する豊富な機能と高い操作性があります。なかでも、注目されているのが「断面作成機能」です。点群データ上の任意の位置でスライスを行い、簡単な操作で断面を自動生成できるため、設計図との比較や形状確認が手早く行えます。

また、現場では必須となる「土量計算」「出来形管理」にも対応しており、必要な断面や体積を簡単に算出できます。測量や設計・施工の各段階で、現況と設計の差異を明確にし、必要な判断や調整を迅速に行えるのが大きな魅力です。

点群の前処理においても、「不要点のフィルタリング機能」や「自動補間処理」により、膨大なデータの中から必要な情報だけを抽出し、効率的に扱うことができます。これにより、ノイズの多い点群でも安心して使用することができ、解析や図面化の精度を大きく向上させます。

さらに、CADソフトやBIM/CIMツールとのデータ連携もスムーズです。DWGやDXFなどの一般的なCADフォーマットへの書き出しに対応しており、他部門や発注者との情報共有にも適しています。点群データから断面を作成し、そのまま図面化・帳票化するといった一連の作業も、TREND-POINT内で完結するため、作業の属人化を防ぎ、現場全体の標準化にも寄与します。

加えて、操作画面のインターフェースは初心者にもわかりやすい構成となっており、マニュアルやガイド機能も充実しています。導入直後の研修でも習得がスムーズで、実務への適応も早く、現場の即戦力として活用できるのが特長です。

3.2. TREND-POINTの独自性

点群処理ソフトは他にも数多く存在しますが、TREND-POINTは「現場視点での実用性」に徹底してこだわって設計されている点が、他製品と一線を画しています。特に、断面作成や土量計算など、建設現場での判断や管理に直接結びつく機能が標準装備されており、複数のツールを使い分ける必要がありません。

一般的な3Dモデリングソフトでは、データ処理やビジュアル表示に優れていても、施工管理に必要な土木固有の計算や照査までは対応しきれないことがあります。その点、TREND-POINTは建設業務に特化しており、「計測から成果物まで」を一貫して現場内で完結できる柔軟性とスピード感を提供しています。

また、クラウドとの連携機能も進化しており、オフィスや現場、発注者など、複数の関係者間で点群データや断面情報を共有しながら進捗を確認することが可能です。これにより、迅速な意思決定と手戻りの削減が実現し、プロジェクト全体の効率化が期待できます。

導入のしやすさという点でも、TREND-POINTは優れています。必要な機能が一式揃っており、設定や操作もシンプルなため、中小規模の現場から大規模プロジェクトまでスムーズに適用できる汎用性があります。さらに、導入後のサポート体制やアップデートの継続性も高く評価されており、長期運用における安心感も大きな魅力です。

このように、TREND-POINTは「使いやすさ」「現場適応性」「拡張性」のバランスに優れたツールであり、点群データの本格的な活用を目指す企業にとって、最適な選択肢の一つとなっています。

4. 点群データ×断面作成の活用事例と現場シナリオ

点群データと断面作成は、設計・施工の各段階において、現況把握や照査作業を大幅に効率化する手段として活用が広がっています。特に「TREND-POINT」を導入することで、取得した点群データを活かした高度な情報処理が現場レベルで可能になり、工期短縮・品質向上・安全性強化に貢献しています。

この章では、TREND-POINTを実際に活用した代表的な事例「堤防整備」と、シナリオとして「トンネル工事」および「河川改修」を紹介します。それぞれどのように点群データと断面作成が実務に組み込まれ、どのような効果が得られたのかを具体的に見ていきましょう。

4.1. 活用事例:大林組による堤防整備工事での点群データ活用と断面作成

引用:https://const.fukuicompu.co.jp/constmag/info/129

国土交通省が推進するCIM(Construction Information Modeling)の実証プロジェクトとして、株式会社大林組は鬼怒川左岸の船玉伊佐山地区における堤防整備工事で「TREND-POINT」を導入しました。この工事では、既設構造物と新設構造物の接続精度が非常に重要であり、わずかなズレでも構造的な不具合を招く可能性がありました。

そこで、大林組はドローンを用いた空中写真測量によって点群データを取得し、TREND-POINT上で詳細な断面を抽出します。これにより、設計との整合性を視覚的かつ数値的に確認できるようになり、発注者との協議や意思決定の迅速化につながりました。

さらに、得られた断面データはTREND-COREやCIMPHONY Plusと連携し、3Dモデルとして再構築します。工種ごとの施工ステップを視覚的に表現できるようになり、工程の把握や施工管理の精度が飛躍的に向上しました。各断面には出来形や材料、写真、帳票といった属性情報が付与されており、施工管理のデータベースとしても高い価値を発揮しています。

また、これらの情報はクラウドを介して現場・事務所・発注者間でリアルタイムに共有され、遠隔地からの進捗確認や設計変更の協議がスムーズに行われました。大林組は、点群データと断面作成を組み合わせたこのワークフローにより、CIMの理念に沿った統合的なマネジメント体制を確立しています。

4.2. 現場シナリオ:トンネル工事の品質管理

あるゼネコンが手がけるトンネル工事の現場では、日々の掘削による形状変化を的確に把握することが課題となっていました。従来は、掘削断面を手動で測量し、図面に起こす作業が主流でしたが、この方法では作業時間がかかり、人為的ミスも発生しやすいという問題を抱えていました。

そこで導入されたのが、TREND-POINTとレーザースキャナーを活用した断面管理の仕組みです。毎日の掘削完了後に点群データを取得し、TREND-POINTで断面を自動生成。設計との比較が瞬時に行えるようになり、現況と計画のズレをその場で確認できる体制が整いました。

このようなデジタル断面管理により、品質チェックや施工記録の正確性が格段に向上しました。断面履歴はすべて3Dモデル上で蓄積されており、進捗の可視化と安全性の検証を同時に実現できます。危険箇所や地山の変化も視覚的に捉えることができるため、現場スタッフの判断材料として非常に有効です。

また、データを通じた教育効果も期待されており、若手技術者が3D断面図を通じて施工の進行や出来形の変化を理解しやすくなりました。技術継承の手段としても点群データは有効であり、現場全体のスキル底上げにも寄与しています。

4.3. 現場シナリオ:河川改修工事の進捗管理

ある自治体発注の河川改修工事では、設計された断面形状が計画通りに確保されているかを継続的に確認する必要がありました。特に、洪水対策として設定された高水位に対する流路の断面確保は、安全性に直結する重要な要素です。

従来は、現場での手測量と図面起こしによって断面を確認していましたが、この方法では対応のスピードに限界があり、状況によっては迅速な判断が難しい場面もありました。そこで導入されたのが、ドローンによる地形測量とTREND-POINTによる断面抽出の組み合わせです。

ドローンで取得した地形の点群データをTREND-POINTに取り込み、任意の位置で断面を自動生成します

。最新の地形情報をもとに設計との照合が即座に可能となり、掘削の必要箇所や施工順序を早期に判断できるようになりました。また、断面図と現況の比較結果はPDFなどの形式で出力され、発注者との打ち合わせ資料としても活用されています。

さらに、取得された断面情報は、クラウド上で履歴として蓄積されており、進捗の記録や将来的な維持管理にも活用可能です。設計照査、品質管理、計画調整といった各プロセスで共通のデータを基に議論できることで、現場と発注者の合意形成がよりスムーズに進行するようになりました。

このように、河川改修のような自然条件の変化が大きい現場においても、点群データと断面作成の活用は、施工の合理化と品質確保に大きく貢献しています。

5. 導入プロセスと成功のポイント

TREND-POINTのような高度な点群処理ツールを現場に導入する際には、事前準備から現場運用、継続的な改善に至るまで、段階的な取り組みが求められます。ただソフトウェアを購入するだけで成果が出るわけではなく、現場のニーズと技術の特性をしっかりと結びつけることが成功のカギとなります。

この章では、導入を成功させるためのステップを、「事前準備」「スタッフ教育と現場適応」「導入後の効果最大化」という3つのフェーズに分けて紹介します。TREND-POINTの導入をこれから検討する方にとって、実践的な道しるべとなるでしょう。

5.1. 導入前の準備と要件定義

TREND-POINTを有効に活用するためには、導入前の要件定義と環境整備が極めて重要です。まず最初に行うべきは、自社のどの業務フェーズで点群データを活用するかを明確にすることです。たとえば、道路建設では現況地形の把握や出来形管理、トンネル工事では掘削断面の確認、河川改修では断面維持のモニタリングなど、目的によって必要な機能や運用体制が変わってきます。

また、すでに社内で使用しているCADソフトやBIM/CIMツール、クラウド環境との連携を考慮し、TREND-POINTがどのように位置づけられるかを整理しておくことも大切です。作業端末のスペック(特にグラフィック性能やメモリ容量)やデータ共有インフラの確認も怠らないようにしましょう。

この段階で、福井コンピュータが提供する無料デモや製品説明会を活用することで、自社にとって必要な機能や導入の効果を具体的にイメージできます。担当者同士で実際に操作しながら意見を出し合えば、部門間の温度差をなくし、導入後のスムーズな展開にもつながります。

5.2. スタッフトレーニングと段階的導入

システムの導入後、現場で実際に活用するには、スタッフのトレーニングが不可欠です。特に、点群データや3Dモデルに触れるのが初めてという人も多いため、いきなり本番で使わせるのではなく、段階的な導入が効果的です。

最初は小規模プロジェクトやテスト用のデータを使って操作に慣れてもらい、基本的な断面作成や土量計算の流れを実践的に理解してもらいましょう。TREND-POINTは直感的なUIが特徴であり、ガイド機能やマニュアルも充実しているため、研修を通じて習得しやすい環境が整っています。

また、社内で技術継承を進めるためには、経験者による操作事例の共有や、業務マニュアルの作成も有効です。スタッフが安心して使いこなせるようになることで、ツールの利活用が進み、現場全体の業務品質が向上していきます。

さらに、ある程度スキルが浸透した段階では、導入効果を社内外に共有する取り組みも重要です。報告会やレビュー資料などで成果を可視化すれば、プロジェクトマネージャーや経営層の理解が深まり、今後の投資判断や社内展開の後押しにもつながります。

5.3. ROI最大化と継続的なサポート

TREND-POINTを導入する目的は、業務の高度化や生産性の向上にありますが、それを明確な数値として“見える化”することが、ROI(投資対効果)を最大化するための第一歩です。たとえば、「断面作成にかかる作業時間が○時間短縮」「出来形確認の手戻り率が△%減少」など、具体的な指標を設定し、導入前後の変化を比較することで、効果の定量評価が可能になります。

こうしたKPIの測定を継続的に行うことで、運用の改善点も見えてきます。また、現場での活用状況に応じて、TREND-POINTの運用範囲を広げたり、他のシステムと連携させることで、業務全体の最適化を図るステップアップも視野に入れることができます。

さらに、福井コンピュータでは、バージョンアップや新機能追加、トラブル対応など、導入後のサポート体制が非常に充実しているため、長期的な運用にも安心感があります。サポートを定期的に活用しながら、スタッフのスキル向上や新しい活用方法の習得にもつなげていきましょう。

TREND-POINTのようなデジタルツールは、単なる導入で終わらせず、継続的な改善と活用の拡張を通じて初めて真価を発揮します。現場の声を吸い上げながら運用を進化させていくことで、社内全体のDXを着実に前進させていくことができるでしょう。

6. 技術的な詳細解説

TREND-POINTの導入によって得られるメリットは、現場での使いやすさや業務効率化だけではありません。ソフトウェアとしての基盤となる技術的な仕組みや、処理アルゴリズムの優秀さも、高精度な成果を生み出す重要な要素となっています。

特に、点群データのような膨大かつ不規則な情報を効率よく処理し、実務で活用できる断面図や数量データに変換するには、高度な演算処理と最適化されたシステム設計が不可欠です。この章では、TREND-POINTに搭載されている点群処理のアルゴリズムや、動作環境、そしてセキュリティに関する仕様について解説します。

6.1. 点群データ処理アルゴリズムとその効率性

TREND-POINTが評価される大きな理由の一つに、「高速かつ精度の高い点群データ処理」があります。点群データには不要な点やノイズが混在していることが多く、これらを手動で整理するのは膨大な手間がかかります。しかしTREND-POINTでは、フィルタリングや自動補間などの前処理が効率化されており、データの精度と作業スピードの両立が可能です。

たとえば、ノイズを除去するフィルタリングでは、点の密度や分布傾向を自動解析し、一定の基準で必要な点のみを残すことで、クリアなモデル作成が可能になります。さらに、断面作成においては、対象範囲の自動抽出機能やスムージング機能により、滑らかで視認性の高い断面形状を短時間で生成できるようになっています。

また、TREND-POINTは大規模なデータ処理にも対応しており、数千万点に及ぶデータでもストレスなく操作可能です。これは、ソフトウェア内部でのメモリ最適化や演算処理の並列化が行われているためであり、大量データを扱うインフラ系プロジェクトでも安心して使用できます。

こうした処理の高速化は、現場でのリアルタイム性を確保し、複数回にわたる測量・照査の実施を現実的にするという点でも非常に重要です。作業スピードが上がることで、設計修正や材料手配などの判断を素早く行えるようになり、プロジェクト全体のコストパフォーマンス向上につながります。

6.2. システム要件とデータセキュリティ

TREND-POINTを安定的に運用するためには、一定のPCスペックやネットワーク環境が求められます。特に、点群データは1ファイルあたり数GBに達するケースもあるため、高性能なグラフィックカードと十分なメモリ(推奨32GB以上)、高速なSSDストレージの搭載が望まれます。また、大規模プロジェクトを複数並行して扱う場合は、マルチコアCPUや専用のグラフィックワークステーション環境が理想です。

クラウドサービスとの連携を行う場合は、インターネット接続の安定性も重要な要素です。データのアップロード・ダウンロードにかかる時間や、共有アクセス時のパフォーマンスにも影響するため、オフィス・現場間での同期を円滑にする通信環境を整備しておく必要があります。

一方で、点群データには機密性の高い設計情報や測量結果が含まれるため、セキュリティ対策も欠かせません。TREND-POINTでは、クラウド連携時の通信を暗号化し、アクセス権限の制御によって不正な閲覧や改ざんを防ぐ仕組みが設けられています。また、福井コンピュータは、企業の情報システム部門と連携しやすいサポート体制を整えており、運用に関する相談やセキュリティ設定の支援も提供しています。

加えて、定期的なソフトウェアアップデートにより、脆弱性への対応や機能強化が継続的に実施されています。これにより、TREND-POINTは常に最新の技術基準に適合した状態で利用することが可能です。

このように、TREND-POINTは機能面だけでなく、安定したシステム基盤と安心できる運用環境を提供しており、初めて点群ソフトを導入する企業にとっても、長期的に安心して活用できる製品となっています。

7. 課題と解決策

TREND-POINTは高い機能性と実務性を備えた点群処理ツールですが、導入や運用の現場ではさまざまな課題に直面することもあります。どれほど優れたツールであっても、社内体制やスキル、予算、連携環境といった複数の要素が整っていなければ、十分な効果を発揮することは難しいでしょう。

この章では、TREND-POINTの活用を検討・実施するうえで起こりがちな課題と、それに対する具体的な解決策を紹介します。現場担当者の視点から実感しやすい問題点を踏まえ、導入効果を最大化するためのヒントをまとめています。

7.1. 導入時の課題と対処法

TREND-POINTを導入する際にまず浮上しやすいのが、初期投資の確保と現場スタッフへの教育負担です。点群データを活用するためには、ソフトウェア本体の導入に加えて、ドローンやレーザースキャナーなどの測量機器が必要になる場合もあり、予算調整が課題となることがあります。また、既存業務との親和性や運用方法の違いに戸惑い、現場の導入意欲が高まらないケースも見受けられます。

このような場合には、まず小規模なプロジェクトでのテスト導入を行い、実績を社内で共有するアプローチが効果的です。たとえば、断面作成や土量計算など、一部業務での導入から始め、成果を具体的な数値や事例として報告することで、社内の理解と賛同を得やすくなります。導入効果を可視化することが、次の段階へのステップアップにつながります。

また、スタッフ教育については、TREND-POINTが提供するオンラインマニュアルや操作ガイドを活用しながら、業務に即した研修を段階的に行うことが重要です。社内のベテランスタッフが講師役となり、実際のプロジェクトを使って習熟することで、机上の研修にとどまらない実践的な学びを提供できます。

さらに、製品導入前にはメーカーや代理店から提供されるデモンストレーションや事例資料を確認することで、自社の業務に対する適合性や期待効果を事前に把握しやすくなります。検討段階からこうした支援サービスを活用することで、導入への不安を軽減し、組織全体の納得感を高めることができます。

7.2. データ管理とシステム連携の最適化

TREND-POINTを活用する上では、点群データそのものの管理方法や、他システムとの連携体制も大きな課題となることがあります。点群データはファイルサイズが非常に大きいため、複数のプロジェクトで運用していると、ファイルの混在やバージョン管理の混乱、保管場所の容量逼迫などが起きやすくなります。

こうした問題に対処するには、クラウドや社内サーバーを活用したフォルダ構成や命名ルールの標準化が有効です。プロジェクトごとにデータ格納場所を明確に分け、使用者ごとのアクセス権限を設定することで、セキュリティを確保しながら効率的なファイル運用を実現できます。また、点群データと同時に出力される断面図やCADデータについても、成果物管理のルールを決めておくと良いでしょう。

さらに、他の設計ソフト(AutoCAD、Revit、CIMソリューションなど)や測量機器とのデータ連携についても、あらかじめフォーマットや互換性の確認を行っておくことが重要です。TREND-POINTはDWG、DXF、LandXML、SIMAなどの形式に対応しており、これらを活用すれば、他部門や協力会社との円滑なデータ交換や共同作業が可能になります。

また、作業工程の自動記録やバージョン管理機能の導入も、点群データの利活用を長期的に支える仕組みとして有効です。設計変更や進捗に応じて複数の断面を記録・比較する運用が定着すれば、設計照査や品質検査の精度も向上します。

このように、TREND-POINTの機能を最大限に引き出すには、単なるソフトウェア活用だけでなく、社内のデータ運用ルールやIT基盤の整備もセットで見直すことが求められます。点群データを資産として蓄積・活用するためには、運用体制の最適化こそが鍵を握るのです。

8. 今後の展望と発展性

点群データの活用とTREND-POINTのようなツールの導入は、単なる「作業の効率化」にとどまりません。これからの建設業界において、3Dデータや空間情報をベースとした業務プロセスが標準化していく中で、点群処理技術はBIM/CIM、デジタルツイン、さらにはAI活用といった高度な取り組みの土台となる存在です。

この章では、TREND-POINTが将来的にどう進化していくか、また、業界全体が目指すべき方向性として、「標準化」と「クラウド化」がどのように関わってくるのかについて考察します。点群データの活用を一過性の流行ではなく、持続的で発展性のある“業務変革”の一部として捉えることが重要です。

8.1. TREND-POINTの進化と新機能の追加

TREND-POINTは現時点でも多機能で直感的な操作性を備えていますが、今後の技術進展を背景に、さらなる機能拡張が期待されています。とりわけ注目されているのが、AIや機械学習との連携による点群処理の高度化です。

例えば、点群データから自動で特定の構造物を分類・抽出したり、過去の施工履歴をもとに変形リスクの高いエリアを予測したりといった、“判断補助”に近い役割を果たす技術が、すでに一部の試作段階で登場しています。これにより、現場作業のスピードと精度がさらに向上し、点群データは「図面の代替」から「施工判断を支える知的資源」へと進化していくことが考えられます。

また、TREND-POINTはBIM/CIMとの連携強化にも積極的に取り組んでおり、将来的には設計・施工・維持管理の全工程をシームレスにつなぐ統合プラットフォームの中心的存在となる可能性もあります。すでに3Dモデルへの変換や属性情報の付与機能は整備されており、これを起点に長期的な施設管理へと展開する動きも加速するでしょう。

こうした技術進化は、建設プロジェクトマネージャーにとって、「効率化ツール」としての利用価値だけでなく、意思決定支援・現場リスク管理・人材育成支援といった多面的な価値をもたらすものへと発展していくと予想されます。今後のアップデート情報や開発ロードマップを注視することは、企業として競争優位を保つためにも不可欠です。

8.2. 業界標準化への貢献とクラウド化の推進

建設業界では、国土交通省をはじめとする行政機関がCIM・BIMの普及を後押ししており、データ形式や情報共有の方法についても、業界横断的な標準化が求められるようになってきました。この動きに対応するため、TREND-POINTでは各種フォーマットへの出力対応や他システムとの連携強化を進めています。

具体的には、DWGやDXF、LandXML、SIMAといった多様なデータ形式の読み書きが可能で、他部門・他社・発注者とのスムーズな情報連携が実現されています。今後、国際標準や自治体ごとの要件が明確になるにつれて、さらに拡張性と柔軟性が求められるでしょう。

一方で、作業現場の多様化や働き方の変化を受け、クラウド連携の重要性も増しています。TREND-POINTではすでにクラウドストレージやWebビューアとの連携が可能であり、オフィス・現場・発注者がリアルタイムでデータを共有できる仕組みが構築されています。これは、遠隔での意思決定やリモート点検、協議の迅速化に大きく寄与しています。

今後は、複数の関係者が同時に同じデータを閲覧・編集できるコラボレーション型のクラウド基盤への発展も期待されており、TREND-POINTが業界全体のデジタル連携をリードする存在としてますます注目されることになるでしょう。

このように、点群データを軸とした業務改革は、単なる「技術の導入」ではなく、業界全体の生産性向上と標準化、そして柔軟な働き方の実現を後押しする社会的インフラへと成長しつつあるのです。

9. まとめ

本記事では、建設業界における点群データの活用と、それを実現するための強力なツールであるTREND-POINTについて、基礎知識から技術的な特徴、導入事例、将来展望に至るまでを幅広くご紹介してきました。

点群データは、レーザースキャナーやドローンによって取得された高密度な空間情報であり、これをもとに断面作成や土量計算、出来形管理などの業務を行うことで、現場の「見える化」と判断の迅速化が可能になります。そして、その点群データを現場で実務的に活用するうえで欠かせない存在が、福井コンピュータの提供するTREND-POINTです。

本ツールを導入することで、測量から設計照査、工程管理、報告書作成に至るまでの一連の業務が大きく効率化され、品質の向上や手戻りの削減、コストの最適化といった効果が実際の現場で確認されています。また、クラウドやBIM/CIMとの連携を通じて、将来的な施設維持管理やデジタルツインへの展開も視野に入れた活用が可能となりつつあります。

もちろん、導入にあたっては予算確保やスタッフ教育、データ管理といった課題もありますが、それらは段階的な導入や社内体制の整備によって着実に乗り越えられます。小さな成功体験を積み上げながら、デジタル化を継続的に進めることこそが、組織全体の成長と現場力の底上げにつながるでしょう。

もし現在、施工管理の効率化や品質管理の高度化に課題を感じているのであれば、まずはTREND-POINTの無料デモや資料ダウンロードを活用し、操作感や導入効果を実感してみてください。小規模な案件からのテスト導入でも十分に効果を感じられるはずです。

これからの建設業界では、点群データとその活用技術が標準となり、業務の在り方そのものが大きく変わっていきます。その第一歩として、TREND-POINTの活用を通じて、自社のDXを現実の成果につなげていきましょう。

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<参考文献>
TREND-POINT(トレンドポイント) 概要|土木CAD – 福井コンピュータhttps://const.fukuicompu.co.jp/products/trendpoint/

BIM/CIM|株式会社 大林組|TREND-POINT導入事例 – 福井コンピュータhttps://const.fukuicompu.co.jp/constmag/info/129

BIM/CIMポータルサイト | 国土交通省
https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/jyouhou/bimcim/standard.html

i-Construction
https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html

研究成果 ガイドライン・要領・基準 - 社会資本マネジメント研究センター 社会資本情報基盤研究室
https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/achievements/guideline/

CIMPHONY Plus(シムフォニープラス) 概要|土木業界向け クラウドサービス – 福井コンピュータ
https://const.fukuicompu.co.jp/products/cimphonyplus/

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